第9話 クリスマス会  語り五十嵐

【クリスマス、部室に集まれる人~!】

三上先輩のメッセージで1年2年組は全員集合。私もだが、特にみんなこれといった用事もなかったようで。

【食べたいお菓子や飲み物あったら各自持ってきてねー私ケーキ買ってくるから!!!】

クリスマスパーティーか~。実家でクリスマスらしい事をした記憶がないので、ちょっと楽しみだったりする。

坂下先輩がBGM用のスピーカーを持ってくるようで、私は里依ちゃんと一緒にお菓子を持ってくることになった。学校近くのスーパーで待ち合わせして、色々物色。

「どれにしようかな~ゆうちゃんなにか食べたいものある?」

「う~んクリスマスらしいものって何でしょうね.......」

「ケーキは三上先輩が買ってくるし、何でもいいような気はするけどねー」

とにかく美味しそうなものを買おうかということで、目についたものをカゴの中に入れて部室に向かった。すでに男子組は来ていて、パーティーの準備をしていた。

「お疲れさまです」

「おつかれ~お菓子ありがとう~」

「いえいえー、三上先輩ももう少しで来るようです」

「了解~」

「昨年もクリスマスパーティーてしたんですか?」

「いや、全く。三上さんコミケの原稿完成したから、打ち上げみたいな感じで提案したんじゃないかな」

「なるほど.......」

むしろこの時期って追い込みで大変な人が多いと思うけど、さすが三上先輩.......。

「ほとんど三上さんのお祝いみたいな感じになると思うから」

と言って坂下先輩が取り出してきたのは

「え?シャンパン?」

「一応ね。そこらのスーパーで買ってきたものだけど」

「グラスとか準備すればよかったすね」

「いやそこまでしたら逆に引かれそうだし」

「とか言って、高感度アゲアゲ作戦でしょ」

「うわ~後輩に作戦バレてるのハズいわ~、ってか武志くん彼女さんと会わなくてもいいの?」

「いや、あっちまだ授業があるらしくて」

「あー医療系の学校だっけ。大変そうだなあ」

ああそうか、クリスマスって恋愛イベントの要素もあるんだった。すっかり忘れてしまうぐらい自分には縁がないものなので、なんか変な感じだ。

「おまたせ~!」

三上先輩だ。クリスマス仕様だからか衣装がフリル全開、お嬢様感満載のファッションだ。

「三上さん気合入ってますねー!」

「クリスマスだからねー!ハイ、ケーキ!」

大きい箱が机の中心にドーンと置かれた。

「ゆうちゃん開けてもらえる?」

「わ、私ですか?」

「イッガラシ!イッガラシ!」

謎の掛け声と手拍子が起こり、みんなが合いの手を入れてきて断れない雰囲気に。

「わかりました......開けますね」

恐る恐る開けてみると、フルーツとキャラクターの人形がやたら盛り付けられてるケーキだった。

「わー!すごい!」

「へへへ、ここのケーキ屋さん、キャラケーキがをネットで評判というのをネットで知って注文したの!」

「めっちゃすごいけど、めっちゃ切りにくそう」

「キャラクターどかしてケーキだけで切るしかないですね」

みんなでケーキの写真を撮って、それぞれ好きなキャラを選んで取っていった。

「いや~みんなに好きなキャラを聞いておいてよかったよ」

「やたら三上さん準備いいですけど、今回のコミケ原稿そんなに調子良かったんですか?」

「というかいつもクリスマスまでに原稿終わらせるようにしてるんだよねーだからこれが普通かな」

「なるほど......」

坂下先輩がクラッカーを持ってきて、みんなに手渡し始めた。

「メリークリスマース!!!」パン!パン!パン!

「とりあえずこれも買ってきたんだけど」

坂下先輩がシャンパンを三上先輩に見せる。

「シャンパン?」

「そ」

「飲めるの?」

「いやわからんけど、クリスマスらしさが出ていいかなって。残るともったいないから、小さいやつにしといた」

紙コップに注いで、三上先輩と坂下先輩が一気に飲んだ。

「へ~シャンパンてこんな味なんだね」

「先輩俺もいいっすか」

「いいけど、無理しないでね」

神崎君と国村君も飲む。

「うへーよくわからないっすけど、なんかすごい」

「ん~」

先輩2人は次々とコップに入れて飲んでる。

「2人共大丈夫なんですか?」

「私はお酒強いから」

「俺も嫌いじゃないし、残すのももったいないから」

「ん~」

「国村くんさっきからどうした?」

「俺酒弱いかも」

「水かお茶飲んで中和したほうがいいかも」

国村君の顔を見たら、たしかに顔が赤い。

「ね~ゆうちゃん、私顔赤い~?」

いつの間にか里依ちゃん飲んでるし。

「ん~特には......ケーキ食べましょうか」

「うん!」


みんなシャンパンを飲んでテンションがおかしいのか、私だけ黙々とケーキを食べてる感じになってる。里依ちゃんも一応ケーキつまんで食べてるけど、心ここにあらずな感じで、国村くんは完全にノックダウン。神崎くんと先輩2人はゲラゲラと大声で楽しそうに喋ってる。なんとなく里依ちゃんとダラダラ喋ったりしてると、いつの間にか10時になってた。

「あーもう10時かあ~。流石に遅いから解散にしようか~」

「うぃっす~」

「ヤバ、ケーキ食べてない!遅れたけどいただきます!」

「国村くんどうしよう」

「あ、じゃあ俺連れていきますよ」

「ごめんね、武志くん」

「私もゆうちゃんに送ってもらおうかなあ~!」

里依ちゃんさっきまで静かだったのに、だんだんと酔いが回ってきたのかいつもよりテンションが高くなっているような気がする。

「じゃあ後片付け私達やっとくから、4人共帰っても大丈夫だよ」

「え、いいんですか?」

「うん!2人をお願いね」

「了解っす!お先失礼します!」

「ありがとうございます。お先失礼致します」

「おつかれ~」

三上先輩と飲みすぎてうつ伏せになってる坂下先輩を後にして、部室を出た。

「いや~楽しかったね~」

「みんなシャンパンに翻弄されてましたけどね......」

「高岡さんはテンション高いし」

「えぇ~!そおかなあ~!」

「う~ん......」

「国村くんも大丈夫?」

「みずほしい.......」

「あ~じゃあコンビニで水買おうか」

「ごめん......」

「いいっていいって」

コンビニに入ると自分達と同じ年ぐらいの人達が多くいた。

みんなクリスマス会でもしてたのだろうか。

「ね~神崎くん」

「なに?」

「国村くんどうするのー?」

「ここからだと俺のアパート近いから、泊まってもらおうかなって」

「私も付き合うよー」

「いや~俺1人でも大丈夫だよ」

「まあ、神崎くんのお部屋見てみたいというのもあるけど!」

「おいおい」

「ゆうちゃんも来るよね?」

「私ですか!?」

「そ!」

「まいったなあ」

里依ちゃんいくらなんでも酔い過ぎなのでは......。

「五十嵐さん、高岡さん頼むね」

「わかりました」

「ちょっとー」

「じゃあ、お疲れ様ー!」

神崎くんは国村くんを連れて逃げるように別れた。

「あ~あ」

「私達も帰りましょうか」

「じゃあ、ゆうちゃんの所に泊まる」

「へ?」

「だめ?」

「駄目ではないですけど......」

「やったー!」

「うるさくしないでくださいね」

「わかりました!」

意外なことになっちゃったけど、暴れないようにだけ気をつけよう......

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