第21話 日本滞在1

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 ■ 日本滞在1

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 ▼ アルスタン王国 ▼

 

 ふぅ、国内だけではなく対外的なことまで考えなきゃいけないのは大変だ。

 夜は5人の嫁と交代で寝室をともにすることにしている。いや、ともにしているからやましいことをしている訳では、いや、夫婦なのでやましくはないのだが……

 みんな一緒になんて言うのはなにかのイベントの時ぐらいしかしない。

 

 今日はヴィリアを腕枕しながら眠った。

 気がつくと例の白い空間にいた。

 

 「はぁ、やっと来れたか、こら!女神どうなってんだ。このポンコツめ、国ごと帰しやがってどう言うつもりだ。」

 

 私のせいじゃないのよ。そもそもあなた一人帰すのさえ何年もかかるって言うのに国ごとなんてだいそれた事が出来るわけ無いでしょう。

 

 あなたを召喚するときに壊れて補修した話はしたわよねぇ、その時、私の神格も渡した話もしたわよねぇ、それであなたはこの世界と、特にこの国との結びつきが強くなったので帰らなくなったんだけど……

 

 何らかの要因であなたを帰す要因が働いたのよ。それであなたとその国の結びつきは強いのであなたに引っ張られて国も一緒に帰ってきたってことらしいわ。

 

 「"らしいわ"ってどう言うことだよ。」

 『この話は創造神様が仰ったのよ。神格を勝手に上げたことや勝手に修復したことで私は責任を取って抹消処理されそうになったんだから、ホントよ、もう、あと一歩のところまで言ってたのよ。

 でも、創造神様があなたの様子を眺めていて【オモシロソウ】って言ってくれたから、なんとか私の首もあんたの命もつながったのよ。感謝しなさい。』

 

 「まてよーぉ、感謝しろって何いってんだぁ?、全てお前の失敗をおれにおしつけてるだけじゃねぇか。感謝するのはそっちだろ。」

 

 《フォッフォッフォッフォ!、エリステレサも形なしじゃのぉ。》

 『こ、これは、これは創造神様、ど、そうしてこちららに……』

 

 《エリステレサよ、そう怯えんでもええじゃろ。この件の罰は言い渡したはずだ、それ以上でもそれ以下でもないわ。

 なに、新神を見に来ただけじゃ。ウム、お主が今度、地球を管理する神になるものか、とは言っても暫くは先のことじゃからのう。》

 

 「これはこれは創造神様、お初にお目にかかれて恐悦至極に存じます。」

 あれ、俺はなんでこんな喋りかたをしているんだ?、普通に喋っているつもりだったのに……

 

 《フォッフォッフォ!それが神格というものじゃよ。神同士は特に強く意識して話さない限りは神格の違いでおのずとあった言葉遣いになるもんじゃて》

 

 わっ、心を読まれてるのか?、まあ、エリステレサにも読まれていたから不思議ではないが、あれ、じゃエリステレサには普通に喋れるのはなぜなんだ?

 

 《お主の心はもう、エリステレサには読めんよ。普通の喋れるのも神格に違いがないからの、以前、普通に喋れたのはまだ、なりたてで神格があるとはいえ人に近方から今より神格が低かったからじゃ。》

 

 《お主はまだ、人の身を借りておりながらも神格は第6位でエリステレサよりも一つ上になる、これは通常でありえない、通常であればお主の神格は10位のはずじゃ、神界に上がって9位、8位に上がるとようやく世界を管理できる神と認められるのじゃ、そこから更に早くて数千年かけて7位にあがる。それが6位とはのう。》

 

 《ところがお主の神格は高い、実に面白い、だからそんなお主を見つけた事も相殺して抹消は見送ってやったのじゃ。》

 

 《今のお主は特に世界を管理する必要もない、やりたいようにやってみるがよいのっじゃ、世界を救うのも壊すのもいいじゃろう。どんな世界もいずれは寿命がくるからの》

 

 《まあ、好きなようにやってみなさい。儂はこれでお暇するよ。》

 

 「おっ、お待ち下さい。創造神様」

 《なんじゃ?》

 「なぜ、私めにはそんな神格が……」

 

 《お主はそれを知る必要はない、知れば方向を見誤るかもしれんからのう。一つだけ言えばお主の父方に関係しておるかの。

 では、さらばじゃ……》

 

 俺は土下座をして創造神を見送った。創造神の気配が消えてからようやく頭を上げることが出来た。

 

 

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 ▼ 記者会見

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 日本では新大陸発見の知らせは当初から報道されてはいたが詳しい情報はわかるわけもなく、女王の動画が公開されていこう政府に対して情報の公開を求められていたが、ようやく公開された。

 

 政府の公式発表を行います。

 政府は○月○日、地震と共に新大陸が千葉県沖250kmの所に出現しました。

 国名はアルスタン王国で政治形態は絶対君主制を取っております。

 大きさは8,956,000 km²と北米よりもわずかに小さいくらいで日本のおよそ24倍の面積に500万人(実際は250万人)ほどの住民が生活しており、文化形態は中世時代に似て入るものの中にはこちらよりも進んでいるものもあり、驚くことに住んでいるのは人族だけでなく亜人と呼ばれる種族も暮らしているとのことです。

 

 記者が一斉に質問の手を上げた。

 【山中TVさんどうぞ!】

 自衛隊が拿捕されたとの情報がありますが実際はどうですか?

