第13話「浄化の炎と化した」
第13話 浄化の炎と化した
◆
『とっておきよ!』
発動キーを発声する。
『私の舞を見てみなさい!』
居合の構えを取り静止する。
『蒼竜連牙斬(そうりゅうれんがざん)!』
刹那、一直線に相手の背後に回り込み5連撃斬撃をお見舞いする。サムライとして発動してきた今までの特技の数がそのまま蒼竜連牙斬のダメージ数になる、努力は必ず実を結ぶと信じ続けるスズならではの技だ。
日々鍛錬し続ける事がそのまま秘奥義の威力に繋がるので努力に無駄がない。なのでリスクはほぼ無い。攻撃は10、10、10、10、10と合計50ダメージとなった、メンバーが今まで与えてきた中で一番ダメージがでかい。イフリートの残りHP406。
「あと150くらい減らせ!」
っと怒鳴るミュウ。
「うす!」
と気合の入った返事をするスズ。イフリートは力を溜めている…、フレアの前兆だ。レイシャは再び〈怒涛の気合〉を発動させた、地面から蒼白いオーラが全身にいきわたり全員を覆い包む。次の瞬間フレアによる灼熱地獄により世界が浄土と化した。
全員のHPがギュインギュインギュインと音を立てて一気に減ったが、イフリートがフレア後の硬直状態の隙に再び全員だんごを食べる。完全にパターンが完成している。〈レモンだんご〉を食べ終わり、「よし!」っと自分も秘奥義へのモーションに入ろうとする咲、しかし咲の場合すぐには秘奥義を発動出来ない。姫が咲の方を見ながら独り言を呟く。
「ふむ……ようやく咲も動くか……本来なら〈エボリューション〉は速めに発動しないと3までたどり着けないんだが…周りに見惚れたか?」
その様子を見たマリーが遂に私の出番か、と気を利かせる。
「〈エボリューション2〉になるまでクールタイムがあるでしょ?だったら私が先に秘奥義やってクールタイムを半分にするよ」
「え?でも……」
「いいのいいのあなたを助けるって言ってるんだから遠慮なく受けなさい」
『燃える闘魂よペン先へ!』
持っているペンが炎を帯びてゆく、そのままスケッチブックに何かを書き始める。
『別に私が倒してしまっても構わんのだろう?』
カッコつけたようにフッっとポーズをとる。
『固有結界空想庭園(こゆうけっかいくうそうていえん)!』
フィールド全体をマリーの心象世界、空想庭園へ誘う。お花畑の中は花が舞い、綺麗なのだが空が尋常じゃない事になっている。月と太陽が高速で昇り降りを繰り返し星が高速で自転する、時が加速している。敵も味方も超高速で移動することが可能になり全ての演唱する魔法の演唱時間が半分になる。
クールタイムも半分になる。発動したら戦闘が終了するまでこの状態は続く。演唱が必要な召喚士にとってはとてもおいしい秘奥義、敵も演唱時間が半分になるが魔術師系の敵はあんまり出てこないと思っているのでおっけいとおもっている。
これにより〈エボリューション〉クールタイムが7秒になる、代わりにイフリートのフレアも半分の時間で発動可能になるが…。兎にも角にも咲は〈エボリューション〉を発動する。レイシャは演唱時間が短くなったことを利用、便乗してレイズデットを発動させる。
「はあーエボリューション!」
「レイズデット」
〈レイズデット〉戦闘不能になった対象を蘇生させる。蘇生技はMPを大量に消費する。これにより自分の秘奥義で自滅してリスクを復活させた。
「たああ!」
「せええい!」
エボリューション状態の咲の攻撃3回とリスクの攻撃3回で6ダメージ与えた。エボリューション状態で攻撃力が上がったかと思われたが一発の攻撃は1のままだった。(どれだけ固いんだよ…)っと思った咲だった。
イフリートの残りHP400。ここにきてイフリートの動作が速くなったような気がした。イフリートは力を溜めている…、フレアの前兆だ。レイシャは再び〈怒涛の気合〉を発動させた、地面から蒼白いオーラが全身にいきわたり全員を覆い包む。次の瞬間フレアによる灼熱地獄により世界が浄土と化した。
