第19話 日本との交渉3

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 ■ 日本との交渉3

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 ▼ 総理官邸

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 総理、今入った情報ですが、昨夜、明華の人民評議会最高書記長、公安部部長、国家安全局の局長の3名が亡くなったそうです。

 3人共、外傷もないのに心臓だけが切り取られたかのようにすっぽりと無くなっていて公式には心疾患による病死と発表されました。

 

 明華人民評議会は最高書記長に劉人民評議員を選出、劉最高書記長が率いる人民評議会はアルスタン王国に対して、旧書記長が私欲で評議会及び軍を動かし双方にとって不幸な事態になった事に懸念を表明するとともに、アルスタン王国を新国家として認めアルスタン王国が望めば如何なる援助も無償で提供する用意があると声明を発表しました。

 

 「明華が最初に国家として承認するとは思ってもいなかったよ。ま、責任は死んだ前書記長に負わせて融和路線に切り替えたってとこなんだろうな。」

 

 

 〈な、なんだって?、どうしてそんな事に……うん、うん、あぁ……そりゃまずいな〉

 公安部の伊倉一歩は携帯を相手に怒鳴りながら話していた。

 

 〈そ、総理大変なことになりました。〉

 「な、何だどうしたんだ。」

 

 〈はい、今現場から連絡が入って拿捕している容疑者と積み荷を2時間以内に返せと、守られなかった場合、日本に対して宣戦布告を行うと。

 最初は九州全域に対して神の審判が下るだろうと。〉

 

 「一体どうしてそんな事になったんだ。」

 はい、通訳として確保した容疑者を連れて行ったのですが、それを見た向こう側の者が大層怒り、無理やり奪還、銃を抜いた護衛の警官は腕を切り落とされたそうです。そのまま警官と公安の者は向こう側に拘束されました。

 

 「容疑者を連れて行っただけでどうしたそこまで怒るんだ?、文化の違いか?」

 それが容疑者を腰ひもでつないでいたことに大変腹を立てたらしく、運が悪い事にその容疑者はイスマニア王国の王女だそうです。

 奪還された王女の口から拷問されていた事実が向こうに伝わり激怒した模様です。

 

 「馬鹿な拷問なんてしたのか?、それも少女をだと? どうなんだ?」

 〈…………〉

 「答えないか伊倉!!」

 はっ、はぁ、少女と言いましても、獣の姿をした人モドキでしたので、人権もなければジュネーブ条約も適用されませんので国内法でも国際法で適法ですので許可しました。

 

 「ばかな……それはこっちの都合だろう、向こうの都合で考えたらどうだ。向こうからすればこっちは毛のない裸の猿程度に思われているとは思わんのか?

 お前の娘が同じ目に遭ったらどうだ……

 

 このバカ者が……これが世間に知れた破滅だぞ!!

 貴様は日本を破滅に導くつもりか……」

 

 「とにかく至急送り返せるように手配しろ、これは全ての事項に最優先する案件だ多少の法律無視も構わん、幕僚長、至急輸送の手配をしろ!

 公安は企業に回した魔石は全て回収、関係各所は最優先で急げ、時間がないぞ。」

 

 〈総理、幸いなことに相手は中世時代の文明程度しか持たない国家です、いっそのことP3-Cの搭乗員が拿捕されているのを理由に武力で制圧しては……〉

 

 【ガシャーーーン!!】

 総理の卓上にあったペン立てが公安の席へと飛ぶ!

 

 「バカ者!!

 相手はあの明華さえ融和路線に変更するような国だぞ!、海に飛び込む兵士を見ただろう。空から叩き落された兵士を見ただろう。

 最後のおまけは心臓の抜き取りだ。 そんな相手とどうやって戦うんだ!。

 仮に勝てたとしても国際世論は一斉に我が国を非難するだろう。日本は異世界人を虐殺ってな!」

 

 〈しかし何らかの弱点はあるはずです。〉

 

 「その弱点を探している間に九州は全滅したら責任はとれるのか?、貴様の命ぐらいじゃ全く釣り合わんぞ!!」

 ……

 

 {首相、後30分ほどで準備が整うそうです。チヌーク5機に分乗して届けるしかありません。船では当然間に合わないので人員と荷物だけは先に届けて船自体は後日と了承してもらうしかありません。それて魔石ですが、積み荷の記録と合わせますと38個たりません。}

 

 今度は国の存続を掛けた大事な交渉になる一歩間違えば明華より悲惨な事態を招きかねない、交渉には誰を大使として出すか?、もう、時間はないぞ!

