1話

「おはよ!!!」

朝。僕の家の前。


結菜は付き合い始めてから毎日僕の家まで迎えに来てくれている。

こんな可愛い彼女がいるだろうかっっ


「おはよ〜〜」

「眠そうだね笑」

「昨日夜中までゲームしちゃっててさ笑」

「え?」


突然結菜の顔が曇る。


「どうした?」

「昨日の夜、11時に私におやすみってLINEくれたよね?」

「うん…?送ったけど…」

「それからもまだ起きてたんだ?」


何が言いたいんだ?


「起きてた…よ?」

「そーなんだー」


一気に機嫌を悪くする結菜。

おいおい、どうゆうことだよ…とりあえず機嫌直してもらわないと…


「あー、暑いからアイス買っていかね?」

「…!!!」

一気に顔が明るくなる。

やっぱし可愛い…



「お会計230円になりま〜す」

アイスを2つ持ってコンビニを出る。


「ん〜〜おいしい」

「やっぱ夏はアイスだよなぁあ」

「和君の一口ちょうだい?」


うっ…結菜の上目遣いが炸裂する。

スプーンに一口分すくって結菜の口に入れる。


「おいしい〜〜♡」


はぁ…可愛すぎだろ…


「スプーンに僅かに残ってたであろう和君の唾液が私の体内に入ったって訳だよね…♡」

「ん?なんか言った?」

「何も言ってないよ〜〜♡」


アイス一口あげただけでこんなに喜ぶ僕の彼女はやっぱり可愛い。


・・・・・


結菜は2組、僕は3組だから一緒にいられるのは教室に着くまで。


「もう着いちゃった…」

「昼休みに弁当食べに行くよ」

「ほんと!?」

「ああ」


くしゃくしゃっと頭を撫でると満面の笑みを浮かべた。

本物の天使だ…


「じゃあ…またお昼休みに!」

「ああ、頑張れよ」


ガラッ


「朝から教室前でイチャついてくれてますねぇ??」

「ほんとに!!非リアの気持ちも考えましょう!」


教室に入った途端絡んできたのは、赤城俊也と佐伯莉奈。

中学の時からの友達だ。


高校に入ってからも同じクラスだったから今ではすっかり一緒に過ごしてる。


「しかも〜〜、彼女さんにアイス食べさしてあげてたじゃん〜」

「佐伯!?なんで知ってるんだ!?」


そんなところまで見られてたとは…


「リア充爆発しろぉぉおお」

俊也はもう発狂している。


うるさいが何かとこの3人ですごす時間が大好きだ。


「そーいや和、莉奈、陰地坂46の写真集持ってきたぞ?」

「「まじ!?!?」」


そう!僕は今人気の坂道グループ、陰地坂46の大ファンである。

俊也も莉奈も同じでこうして写真集の貸し借り、イベントの参戦などのオタ活仲間でもあるのだ!


「やっぱ可愛いっすねぇ」

「このページおすすめな」

「リアル天使だわ…しんどい…」


特に僕はメンバーの中でも白竹舞が一番の推しだ。

肩より上に揃えられている茶髪がなんとも可愛い…。


「彼女さんは和が陰地オタって知ってるの?」

「言ってなかった…と思う」


佐伯に聞かれてハッとした。

そういえば結菜には陰地坂の話をしていない。


「次の昼休憩に話すよ」

「うーわ、昼休憩にも会うのかよ」

「リア充爆発してこい!!」


結菜も陰地坂のこと好きだったら嬉しいな…

昼休憩がたのしみでたまらない。


・・・・・


「ゆ〜う〜な」

お昼休憩。2組前。

「和君!!」


結菜が出てきてくれた。


「結菜の隣座って〜〜」

「いいの?」


結菜の隣に座ってお弁当を開く。


「結菜のお弁当…やっぱすごいな。可愛い。」

「そう…?ありがと////」


淡いピンクのお弁当箱には赤いタコさんウインナーにカラフルなポテトサラダ、まん丸のミートボールに、可愛いサンドイッチ。自分で作ってるらしいからもう驚きしか無い。

僕なんか購買で買った惣菜パンなのに…笑


「和君…パン一個で足りるの…?」

「う〜ん、お腹すくときもあるけど大体足りるかな」


結菜は一瞬考えるような顔をして、次の瞬間、

目を輝かせながら振り返った


「結菜が和君のお昼ごはん作ろうか…!?」


「いいのか…!?!?」


彼女の手料理が食べれるなんて…断る理由がないだろ…!


「結菜の作る料理…食べたい!」

「じゃあ明日から持ってくるね〜」


明日からお昼の時間がなにより楽しみだ…。


ん?そういえば今日もお昼を楽しみにしてなかったっけ…。


あ!!

「そういえば結菜!!」

「ん?いきなりどうしたの?」


すっかり話に夢中で忘れてた。


「陰地坂46って知ってる?」

「かげちざか…アイドルグループの?」

「そう!!!」


結菜も知ってた…!これなら話が早い。

さすが国民的アイドルグループ…。


「実はさ、僕陰地坂46のファ…」

「ファンとかいうんじゃないよね?」

「え?」


結菜は机の上のお弁当を見ながら少し震えた声で言う。


「陰地坂の曲…聞いてないよね?」


「…聞いてるよ?」


なにがいけなかったのだろう。僕には分からない。

ただ彼女がいきなり泣き出してしまったから僕がなにかしてしまったのだろう。


「結菜…!?どうしたの?ごめん、僕なにかした?」


「…なにかした?じゃないよ…何?私以外の女子の声聞いて盛り上がるんだ?」


…え?


「盛り上がる…けど、結菜と白竹さんは違うじゃん?」

「へぇ…白竹舞のファンなんだ?」


あ…言わなかったほうがよかったのか…?


「じゃあ聞くけど白竹舞と私、どっちが好き?」


「…それは好きの種類が違うじゃん?」


比べられるはずがない。

でも彼女として最高なのは結菜だけだ。


それなのに…


「…そっか、私以外の女子のことも好きって言うんだ〜。」

「だから種類が違うって…」

「それでも好きって言ったことには変わりないでしょ?」


結菜は教室から出ていった。

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初めての彼女はメンヘラでした みっぷん @mippunsan

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