 はい、たしかに、行き違いもあり、一時的に拿捕と言う形になってしまいましたが、隊員たちは勾留期間中も賓客として扱われており、大使を派遣して誤解を解消し既に隊員たちは帰国しております。

 

 日東TVさん

 明華人民国がアルスタン王国に攻撃し報復を受けたとの情報がありますが?

 他国のことであり、我が国でも掌握は出来ておりませんが何らかの軍事行動が双方であったの認識はあります。

 

 読捨新聞さん

 今後日本はアルスタン王国に対してどういった対応を取るのでしょうか?

 国交を開き通商条約を結んでいきたいとは考えておりますが、まだ、具体的な指針は経っており混ません。

 

 日日スポーツ

 女王の動画が公開されましたが、女王の詳しい情報はありますか?

 政府としてもあの動画以上の情報は掴んでおりません。

 

 以下も長々と続いたが30分を過ぎたところで質問は打ち切られた。

 

 

 予測出来たことだが、完全鎖国というのは難しくて通信回線は引き連絡は取れるようにはなった。

 国家間での取引はまだ先延ばしにはなるが、民間での取引はフルブ島にのみ行い本土への入国は全面的に禁止。それと魔石の輸出も禁止。

 一部の魔法具と付加魔法の着いた衣類や工具類は輸出可能にした。

 

 

 

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 ▼ 直人日本へ行く

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 もう、帰っては来れないと一時は思っていたけど、帰れたのなら親に知らせないわけには行かないだろう、どうせいずれはバレるんだろうしその時に家族にちょっかいを変えられたら面倒くさいことになりかねないしね。

 

 ここが元の日本なら同じ世界内って事だし俺の転移でも行けるはずだ。

 幸い、自宅は道場なんかもあって道場の裏手ならひと目もつかないだろう。取り敢えず転移してみるか。

 

 あっさりと転移は成功した。

 考えていた通り道場の裏に転移は成功した。つまりここはやっぱり俺がいた元のと世界ってことか……

 取り敢えず裏口から家に入る。うちは道場をやっている都合上、裏口は常に開けてあった。

 自分の部屋に行ってみると部屋は俺が転移する前の状態のままだった。

 定期的に掃除されているようでホコリ1つ積もってはいなかった。正直なところ俺の部屋のものは撤収されて捨てられているか、倉庫にでも放り込んであるかと思っていたからちょっとばかりウルって来てしまった。

 

 下に降りて冷蔵庫から麦茶をついで1杯飲んだ。

 さて、おふくろは仕事だし妹は学校だろう、ま、家には夕方にでも来るとして山内にでも電話してみるか……

 

 山内真司、直人のクラスメイトであり友人だった。当時15歳だったので現在は20歳になってるはずだ。

 『ぷっ、ぷっ、ぷっ、プルルルル、プルルルル……はい、山内ですが……』

 おっ、電話番号は変わっていなかったみたいだな、山内は...

 

 「おっ、俺だ!!、直人だ。久しぶりだな」

 『なっ、なっ、直人か?、おい、ホントに直人なのか?』

 

 「あぁっ、正真正銘俺だ、きっちりと足も有るぞ!!」

 『全く、今までどこに言ってたんだよ。本当に心配したんだぞ!!まあいい、電話でもはなしていちゃわからん、そうだな、千田の喫茶店でどうだ?、俺は10分ぐらいで付くよ。』

 

 「おぅ、わかった。俺もそれくらいで行けるとおもう。じゃ、後でな!!」

 

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 ▼ 親友との再会

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 約束の喫茶店に付くと山内は既に来ていた。5年ぶりに見る山内はすっかりおっさんになっている。

 

 「久しぶり、5年ぶりだな、すっかりおっさんになったな。」

 『全く騒がせやがって、お前が消えた時は大変だったんだぞ!、それにしてもお前はそれほど変わってないな……うーんちょっとは老けたか?

 まあ、そんなことより、一体今までどうしてたんだ?、俺と委員長の目の前で魔法陣が現れて消えたからてっきり異世界にでも転移したかと思ったぞ!!

