美術の時間

崎山城市視点


あの訳の分からない学級裁判?の判決後、僕は何も言えずに家に帰り、佐藤さんとトークで今日の事について話した。


『今日の放課後の事で話したいんだけど。』


『大変な事になったよね。』


『本当に参ったよ、ところで学校での付き合い方、どうする?』


『…………今までと変わらないと思うよ。』


(変わらないって…………)


今までの佐藤さんとの事を思い出してみると、挨拶の返事も帰ってこない、隣の席だけどそれ以外だと5m以上離れている…


(うん、変わらないや!)


そこからは普通に雑談をした。


水曜日、またしても事件が!!


この学校には高校でも美術の時間が有り、手で絵を描く事からパソコンを使って作成まで幅広い授業を行っているが、今日は手で書く事に…しかも隣の生徒を………これ小学生でもしたよ!!


授業の課題として特徴を捉え1時限で書き上げる事、そして手にはサンプル品など必ず持つこと、この二点。教壇にはいろんなサンプルが……先生!コンドームが混じっていますよ!!あ!Hな話が好きな高坂さんがキャキャ言いながらコンドームで遊びだした!!


こらこら!開けない!


ネチネチしない!


伸ばさない!


息を吹き込み膨らませない!!……思って以上に膨らむんだな……


ちなみに美術の坂野先生はもうすぐ定年だが既にボケているとも言われている。今も、ホッホッホッホと笑っている…………大丈夫なのか?


それと接近禁止令を出した委員長と副委員長が気になりちらっと見ると…サンプルを選んでいない?!机には人形が…………よく見ると佐藤さんに似ている!!宗教団体とか言ってたし!ご神体?!怖い!怖い!!怖い!!!


ややあって、僕は定番?のリンゴのサンプル、佐藤さんはバナナのサンプルを選んだ。


今、佐藤さんと至近距離で向き合っている…ドキドキだお~


とりあえず僕からスケッチブックに書くことにした、ドキドキして手が震える中書いていく。絵は上手くないがそれなりに書けた。


今度は佐藤さんが書く番だ、チラチラと僕を見て、頬を赤く染めて必死に書く姿はとても可愛らしい♡


書き終わり時間も少しあったので見せ合うことに、まずは僕から…佐藤さん?何故ノーリアクションなんですか?泣きますよ!


次に佐藤さんの番…………リンゴがよく書けている…………リンゴだけ…………佐藤さんの絵はスケッチブックいっぱいにリンゴが書かれていた。


あ!スケッチブックの隅に僕の手が!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る