第4話 創作イベント  語り高岡・国村・高岡

「里依ちゃんこっち、こっち~」

国際展示場駅前のコンビニで、三上先輩、ゆうちゃん、神崎君、国村君と合流した。

高校時代に友人達と同人イベントでここへ来たことはあったが、オリジナル創作イベントに参加するのは初めてだ。

このイベントはコスプレ衣装禁止のようで、普通の同人イベントより印象は地味だが人は十分多くすでに大きい列が出来ている。

「結構人いますね~」

「コミケはもっとすごいけど、十分多いよねー」

「どこかお目当のサークルとかある?」

「じ、じつは好きな作家さんが参加するようなので……」

雑談しながら列で待機し1時間。

「只今よりオリジナル創作イベント12を開催します!」

会場アナウンスが流れ、拍手が挙がった。列が徐々に動き出す。

「慌てないでゆっくり歩いてくださ~い」

「体調が悪くなったら手を上げて合図をお願いしま~す」

会場に入る前のこの空気感が好き。イベント始まりの高揚感はお店やネット販売では味わえない快感だ。

ブースに入り、女子組と男子組で分かれた。

「とりあえず、ゆうちゃんのお目当のサークルから行こうか」

「すみません、わざわざ……」

「私も気になってたし、むしろ早く行かないと完売しそうだもんね」

有名なイラストレーターさんのサークルだが、予想通り列が出来てて私とゆうちゃんで並んだ。

「新刊1冊ください!」

「はい、1000円ですー」

無事ゲットできてゆうちゃんの方を見ると、新刊を抱えながら小ギザミに震えていた。

「ど、どうしたの」

「い、いえ、ちょっと感動して……」

そういえばゆうちゃん同人イベント自体初めてって言ってたな。初々しさが可愛くて思わず頭を撫でてしまった。

「え、え、なにか」

「いや~かわいいなあ~と思って」

「2人共可愛いわい!」

三上先輩にツッコまれて思わず笑ってしまった。

先輩も他のサークル列に並んで無事新刊をゲット出来たようで、その後3人でブースを回った。

「すみません、読ませて頂いていいですか?」

「どうぞ!」

「こ、この本下さい……」

「ありがとうございます!500円です!」

あれ?三上先輩いつの間にかいない?まあ、合流場所言ってあるし大丈夫だろう……。


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「いやー何買えばいいかわからないけど、いいのあるかなあ」

あてもなく神崎くんとスペースを回っていると、可愛い女性キャラが描いてある同人誌を発見した。

「どうぞご覧になってくださーい」

恐る恐る本をとって中身を見てみると、煌びやかな女の子のイラストが沢山載っていた。

可愛い女の子を描けるようになりたいなあと前々から思っていたので、勉強の為にも買っておこう。

「い、1冊ください」

「はい、1000円です。ありがとうございます!」

「俺はこっちの方ください!」

「こちらは500円です。ありがとうございます!」

買ってしまった。同人誌自体は通販で買ったことあるけど、生で手にしたのは初めてだ。

「よ~し、この勢いで買いまくるぞー」

神崎くんがヒートアップして良さそうな同人誌を見つけ次第購入し始めた。

なかなか積極的に見に行けない自分は、遠目で見て良さそうなのを眺めて、ポツポツと購入した。


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「神崎くんすごい買ったね」

「いやーやっちゃいましたー」

神崎くんの紙袋がパンパンとなって今にも破れそうな状態となっていた。

そういえば私も初めての同人イベントはひたすら気になったのを買ってたな……。

「ゆうちゃんと国村くんはそんなに買ってないね」

「なかなか手に取るのも勇気が必要で……」

「私もです……」

「お待たせーどうだったー?」

三上先輩が両脇に大量の同人誌が入った袋を抱えて帰ってきた。どんだけお金持ってるんだろう……。

「すごいっすね先輩……」

「いやいや何のこれしき」

「僕持ちましょうか……」

「お、国村君ありがとう!」

会場から出てどこかでご飯を食べようという話になり、駅へ向かった。

「今回は一般参加だったけど、いつかはサークル側で出せるといいね」

「先輩はサークル参加したことあります?」

「去年はこのイベントサークル参加したよ。今年は秋ぐらいに出ようかなと考えてるけど」

「え、すごい!私オリジナルで本出したことないので……」

「学校サークルで作ったのも含めてオムニバス短編みたいな感じで作ったんだよね。オリジナルは2次とは違った達成感が味わえるのが楽しいよ。交流の幅も広がるし」

自分の場合、まずはネタ出し頑張らないとなあ……。

「先輩。私、頑張ります!」

「里衣ちゃんアニメのヒロインぽい!煮詰まったらいつでも相談に乗るから遠慮なく言ってね」

「はい!」

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