 大人たちにはそんな事は話せないから大変だったんだぞ!』

 

 「す、済まない……実は信じられないと思うけど……

 俺はアルスタン王国に召喚されて暮らしていたんだけど今回、なぜか国ごと帰ってきたって事なんだ。」

 

 『いや、いや、信じるよ。実際に目の前で消えているのも見てるしお前自身もこうして俺の目の前にいるんだからな。でも、帰ってこれてよかったな、実家に戻るんだろ?』

 

 「顔見せに戻るって意味なら帰るけど、日本に戻ってくるって意味ならNOだ。

 5年経ったんだ、俺もあっちでの生活も有るし、嫁もいるしな。」


 『よ、嫁って結婚したのか?』

 友人の山内は口を開けたまま呆然としている。

 

 い、いや、まだ、二十歳になったばかりだろういくらなんでも早すぎじゃないのか?

 うーん、異世界はラノベの通りなら15歳で成人のはず、そう考えるとそうでもないのかぁ……あぁ、負けた……俺は彼女すらいないのに

 別に争うことでもないのだが山内は負けた気がしていた。

 

 「まあな、そんな訳で今更こっちに帰ってきてって言うわけにも行かないさ、それに俺はこっちだと中学中退だぜ!、仕事なんてあるとおもうか。

 そういえば、お前はどうなんだよ。今は大学生か?」

 

 『いや、働いてんだ。おじさんのところでな。商社何だが、商社って言っても家族経営に毛が生えたような規模でしかないけどな。

 大学も考えたんだが落ちて浪人の間バイトで働いてたんだが、まあ、いつの間にか社員になってたって感じだ。』

 

 「そうなんだ、いいんじゃないか?、結局働くのは同じだし今の会社に不満がなければ何の問題もないだろうし。そういえば委員長はどうしてる?、彼女は頭が良かったし大学生ってとこか?」

 

 『あぁ、彼女は大学生何だが、今は休学中だ。去年事故にあってな。それ以来休学している。』

 

 「えっ、そうかぁ、酷いのか?まだ、長引きそうなのか?」

 

 『いや、もう、怪我自体は治っているが、自宅に引きこもってるよ。

 事故で両足を切断したんだ。センターラインを超えてきた車と正面衝突してな、相手は酔っ払い運転だった。』

 

 「そうかぁ、大変だったんだなぁ」

 直人は考えていた。中学時代、友人の真司は別として委員長は何かと世話を焼いてくれた。まあ、あまり役には経たなかったけど……

 それでも俺の事を気にかけてくれた人には間違いなかった。

 委員長に対して特別な感情はなかったがそのまま見過ごせる存在ではなかった。

 

 「なぁ、真司、長谷さんを俺の国に連れてこれないか?、足はなんとかなると思う。」

 

 『なんとかって、切断してもうないんだぞ!……あぁ、もしかするとポーションや回復魔法が有るってことか……』

 ラノベを愛読している真司はすぐにポーションや回復魔法の存在に気づいたのだった。

 

 うーん、やっては見るが事故以来、俺れが会いに行ってもあってもらえなかった。誰が行っても同じ結果らしいが、その話があればなんとかなるかも知れないな。

 そのポーションや回復魔法の手配はお前でも出来るのか?

 

 「あぁ、それは問題ない...とにかく連れてきてもらえればなんとか出来ると思う。もし、どうしても来たくないってことだったら無理矢理は止めてくれ、本人の意思を尊重したいと思う。

 もし、うまく行ったらお前のところでこの世界にはない商品を独占で卸しても良いぞ!!」

 

 ん、わかったよ。無理強いはしないさ。

 ところでどんな商品があるんだ。

 

 あぁ、例えば来ていれば温度を一定に保てる服なんかどうかな、付与魔法で寒くないパンストや熱くないスーツなんかも作れるぞ!

 

 『おおーーーっ、そんな物が本当に作れるのなら凄いなぜひ、うちで扱わせてくれ。』

 

 「おぅ、委員長を連れてきた時にサンプルを渡すよ。」

 『ところでどうやって来ればいいんだ?、船や飛行機はでてないだろ?』

 

 「ほら、これを渡しておくよ。この国の携帯だ。今の所、普通の携帯にはつながらないがうちには連絡できるからそれで連絡をくれ。地球上ならどこでも通じるぞ!」

 

 『おっ、ガラケーかぁ懐かしいな。わかった。決まったのなら連絡するよ。』

 

 真司とはそれからお互いの近況などを話し合ってから別れた。

 5年の歳月は決して短くはなかった。真司にしても容姿はすっかりと大人びていたし、話し方も随分としっかりとしていた。

 

 

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 ▼ 工作員

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 直人は家族が帰るまで時間が有るために気晴らしを兼ねて街をぶらつくことにした。商業街を通り抜けると繁華街になる。

 

 直人の前にはパンツスーツを履いたパッキンのおねーさんが歩いていた。

 立派なお尻はきっとものほんの外人さんだろうなってしょうもない事を考えながら歩いていると、そのお姉さんはポケットからスマフォを取り出す時にクレカみたいなカードを落とした。

 

 それを拾い上げるとどうやら部屋のカードキーみたいだった。

 これでこっそり侵入してムフフって事を考えないわけでもなかったが、そこは善良な市民として届けないと。

 

 「ちょっ、ちょっと、すみません、ポケットから落としましたよ。」




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