第5話「伝説のル○ンダイブ」

 第5話 伝説のル○ンダイブ


 ◆


「レベル1なのに初心者プレイヤーを教えていたと言うだけで初心者じゃないことはわかる、決定的だったのは秘奥義だ、あの技は『紅の忍び』しか使えない」


 どうやら咲と姫、二人の今までのやりとりを見ていたらしい。


「俺もβテスターだった、あんたの噂も聞いていた、是非手合わせ願いたい」


「お互い経験者って事か…いいだろう売られた喧嘩は買うのが礼儀だ、表へ行こう」


「鎧は剥いだ……じゃあもう一回奥義をやって~…」


「ま……待ってくれ! ま! まいった! あの一瞬で鎧を全て外すなんてありえない!?」


 男は落ちた鎧を拾い上げて去って行った。


「また来いよ~遊んでやるから~」


 咲は姫の横にきて話し出した。


「終わったみたいね」


「ああ……咲もやる?」


「私はいいわよめんどくさい」


「ああん咲が冷たい所も可愛い~」


「はいはい言ってなさい、有名になると大変なのね」


「お姉ちゃん」


「なんじゃ我が可愛い妹よ」


「この前言い忘れたけど私がログインして眠った時どさくさに紛れて一緒のベットで添い寝するのやめてよね」


「だって~咲の寝顔がが可愛いんだもん、てかログインしてからそれを言うか?がっつり今回も添い寝してるぞ」


 軽く話したがこの姉、天上院姫は妹がログインして眠りについたことをいいことに妹の布団の中に忍び込み、長時間一緒に眠りこけているのだ。


 つまりゲームの世界で今までモンスター図鑑を増やしたり、モンスターを倒したり、秘奥義を発動したり、仲間と一緒にボスモンスターを倒したりしている間。現実世界では姉妹で仲良く同じ布団の中で眠りについているのである。


 姫にとっては妹を驚かせるための軽いスキンシップでありギャグでもある。


「もう、今度からやめてよね……」


「あ~い今度からきおつけま~っす」


「本当にわかってる?」


「今すぐやめろと言わない妹の広い優しさに心打たれましたです、はい」


 というわけで今回も姉妹は一緒のベットの中で、添い寝状態でゲームを続けるのであった。


 私は姉にコレはどういうゲームの系統なのかを質問した、ゲームと言っても色々な種類があるFF系なのかドラクエ系なのかそれを知るだけで印象がかなり変わってくるからだ。


「ん~ポ○モンとテ○ルズを混ぜた感じかな~」


「それ、どっちもオンラインゲームじゃないんだけど」


「ま~固い事は気にするな、運営が好きなんだ」


「運営ぇ~……」


 始まりの街ルミネ王国、ここで咲は姫に色々な問答を繰り返していた。


『いい加減にしろ! 問答無用のボケ殺し! ハリセン!!』


 ――スパアン! 咲はハリセンを持ち、姉の姫に対してツッコミを入れていた。


「おおーいいぞーそんな感じそんな感じー」


「こんな秘奥義どこで使うのよー」


「場所は限定されるが使える秘奥義だぞコレは、」


「そう言えば秘奥義って沢山あるみたいだけど…」


「ああ、一人何個でも秘奥義を作れるぞ、ただ多すぎて管理できなくなるから一人5個~10個ぐらいに設定しとくのがベストかな、あと自分で出来ない秘奥義は出来ないとも付け加えておく」


「へー何でもできるってわけじゃないんだ~」


「試しに何個かやってやろうか?」


「え? いいの?」


「他でもない咲の頼みだ、断われぬ」


「じゃあお願いしようかな」


 ここまで姉が頼りになるのは久しぶりだ、子供の頃は何かと先行して色々な事を教えてくれたが最近では研究の事が優先で現実世界ではめっきり交流と言うか会話が減っていた。


 だがVRMMOの世界ではこんなに頼もしい存在は居ない。我ながら少し姉の事を誇らしく思えた。


『これぞ秘奥義! 見切れるか! 食らえ! 漆黒のつむじ風!!』


 姫が咲のスカートへ向けて技を放ち、スカートをめくれた。


「きゃー!」


「うえっへっへ目の至福目の至福」


 姫が叫ぶやいなや突然突風が吹き荒れた、咲はふわっとなびいたスカートを掴み、白い下着が見えないように覆い隠す。


 キャーと言う黄色い声に驚いた周りの人々が咲に視線を向ける、反射的に叫んでしまったが、それもこれもバカ姉の秘奥義のせいなので怒る矛先は姉へと向かう。


「こら! バカ姉! 何やってんの!? ていうかコレゲームでしょ!? 何でパンちら出来るシステムになってるのよ!?」


「私が入れた!」


「コラバカ姉!!」


「これぞ男のロマン! 市場のニーズにお答えできなければ生き残れないのよ! このゲーム業界では!」


「嫌な業界だな! でもこんなの搭載したら見てる家族が、お茶の間がパーフェクトフリーズするでしょ!?」


「本人は寝てるだけだからな、問題なし」


「問題大有りだ! よくそんな企画が通ったよな!」


「まあ社長も結構変態だからな」


「嫌な社長だな………」


「今度紹介するよ」


「ていうかお姉ちゃん、あんたがフランクすぎるんだよきっと」


「だって~このゲームのターゲット層はオタクだよ?オタクの需要に答えないと生きていけないんだもん!」


「やっぱり嫌な業界だなゲーム業界……」


「そしてなんとパンツの着脱も可能!」


 姉である姫は自分がβテスト経験者なのをいいことにオリジナル秘奥義を間違った方向で発動させる。


『これぞ秘奥義! 忍法! 盗賊のつむじ風!!』


「~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」


 パンツを姉に取られとてつもない顔で赤面する咲


「おほほー良いぞ!パンツを取られた事へのその恥じらい!苦悩!怒り!どれをとっても可愛らしい!」


「おのれ~ッ!」


「げへへ! ふへへ! うえっへっへ!!」


 妹の咲のパンツを手に入れ勝利の余韻に浸る姉、完全勝利した天上院姫。妹に欲情する姉、完全に姉の私情が入っている、場がカオスと混沌と化す。


「さあこれでフィニッシュだ!」


『これぞ秘奥義!伝説のル○ンダイブ』


 姫は着ていた衣服を一瞬で脱ぎ払いブッラジャーとパンツだけの下着だけの姿があらわになった、そして妹とベットインするために咲に向かって飛び込んだ。


 弧を描くように流れるようにまるで水泳選手かのように綺麗なジャンプをする。理由はわからないが何故かベットまでポリゴンにより実体化した。ツッコミを入れるハリセンで叩く


『いい加減にしろ! 問答無用のボケ殺し! ハリセン!!』


 ダメージは1だが軽快な音と共に姫がまるでギャグ漫画のように吹っ飛ばされた。

 そしてこの世界エデンの警察が来て逮捕されて連行された。


 ちなみにその警察のような人はエデンの番人と言うようで咲はすかさずモンスター図鑑のカメラ機能を使って激写した、激写したと同時にモンスターの情報が記録される。


 エデンの番人惑星アナクシマンドロスで不正が発覚すると現れる番人、日々見張りをして監視している。何かあったらエデンの神に報告しに行く。

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