第3話「秘奥義」■
第3話 秘奥義
◆
「ほうほう」
「百聞は一見に如かず、まずはやってみよう」
そう言い姫は小刀を構える
『一緒に踊りな!』
スライムを一度切りつけ初動モーションを発動した、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『耐えてみなさい!』
小刀による連続5連撃の攻撃がスライムに当たる、そのあと姫は後ろに距離を取り、小刀を逆手に取り剣先から炎のような火のエフェクトが燃え上がる。
『火遁! 閃光火の術!!』
刹那、一気に距離を詰めスライムの背後に回り込む、いや、切りつける。すでにスライムを切っていてその剣先をあとから音速おも超える炎がついてくるゴオオっともの凄いスピードでスライムに向かって当たる。
当たったスライムは派手な炎のエフェクトに焼かれて爆散する。火遁は忍法の一つ。忍法(にんぽう)とは、忍者が用いる体技、ならびに道具を用いた様々な技術の総称である。五遁の術と言うのがあり、火遁、水遁、木遁、金遁、土遁。と言うのがあり。ゲームジョブが忍者な天上院姫は火遁を使った。
かなり派手なまさに普通の戦闘ではありえないオーバーアクションにより敵を爆散している。ちなみに、秘奥義時は自分以外のフィールドは真っ暗になり効果によるエフェクトが発光状態になり光が明るく輝いて攻撃をより派手にしている。要するに秘奥義発動時はあたりを真っ暗にし本来ありえない効果エフェクトを光輝かせて目立たたせている。
キャンプファイヤーの時、火がより綺麗に見えたり、夜空の上に浮かぶ星が綺麗に見える効果を人間が秘奥義発動時にやっているのだ。
故に秘奥義をやっていた時の天上院姫(忍者)は光輝いていた。流れるような連続攻撃により爆散したモンスターはポリゴン片になって消えた。光輝く効果が切れ、あたりの暗闇から解放された姫はキリっと決めた後ヒョロっとラフな感じで咲に話しかける。
「とまあ……こんな感じじゃ」
「おお~、なんか綺麗……」
「じゃろうじゃろう!こんな一瞬の動作の為にかなりの時間と手間と苦労を掛けてるんじゃよ、そこがこの作品の売りだったりするのだがな!」
「でも私にできるかな?」
「なんとかなるさもう一度見せてやるぞ! こうやってこうやって」
そう言うと姫は3回ほど秘奥義を披露する。
『一緒に踊りな! 耐えてみなさい! 火遁!閃光火の術!!』
秘奥義による暗闇のせいもあってか流れるような連続攻撃は一瞬ではあるものの芸術的ともいえるくらいに光輝き、力強く、雄雄しかった。
「わー」
ぱちぱちぱちと他人事のように楽しむ咲、自分の姉が楽しそうに秘奥義を発動させる、その笑顔を観れただけで来て良かったと思えた。
「じゃあ次は咲やってみんしゃい」
「あーやっぱりやる流れなんですか?」
「なんかこう…恥ずかしい…」
「言えば慣れるさ、さあやったやった」
「む~…」
秘奥義を発動する前に発動用のセリフを叫ばなければならない。それからゲームのシステムが自動であらかじめ決められているモーションを実行する。
「最初だから初期状態で使えるセリフを叫べばいい」
「叫ぶって何を?」
「叫ぶ内容はカスタマイズすれば何でもいいが最初のオススメパックは「これで終わりだ!」とか私達は女子だから「これで終わりよ!」とかだといい感じなんじゃないか?」
そうしてステータス画面を確認する。
「ほらこれだ『エレメンタルバースト』」
「…………」
仕方なく咲は最初の初動モーションを呟く……。
「こぉれでぉわりよ……」
シンと静まり返って発動しない。姫が助言をする
「もっと大きな声で!」
『これで終わりよ!』
スライムを一度切りつけ初動モーションを発動した、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『刹那に決める! 彼方に散りなさい!』
前方で3連撃スライムを切りつけ後方で5連撃スライムを切りつける火、水、風、土、のエフェエクトが咲の頭上を回り…。
『エレメンタルバースト!!』
4属性を合わせたバズーカのようなか○はめ波のような波動をスライムに叩きつける。スライムを倒した余波のポリゴン片でまるで桜でも背負っているようにしてスライムに背を向けキメポーズを取っている、そして……。
「キャアァァァァ――恥ずかしい――――!」
折角のキメポーズを台無しにするかのようなセリフを口走った。
「咲の秘奥義は「キャー恥ずかしいー!」の所まで秘奥義じゃな」
と、笑ってその場をやり過ごす。
「もー笑いごとじゃないよ!他人事だと思って!」
「まー何回も叫んでみれば様になるさ」
「本当?」
「本当さ、やってみるがいいさ」
