第8話「1万ゴールド」

 第8話 1万ゴールド


 ◆


◆掲示板◆

戦空【おいこのうさぎ! 殴っても殴っても! ちっとも減らねえぞw】


夜鈴【恐らく、そういう風にシステムでガードしてるのよ】


マリー【でもこのままじゃ進まないよ~】


ミュウ【それならわらわの超パワーでうっぴーをぼっこぼこに倒してやるぞー】


三ツ矢【それをやったとしてもぼこぼこ増えるだけで意味ないぞ】


みこと【空を飛べばいいんじゃないかな? ほらどの道目的地は雲の上じゃんそのうち空を飛べるようになんないと】


アレキサンダー【最初から空を飛べるようになるゲームとか聞いたこと無いですけど?】



 姫が咲にチャットをすすめる


「ほら、チャットしてみなよ、何事も経験だ」


「う…うん」


咲【こ…こんにちわ】


マリー【こんにちわー】


夜鈴【こんにちわ】


三ツ矢【それにしてもこのままじゃ日が暮れるな】


 初めてのチャットに咲は心が踊った

「わわわ、返事が返って来た」


「よかったな」


「ねえ姫ねえ」


「なんじゃ?」


「この人たちに攻略のヒントみたいなのを教えてあげたいんだけど」


「は? いやいやダメだぞ。わらわに頼るのは、ちゃんと自分の力で調べて色々達成しろ」


「でも、ここで悩んでる人達可哀想。何か力になりたい」


「可哀想って…ま~いい最初だけだぞ…街の人達に話しかけてみろ」


「街の人? でも困ってるのはモンスターが通行止めしてるからで」


「おまえあほか肝心のうっぴーは一定の情報しか提示しない、まず情報が足らない。だから冒険の基本は町での情報集めだ、ゲームをやるなら基本だぞ」


「そうたったんだ……ごめん」


「まあゲームをあまりやらない咲に言う事じゃなかったな……ごめん、本来ゲームはわからない人を基準に作っていくもんだからな、そこら辺は修正できるように頑張るよ」


 お互いに励ましあった所で今度は掲示板の方にその情報を送ってみる。


咲【あのう…街の人達に話しかけてみたらどうですか? まずは情報集め…】


あんず【あんたバカ? まずは空を飛ぶ方法でしょうが頭いかれてんじゃないの?】


ダリウス【あんず様の言う通りです】


フー【僕、街から出たくないよ……】


夜鈴【いや……でも街の人から聞くって基本中の基本でしょうよ】


 咲と姫は掲示板を見ながら茫然となった


「……信じてもらえなかった」


「そりゃあな…掲示板には信頼なんてほとんどないし、まあ情報収集の場としては良いかもな……運営にはそんなもの無かったと言うか使う必要が無かったが」


「何で?」


「作る段階からネタバレの嵐さ、知らなきゃ作れない、そして知っててもなかなかクリア出来ない、それがこのゲームさ。まーまずは街の人達に情報を聞き出しなさいな」


「うん」


 こうして、。

 始まりの街ルミネでの情報収集が始まった。

 村人たちに片っ端から話しかける咲。


「この村は平和でいいね~」


「村にはそれぞれ守り神が居てね、この街ルミネではうっぴーが守り神なんだよ」


「この世界の中で一番最弱と言われているうっぴーだがこの世界で一番最強なのもうっぴーと言う噂さ、それはステータスの力でもなく特別凄い秘奥義を覚えると言うわけでもなく根性が凄いと言うだけなんだ」


「かつて世界を暗黒にした魔王軍を討伐する為に勇者が連れて行ったお供がうっぴーと言われている」


「うっぴーを1匹見つけたら50匹は居ると思え」


「うっぴーが邪魔で通れないって? 運が悪かったな群れが消えるのを待つしかないな」


 咲は街での情報収集をおこなった、自分が知らない情報が沢山出て来た。


「肝心のうっぴー達をどうやってどかすかの情報が見つからないね」


 姫はゲームをクリアしているのでその秘密を教えたくてうずうずしていた。


「ぬおわぁ~ダメだ。近くに居ると、教えたくてうずうずしてくる。咲~、ひと段落したらそこの喫茶店まで来てくれ」


「え~一緒に探してくれるんじゃないの~!」


「時間がかかりそうだからな、喫茶店でお茶してる」


「そんな~」


 そういって姉であり運営でもある天上院姫は喫茶店の方に消えていった。


(最悪1週間はこの街から出れないかもな)


 そんな中咲は情報収集を続ける、すると遂に有力な情報を手に入れる事に成功した。


「へへへ、嬢ちゃん情報が欲しいんだろだったら10000ゴールドよこしな、そして俺とじゃんけんをしてに勝ったらうっぴーの群れの通り方を教えてやる」


 どうやらコレがそうらしい。咲は、可能な限り情報を聞き出そうとする。


「えっと……本当に10000ゴールド集めてこられたら教えてくれるんですか?」


「ああ……ただし、じゃんけんをして勝てたらな。もしあんたが負けたらやり直しだ」


(どうしよう、私今0ゴールドだし……一万ゴールドなんて持ってないよ。お姉ちゃんに頼るのは無理だし、そうだ掲示板の人達に相談しよう。あ! そうかお姉ちゃんはこのために掲示板の事を教えてくれたんだ)


◆掲示板◆


サキ【~中略~……というわけなんですン】


みこと【1万ゴールド…】


アレキサンダー【うっぴーを一匹倒すと何ゴールドもらえましたっけ】


ミュウ【5ゴールド】


マリー【そんな無理ですよ…! 不可能です! そんな事をやってたら日が暮れてしまいます】


夜鈴【無理じゃない……戦空! 片っ端からうっぴー倒してゴールドを手に入れるわよ何が何でも一万ゴールド貯める!】


戦空【おっしゃ! わかった!】


サキ【え……! 本当にやるんですか!? 何か抜け道みたいなのがあるんじゃ】


三ツ矢【あったとしても俺達の性分じゃないな】


あんず【あんたらばっかじゃないの!? そんな面倒なのやりたくもないわ! 勝手にやってれば!】


夜鈴【無理じゃない、可能性は限りなく0%に近いけど決して0じゃないとあの紅の夜総団は言ってたわ。恐らくその情報を知ってしまえば掲示板とかで出回ってあっという間に情報の価値が薄くなる、だからこんなに高いのよ】


ダリウス【ではじゃんけんは?】


フー【それこそぼったくりだよ~やりたくないよ~】


マリー【これは…本当に日が暮れてしまいそうね…】


夜鈴【ねえ…ここに居る人達で集まらない?始まりの街だしまだ皆同じ場所に居るんでしょ?噴水広場で待ち合わせでどう?】

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