 

 《首相、提案があります。》

 そう言って手を挙げたのは今まで一度たりとも発言しなかった法務省の事務次官である武富和也だった。

 

 《私が思うには首相がある程度の権限を降ろした部局、例えば特殊歩外対策局を作り、そこには柔軟な思想を持った人物を局長にすえて一元で管理できるのが望ましいと思います。

 こういった全く素人ばかりが集まっても結果碌な事にはなっておりません、私としては現国務省事務次官補の神代渉君を推薦します、彼は異世界の事には詳しいようですしこうなる事を予測していた節もあります。時間を掛けて探すなら別ですが今の場だと彼以外の人選はないかと思います。》

 

 参加者全員が事務次官補の神代を見て、うなずく様に首を縦に振っている。

 「どうやら皆の考えは同じようだ、そう言う訳で神代君、君を特殊歩外対策局の局長に任命し今回の大使を命じる。

 なお、部下はこの交渉が終わってからゆっくりと構成していくと良い。」

 

 〈ちょっと、ちょっと待って下さい。それはあまりにも無責任すぎませんか?私だって素人です。〉

 まいったなぁ、皆、俺に丸投げして全ての責任をかぶせようとしてきている。この交渉がそう簡単に行かない事は全員分かってるはずだ。

 

 「もう時間がないのだ、とりあえず君はすぐさま飛行機で飛んでくれ。到着次第、ヘリで運んでるからもう少しだけ待ってくれと頼むんだ。さぁ、行け!!、ヘリで羽田まで飛べば空自のU-125が羽田で待機している」

 

 〈はぁ、分かりましたよ、やるだけはやりましょう。でも責任は持てませんからね。〉

 そう言い残す事が彼の精いっぱいの抵抗だった。

 

 

 

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 ▼ アルスタン王国

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 陛下、自衛隊の者から連絡があり新たな大使が先発として飛行機で向かっているそうなので着陸許可を求めています。

 

 「分かった、攻撃機を上げて誘導しろ」

 着陸させたらそのまま、フルブ島に案内して置け

 {ハッ!、仰せのままに……}

 

 暫くすると大使到着の知らせが入った。

 「さて、今度はどう出て来るやら、ヴィリア頼んだぞ!」

 『はい、陛下お任せください!』

 

 ヴィリアが付くと日本側の大使はすでに来ていた。

 《始めまして、私は日本国特殊歩外対策局の神代渉と申します。》

 『ご丁寧にどうも、私は外交担当のヴィリアと申します、どうぞお掛けになって下さい。』

 ヴィリアは神代をソファーに座るように勧めたが神代は立ったまま切り出した。

 

 《ただいま、拘束していた船員と物資はヘリで運んできております、速度の都合上どうしても間に合いませんがそこをご了承ください。》

 

 『まっ、それくらいはいいでしょう。』

 

 《有難うございます。この度は当国の一部の者の不始末の為に大変ご迷惑をおかけしました。当国では本来きちんと守らねばならない決まりを守れなかったことを深く謝罪いたします。》

 

 『いいでしょう。謝罪は受け取ります。

 こちら側の要求を伝えますね、船員が受けた肉体的、精神的に受けた苦痛に対しての賠償として一人当たり2億円を支払ってください。王女に対しては20億円を支払ってください。

 荷物は戻ってくれば問題は有りません。』

 

 神代は思った。

 賠償額に関してはおおむね予想通りだった、むしろ王女の賠償に関してはもっと高額になると思っていたがこの程度なら払えるだろう。後は魔石の問題だ。

 

 《はい、賠償金に関しては問題ありません、ただ、積み荷の魔石ですが実は38個ほど紛失しております、申し訳ございません。》

 神代はそう言うと何度も頭を下げた。

 

 『紛失したのであれば仕方ないですねぇ、私は企業に研究の為に渡したのかと邪推しておりました。我々は真実を貴ぶ民族です。騙される事を何よりも嫌います、無くされたのなら仕方ないですが、そうでない事が後で分かった場合は、全ての話が無くなりますが……

 もう一度、お聞きします。魔石は紛失しましたか?』

 

 神代はソファーを人生これまでにな速さで飛び降りて床に土下座した。

 《も、申し訳ございません、企業に渡しております。お許しください。》

 

 『そうですか、残念ですね。魔石は当国にとっても必要な資源です。加工する事に寄て様々なエネルギーとして活用できますから企業が欲しがるのも無理はないでしょう。

 魔石自体、安いものは一粒、日本円にして10万(嘘です、安いものは100円)程度ですが、今回はペナルティーとして一粒、10億円を支払ってもらいます。』

 

 《分かりました。しかし380億となると一括では払えないので数回に分けて頂く事は可能でしょうか?》

 

 『駄目ですと言ったらまあ、角が立ちますね、うふっ、まあ、魔石の支払いに関しては今回は据え置いて後日、交渉しましょう。』

 

 『ただ、私どもとしては魔石の件は国というよりは企業に支払って頂きたく思ってる事を念頭に置いておいてください。』

 

 『国に払わせて知らん顔をしていると、某国の指導者の様に突発性心臓紛失症をおこすかもしれません。』

 

 『こちらの世界では症例がないみたいですが、我々の世界ではよくありましてよ、特に証拠を残さない悪人が掛る症例として知られています。

 特に四菱、山川島、ヘバル、山崎、町田製作所、石油関係も一杯ありますわねぇ、全部挙げるのも大変なので止めておきますね。』

 

