第4話「紅の忍び」
第4話 紅の忍び
◆
バカでかくなった拳がリスクとマリーの二人を吹き飛ばし、おっさんがキラーンとキメポーズをとった。真剣な決闘をやっていた所に二人の戦闘をやめてほしかったのか、ただの目立ちたがりなのかおっさんが入って来た、その一部始終を見ていた姫と咲はポカーンとしていた。
あのいきなり乱入してきたおっさんは何者なんだろう?いやそもしもあの少年と少女は何者なんだろう?
「ん~なんかわからんがあの3人に話かけてみよう、面白そうだし」
「え、ちょっと……」
「がっはっはっは喧嘩はよくないよ君達」
おっさんが少年少女に注意する
「喧嘩も何も、戦闘ゲームするのも立派な遊びじゃない!」
「そうだぞ! うち戦うの楽しかったのに」
「ありゃ、そうじゃったかがっはっはっは」
そこへ姫がやってきて一緒にダンジョンへ誘う。
「なあなあそこのお前らちょっと一緒にパーティー組まないか」
「なんじゃあ?」
「え?」
「いいぞ」
こうして私達5人はパーティーを組んでダンジョンにへ行っていく事になった。
特にこれといって事件も起こらず5人はダンジョンの奥へと突き進むのだった、モンスターもスライムだけ…。そしてボス戦。咲はダンジョンのボスを図鑑で調べる。イフリート
様々な魔術と炎を操るジン。炎属性のジンとされる事が多い。「千夜一夜物語」のランプの精。狡猾で攻撃的な性格の者、壷やランプに封じられている事が多い。
「ぐおおおおおおおお!」
「最初だから簡単な敵だよ、気楽に行こう」
姫は緊張している咲にリラックスするように言う
「う……うんそうだね」
「うぬ……行くぞ」
おっさんが号令をとる
「うん」
マリーがおっさんに続く
「うっひょーバトルだバトルだー!」
リスクが喜び勇みながら前に進む
それぞれが秘奥義を発動し、綺麗に、優雅に、雄雄しくイフリートにコンボが繋がっていく。
『荒れ狂う殺劇の宴、行くぞ! マトリックス! マトリックスリロード! マトリックスレボリューション! これで眠れ! 決着のダウンバースト!!』
『燃える闘魂よペン先へ! 森羅万象我がもとに! 太陽フレア!!』
『おっさんの力見せてやる! 私の前に現れたこと後悔するがいい! 愛ある拳!! 』
流れるようにコンボが連続で決まっていく。
「咲、先に行くぞ、なにあんなに練習したんだ、咲ならいける」
「う…うん」
イフリートへ向かって姫は秘奥義を放つ。
『一緒に踊りな! 耐えてみなさい! 火遁!閃光火の術!!』
咲は前方へ突進する、そして心に念じる。
(大丈夫……いける!!)
咲は初動モーションを発動させた、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『これで終わりよ! 刹那に決める! 彼方に散りなさい! エレメンタルバースト』
そして。
「キャーやっぱり恥ずかしいー!」
恥かしがってしまった咲、やはり「キャー恥ずかしいー!」までが秘奥義みたいな形になってしまった。
しかしモンスターイフリートには全てクリーンヒットしたようで流れるようにコンボが決まった。結果ボスモンスターイフリートは倒された。5人ともの連携はばっちりハイタッチをする余裕も見せる。今日初めて会って名前も知らないような人達だけどちゃんと連携が出来た、これがオンラインゲームの楽しみかと咲は思った。何より。
(でも……皆で叫ぶと…ちょっと気分いいかも……!)
と思った咲
「叫ぶと気持ちいいじゃろ?」
「な……何を言ってるのよ!?」
こんな感じで初のダンジョン攻略は幕を閉じ、私は一度ログアウトすることにした。天上院咲はVRMMORPG『エレメンタルマスター』に再びダイブした。始まりの街ルミネ王国内、
モブのようなモブじゃないような人々がワラワラと特訓用のサンドバックに派手な攻撃を仕掛けていた。
「……はー派手だねー」
(あ、あの人たちって仲いいのかな?)
「派手は派手だがよく見てみろ、名前は派手で強そうだが威力がないただの初心者集団だ、まーこのゲームが発売したばっかりだから皆こんな感じなんだだろう」
「あの人たちはゲームの攻略が目的なのかな~」
「さーなー声かけてみるか?」
姫は咲が気になってたみたいだから気を使った
「いや…いいよ私達は私達でやろう」
「ん、そうか……それが望みならそれでいいが…」
「ところでさ」
「ん」
「このレベルっていつになったら上がるの?」
「ん……もう少しで上がると思うぞ一応レベルの上がりやすさと言うか調整はレベル60くらいでゲームクリアできるような難易度になっておる」
「……なんか、いきなり盛大なネタバレを聞いた気がする…」
「おっとすまん……しかしβテスターとかが一応ゲームをプレイとかしてネットで情報とかを流してしまう時代だからな、わしが言わなくてもいずれ誰かから聞いたじゃろうさ」
「う~ん……そんなもんかね~」
「そんなもんさ、わらわがそばに居る以上ある程度のネタバレは覚悟してもらおうか、言わない努力はするけど、必要だと思ったら言うし」
そんな話を歩きながらした、そして行きつけの喫茶店でお茶をすることにした。
「ここのお茶がすっごく美味しんだ」
「あ……美味しい」
「じゃろうじゃろう」
「へえ、ゲームなのに味がするってなんか斬新……」
二人で和気藹々とと談笑している中、強そうな鎧の騎士が話しかけて来た。
「おい、あんたもしかして『紅の忍び』か?」
その言葉に周りのモブだった観客達、店のお客達がざわついた。
「紅の忍びって?」
「聞いたことあるぞ、βテスト時代攻略組の中でトップの座についていた伝説のプレイヤーだ」
「ギルド名『紅の夜総団』、団員は全員『紅の』何かの名前だったと聞く、そのうちの一人か…」
咲と姫はひそひそ話を始める
「ちょっと……あなたが運営だって事がばれたんじゃない?」
「いや違うゲームをやってた時に有名になった方の名前だ、ゲームを作ってるせいもあって最初から攻略の仕方とか知ってたからさーそれで自然と名が上がっちゃったんだよ」
「なるほど」
強そうな鎧の騎士が話を続ける。
「どうなんだお前は紅の忍びなのか?」
「そうだと言ったら?っと言うか何故わかった…」
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