未知との大遭遇 〜6〜

「わぁっ!や、やったなぁ!・・・ヤローじゃないし!レディーだし!」


一歩後ずさったバンキッシュは、そのままアルティランダーに殴りかかる。総司はそれを受け止めて、取っ組み合いと相成った。


「むぅっ、田舎星の人間が一丁前に・・・!妹よ、援護するぞ!」


ガッツは、睨み合う2体の足下に、すごく控えめビームを放つ。何発も、何発も。


「ちょっ、アニキ!アタシに当てないでよね!いくら威力控えめでもさ!バンキッシュが凹むじゃん!」


ジャネットが、小声で通信機に囁く。


「くっ、大丈夫だって言われても、やっぱビームには当たりたくないな・・・。」


総司が呟くと同時に、士郎のサポートが冴え渡ってくる。


「総司、そんなときは高速移動モードだ!」


「な、何だそれ!・・・あっ!もしかしてコレ?!『足にタイヤ』ってボタン。やっぱりテプラはダサい!」


「それだ!またカッコいいやつ頼む!」


「ええい、ままよ!GO!アルティランダー・ダッシュモォォォード!!」


総司がボタンを押すと、呼んで字の如く、アルティランダーの両足に、バイク形態時の大型タイヤが現れた。


「おお・・・!こいつはいいや!」


バンキッシュを引き剥がし、そのままの体勢で高速バックを行い、距離を取る。そして、


「喰らえぇぇーー!!」


アクセル全開で、全力の体当たりを敢行した。


「わっ、わわっ!いったぁーい!・・・んもぉー!こんなの聞いてないしぃー!」


バンキッシュのAIが受け身を補助してどうにか着地には成功したものの、吹っ飛びながらジャネットは泣きそうになっていた。頭をぶつけたのである。


「いいぞぉー総司!」


士郎たちの歓喜の声が、アルティランダーのコックピットにこだまする。


「んもーキレた!こんなダサい星のマシンにやられるわけにはいかないっつーのォ!」


立ち上がったバンキッシュは、途端にビーム照射を行なった。球状のビームを、マシンガンのように何発も繰り出す。


そのバンキッシュを追い、一発も喰らわずに高速で走行する総司。目にも留まらぬ攻防が、東京の街で繰り広げられていく。


しかし、ガッツからの援護控えめビームは続く。


「抵抗をやめろ!貴様らでは、どう足掻いても結局我々には敵わん。こちらにはビームがあるからな!」


ガッツたちのビームへの自信。

しかし、確かにひとたび出力が上がれば、アルティランダーの装甲ではまるで歯が立たないであろう。そのビームを、ダッシュモードで次々と回避し続ける総司。いつのまにか、バンキッシュとの距離を離されていた。


「んだよ、ビーム鬱陶しいな。まず宇宙船の方をなんとかしないと・・・!」


総司は、何とか距離を詰めようとするが、バンキッシュからも控えめビームが連続発射され、なかなか近づけない。

ついには爆風で吹き飛ばされ、尻もちをつくかたちとなった。


「や、やっべぇ・・・。」


「ったく、手間かけさせてくれちゃって。殺しはしないんだから、早く消えてよね!」


ジャネットは、アルティランダーの脚部に狙いを定め、少しだけビームの出力を上げた。発射すれば、機動性を奪うことは簡単な威力になる。


今まさに、トリガーが引かれようとするその時だった。


「ドレッド!ダガァー!!」


赤い機体が現れ、バンキッシュに突撃し、抑え込んだのであった。


「お、おいおっちゃん!赤いのが来た!」


「何だありゃ!速いなすごく!」


倒れながら、機体の中で総司と士郎は感心しきり、呆然とした。すると、彼らにとって謎の赤い機体から、通信が送られてくる。


「おい、何者だ貴様。何故ロボットに乗っている?!その機体は一体何だ!!」


若いスーツ姿の男の顔が、アルティランダーの右モニターに映し出された。


「いっぺんに聞くなよ話しづらい!アンタ、めんどくさいって言われるだろ!名乗るときはまず自分から、ってな!」


総司は、かなりめんどくさい悪態をつく。


「なっ・・・!お前だってかなりめんどくさいだろう!わ、私はスタークラウン特別開発室室長兼社長秘書、南光輝だ!」


バンキッシュのビーム砲を執拗に狙いながら、南は詳細に名乗った。次第にビーム砲は、バチバチと火花を上げていく。


「ホラやっぱめんどくさい!俺は東郷総司、よろしく。」


簡単に自己紹介を済ませると、総司はアルティランダーを立ち上がらせる。


「悪いけど、詳しいことは後だ!アンタはそいつを抑えといてくれよ。俺は飛んでるアイツをやる!」


総司は、腰部に携行されていた小型ボウガンを構え、銛をセットしながら言い放つ。


「チッ、仕方ないな。逃げるなよ!」


南は舌打ちし、執拗にダガーでビーム砲を狙う。


「誰が逃げるか!じゃあな!」


アルティランダーはボウガンを握りしめ、稲妻のように宇宙船に向け疾走して行く。見ず知らずの南の横をすり抜けて。

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