 …………

 私でも先ほど一部の企業しか聞いてないのになぜ情報がここ迄筒抜けなんだ。すでに日本国内にスパイが潜入してるのか、どっちにしてもこの女の子は只の少女なんて思うととんでもない目にあう、やりて婆と思うぐらいがちょうどいいだろう。

 

 《分かりました、戻りましたら渡した企業を調べ上げて賠償させます。》

 

 『まあ、そんなに慌てなくても結構ですわ、企業の財産と言えば人ですわよね、人材で払ってもらうって方法もありましてよ。もちろん、我が国では技術者は高給で優遇されておりますから待遇面での心配はございませんよ。』

 

 《はい、検討させてください。》

 目的は金でなく技術か……ふぅ、技術の流出は問題だが恐らくそう先端の技術を望んではいないだろう、それなら問題はない。寧ろ好都合だ、人材の派遣でこちらの技術もある程度は知れるかもしれない。

 

 『ええぇ、結構ですわ、持ち帰って十分に検討してください。

 優秀な人材であれば一人10億の賠償として扱いましょう。

 

 それと、これだけは譲れないものがあります、イスマニア王国の王女に手を挙げたもの、そしてその許可を出したものをこちらに引き渡して下さい。

 これは絶対条件です、これは譲歩する事は絶対にありません。

 2日間の猶予を上げましょう。

 駄目なら、そうですわね、国の重要人物にランダムで突発性心臓紛失症が流行るかもしれませんね。』

 

 《はい、その件はここで判断する権限がございませんので持ち帰らせて頂きたいと思います。

 それと先に拿捕されたP3-Cの搭乗員に関しての解放条件に詰めたいのですが》

 

 『あぁ、それですわね、金額はどうしましょうか?、わが国では不当に国に侵入した軍人に関しては例外なく処刑と決まっております。……

 困りましたわね。』

 

 《ま、まさか、隊員たちはすでに》

 『いえ、いえ、皆さんお元気ですよ。一人連れてきておりますが、お逢いになりますか?』

 

 《是非、お願いします。》

 ヴィリアはインターフォンを押して脇坂を呼んだ。

 

 {ヴィリア様、お呼びでしょうか?}

 

 『こちらは日本の大使で神代渉殿、あなた達の解放の交渉にいらっしゃったのよ。ご挨拶して……』

 

 〈君はP3-Cの搭乗員か?〉

 {はい、そうです、以前P3-CではIFTを担当しておりました脇坂陽治です。}

 

 〈元気なようだが困った事は無いか?〉

 {はい、全然問題ありません、搭乗員全員、個室を提供されていますし食事も満足に提供されています、酒も出ます。あえて言えば自由がない事ぐらいでしょうか?}

 

 〈あ、そうか……まあ、捕虜なんだから自由がないのは仕方ないな。〉

 個室に酒?、捕虜にそこまで優遇していたのか、それなのに、まあ怒るはずだな。しかし彼はなぜ、ここに。しかも以前と言ったのはなぜだ?

 

 〈脇坂君だったね、君は今でもP3-Cの搭乗員だろう。〉

 {いえ、私はアルスタン王国に亡命が認められてアルスタン王国の国籍を取得しました。日本の国内法にのっとり日本国籍を放棄しますので手続き方お願いいたします。}

 

 〈老婆心ながら聞くが君は強要されたのかね。〉

 

 {まさか!、私はこの国の風土、文化、人に触れこの国で暮らしたいと望み、無理やり頼みました、駄目なら殺してくれと頼んだら聞き入れてもらったぐらいです。}

 

 むろん、彼は尻尾の為とは言わない。

 

 {それより日本がこちらの少女に拷問やいかがわしい事をしたのは事実でしょうか?}

 

 〈あぁ、残念ながら公安の一部が手柄欲しさに焦ったのだろう、その後始末の為に私はここにいる。〉

 

 {そうですか、元日本国民として非常に残念です。そんな国とは思いもしませんでした。で、犯人は捕まったのですか?}

 

 〈いや、まだだ……色々あってな。〉

 {まさか、獣人を人とみなしてないなんて言いませんよね。そんな事を言うのなら許しませんよ。}

 

 〈おっ、おい、君!!〉

 

 『脇坂、止めなさい、大使ですよ。いくら腹が立っても手を挙げてはなりません。』

 

 {ですが、ですがぁ、ヴィリアさまぁ、こ、此奴らはマリアーノ様を……此奴は差別主義者ですぜひ、天誅を下すべきです。}

{私は元日本人として悔しいやら情けないやら……}

 脇坂は悔し涙を流しながらオイオイと泣いている。

 

 『あははっ、彼はどうも獣人に対して凄く思入れが深いようで……』

 ヴィリアは苦笑しながらなんとかその場を抑えようと必死だ。

 もう、脇坂ったら、ここ迄、獣人に思い入れが強いとは思ってなかったわ、はぁ、連れて来るんじゃなかったわね。

 

 

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