全員のHPがギュインギュインギュインと音を立てて一気に減ったが、イフリートがフレア後の硬直状態の隙に再び全員だんごを食べる。完全にパターンが完成している。だがパターンはここからは違った、すぐさまイフリートはフレアを発する力を溜め始めた。ブロードがレイシャに警告を促す。
「おいまたフレア来るぞ!」
「だめ! クールタイムが間に合わない! 皆よけてー!」
全員一目散にイフリートの真後ろに避難しようとしたが、最初から真後ろに居たレイシャは別として無事だったが、あとは自身を強化していた咲が反応速度が速く、すぐに対応できたが。残りは〈怒涛の気合〉待ちでだんごを食べる準備をしていて反応が遅れてしまった。
「フレア!」
次の瞬間ドゴン!っとあたりは炎による大爆発を引き起こした、前衛も後衛も巻き込む全体攻撃は全てを燃やし尽くし生者を生かさない浄化の炎と化した。
ただ一つ、イフリートの背中だけがフレアの届かない安全圏だと姫にさらっと教えてもらっていたのが幸福か不幸か…とにかくレイシャと咲以外は全員瀕死になってしまった。
「どどどどうしようこれじゃあ勝てる見込み0だよー!」
「ここで使わなきゃいつ使うのよ……使うよ私の秘奥義」
「う……うん!」
そういってレイシャは秘奥義を発動する姿勢に入った。
『仕方ないですね!』
『全てを包み込む癒しの光を!』
レイシャは祈りを捧げるような恰好をして祈る、祈りは始めると手から光がこぼれ出し何故か本人は宙に浮き始める。
『ヒーリング!』
全てを包み込む癒しの光は、瀕死になった全員の元に光の粒が降り注いだ。これにより全員が復活、HPがも全開まで回復した。ここにきてマリーによって加速していた時の効果か、7秒で〈エボリューション〉のクールタイムが終了した。
「7秒たった! やっと7秒たった!」
本来15秒じゃないだけありがたいはずなのだが、これほど7秒が長いと思ったことは無かった。咲はすぐさま次の段階になるため技を発動する。
「エボリューション2!」
「全員で一斉に攻撃だーとにかくHPを減らせー!」
ということでうっぴー3回攻撃、リスク3回攻撃、スズ3回攻撃マリー3回攻撃、ブロード3回攻撃、レイシャ3回攻撃、ミュウ3回攻撃、アレキサンダー3回攻撃の合計24ダメージ咲は斬空剣の構えをとった。
「斬空剣斬空剣斬空剣!」
一回の攻撃で1、1、1、とヒットし3回連続攻撃、合計9ダメージ。全員の合計ダメージ、33ダメージ。イフリートの残りHP367。
「あと117減らせー!」
「くっそー何でこんなに固いんだよ!?」
イフリートが右腕を大きく振り回す、当たったら大ダメージなのは確定的に明らかだ。リスクとスズその攻撃を大きく避ける、イフリートの攻撃は空振りに終わった。今度はパーティーメンバーの特技による攻撃のターン。リスクは〈正拳突き〉を0.3秒で3回放った、2、2、2で6ダメージ。スズは〈五月雨(さみだれ)〉で3回連続の突きを放った、1、1、1、で3ダメージ。
ブロードは〈ブレード〉で攻撃、3ダメージ。レイシャは〈バリア〉を張った、対象とその周囲のパーティーメンバーの物理防御力を上昇させる。効果時間30分、これで防御力は上がるはずだが恐らく付け焼刃だろう。マリーはエレメンタルを召喚、火の玉のような攻撃で3ダメージ。ミュウは〈アクアフィッシュ〉を放った、5ダメージ。アレキサンダーは〈2段突き〉を放った、4ダメージ。合計24ダメージ、イフリートの残りHP343。
「くっそー全然減らねえー!」
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