手紙の返事とゴミ箱
崎山城市視点
次の日、昨日の佐藤さんと同じくソワソワしていた、何故なら手紙を渡すいい方法が思いつかなかったからだ。
漫画やアニメみたいに下駄箱は…ダメ!蓋がないから手紙が丸見え!
直接もダメ!彼女は人気者だ、常に誰かが付いている。
机の中は……そういえば佐藤さん、ダメになった手紙を丸めて机の中にINしてたよな……あのゴミ捨てたのかな?まだ机の中だったら…ゴミと一緒に手紙もクシャクシャにしてゴミ箱にIN…やだな~
あれこれ考えているうちに5時間目、数学の斎藤先生の授業中。
この先生の時だけはみんな真面目に授業を受ける、何故ならこの先生は以前ヤラカシタと先輩から聞いたことが有り、実際にしそうな雰囲気を醸し出している。
何をヤラカシタかと言うと。
昔、授業中に女子生徒が隣の男子生徒にラブレターを書き渡した所、先生に見つかり、皆の前でこっぴどく怒られた後、ラブレターを音読するように迫られた事が有るらしい。
流石に皆からの反発が大きかったので音読はせずに済んだが、その女の子はトラウマになり、学校を辞めてしまったそうだ。
それからは、この先生は逆らわない方が良いと言い伝えられている。
……ん?!逆にチャンスかも?!
幸いみんなは真面目に授業を受けている、そして僕たちは一番後ろの席に座っている。あとは先生が黒板の方に向けば!
静かにその時を待つ、そして時が来た!
(今だ!!)
机の中から昨日の晩に書いた手紙を、佐藤さんの机の上に……
【ガタガタガタガタ!!!】
(え――———————!机ごと避けちゃったよ!!)
「何事だ!!」
先生は振り向き僕の手に持っている手紙を見付けてしまった。しかも周りのからは、《もしかしてラブレターを渡そうとして、机ごと避けられた?》《ラブレターを渡そうだなんて100億超年早いんだよ!》と殺気のこもった目線で射抜かれている。
「崎山!手に持っているものを持ってこい!」
僕はしぶしぶ従い先生に手紙を渡す。
「それと放課後に職員室な。」
「…はい。」
この後、周りからは《ざまぁ~》と思われているのが、顔に出ていた。
放課後、職員室でこっぴどく怒られ、手紙はゴミ箱に。更に『次は職員室で音読をさせるぞ!』と脅され解放された。
(2時間も説教って長すぎなんだよ!結局手紙は返してくれなかったし。不幸だ――――!)
肩を落とし、皆が帰ったはずの教室に戻ると。
そこには、なぜか僕の席に座っている佐藤さんだけが待っていた。
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