一緒にスライム相手に秘奥義を叩きつけた。
『一緒に踊りな! 耐えてみなさい! 火遁!閃光火の術!!』×2
『これで終わりよ! 刹那に決める! 彼方に散りなさい! エレメンタルバースト』×2
「キャーやっぱり恥ずかしいー!」
「あらら……」
天上院姫が天上院咲をなだめる
「恥ずかしがってたら今後どうしようもないぞ~」
「だって~…」
「ほら……上手くなればああやってオリジナルの秘奥義が出来るんだぞ」
そういってプレイヤー同士が対戦している方を見せる。
片方は格闘家っぽい姿をしている。名は戦空。
もう片方は何やら絵描き?のような恰好をしている。名はマリー。
どちらも手練れのようだ。格闘家のような戦空が秘奥義を発動させる。
『荒れ狂う殺劇の宴』
戦空の方は気合を貯める初動モーションを発動した、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『行くぞ! マトリックス! マトリックスリロード! マトリックスレボリューション!』
マトリックスで連続攻撃を叩き込み、マトリックスリロードで連続攻撃が光輝き、マトリックスレボリューションで画面が白くなるまで光輝く連続攻撃をマリーにお見舞いした。
秘奥義を食らっている相手マリーはただ攻撃を受けるのみである。
攻撃を終えた戦空は空高く舞い上がり雲がかかった空の上まで舞い上がる。
『これで眠れ! 決着のダウンバースト!!』
戦空は下に居るマリーへ向けて下降気流の風の災害を巻き起こした、空は割れ太陽が顔を出す、あたりは晴れ渡り光が場を満たす。
これで決着がつくかと思われた、だが対戦相手であるマリーは立っていた。
「今度はこっちの番よ」
戦空もマリーも構える。
『燃える闘魂よペン先へ!』
熱くはないのだろう手に、ペンにペン先に炎が舞い上がり、マリーはスケッチブックに絵を描き始めた。
初動モーションを発動した、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『森羅万象我がもとに!』
あたりのフィールドが宇宙になり彗星が対戦相手である戦空へ向けて連続攻撃を仕掛ける。
『太陽フレア!!』
太陽系で最大の爆発現象でフレアの大きさは通常数万km程度であり、威力は水素爆弾10万~1億個と同等である太陽フレアを戦空にぶちかます!
周りの景色は宇宙から元の平地へ戻り……。
太陽の業火に焼かれた戦空が立っていた…。
「ふー驚いた、威力は同じか」
「驚いたわね、この絵で立ってる人間が居るなんて」
マリーが汗をたらしながら戦空の方を見つめている。
ただの戦闘にしては他のプレイヤーより威力が段違いなような気がするが……高レベルのプレイヤーなのだろうか?
「お互いもうライフがギリギリって所ね!」
「おう、先に技を出す方が勝つな!」
「行くぞ!」
「ええ!!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおお― !」
「うぉおおおおおおおおおおおおおお― !」
『荒れ狂う殺劇の宴!』
『燃える闘魂よペン先へ!』
互いに初動モーションを発動させたその時!
『おっさんの力見せてやる!』
突然おっさんが決闘に横槍を入れて来た。
それは戦空の『荒れ狂う殺劇の宴!』よりも、マリーの『燃える闘魂よペン先へ!』の初動モーションよりも速く発動して。
乱入したおっさんが初動モーションを発動させた、途端にキュピーンと効果音が鳴り全身グラのカットインが入る。
『私の前に現れたこと後悔するがいい!』
戦空とマリーを素手でばかすかと殴りいきなり出て来たおっさんの次のモーションが炸裂する。
『 愛ある拳!! 』
◆◆◆
豆知識0008
名前◇浮遊戦空(ふゆうせんくう)
分類◇浮遊戦空_キャラクター_プレイヤー_ギルド『四重奏』
解説◇旧チーム名は『西遊記』、4人1組のギルドでチームを組んでいる。ドラゴンボ〇ルの孫悟空みたいな性格。兎に角戦闘好き。俺より強いやつに会いに行く、ヒーロー。特に気にせずに本名のままゲームプレイを始めてしまった人達、というかあまりにも有名でPNを付けても意味が無いほど人気者。
豆知識0009
名前◇大空真理(おおぞらまり)
分類◇マリー_キャラクター_プレイヤー_ギルド『ルネサンス』
解説◇PNはマリー。ギルド『ルネサンス』のリーダーであり、通称『絵描きのマリー』と呼ばれている。絵に描いたものを実体化できる、作業に時間がかかるものの、完成さえすればほぼ何でも出来るスキルを持つ。
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