第9話 魔神討伐完了
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
■ 魔神討伐完了?もとい解決
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
「おおーーっ、勇者殿が帰られたぞーーっ!!」
衛兵の一人が城内へと連絡に走っていく……
『勇者様、ご帰還おめでとうございます。お怪我はありませんか?』
メルクリート王女が涙ながらに声をかけてくれる。
うーん、心配してくれていたんだなぁ~王女のこんな姿を見ると愛おしくなってくる。すぐにでもメルクリートを抱きしめたいけどぐっと我慢する。
《ナオトーっ、無事だったのでよかった。よかったよ~!》
アリエルにいきなり抱き寄せられた。がっしりと掴まれて立派なお胸の押し付けられて苦しかったが幸せだ。あぁ~このまま死んでもいいと本気で思った。
幸せは長く続かない、メリクリートとジェシカによって引き離されたかと思うとジェシカん抱き寄せられた。
うん、ゴツゴツしたのも嫌いじゃないです。
メルクリートがジト目で睨んでいるので程々で止めた。
<ナオト、おめでとう!よくやったね。>
「うん、なんとかなったよ。」
不思議に3人共俺の討伐成功を疑っていない。まあ、討伐はしていないんだけどね、事件は解決したけど。
宰相も出てきて良ければすぐにでも話を聞きたいということで別室での報告となった。
▼ 報告 ▼
開口、一番!!
「魔神は討伐していません。」
{ど、どういうことなんだ、失敗したのか?失敗しておめおめ帰ってきたのか?}
睨んでる、睨んでる、これまでにもない形相で陛下は俺を睨んでいた。
『取り敢えず、勇者様のお話を聞きましょう。話はそれからです。』
メルクリート王女がその場を押さえ話をすることになった。
俺は今回のいきさつをすべて話して聞かせた。
《クックックックッ……》
アリエルが俺の話を聞いて笑いを抑えながらも押さえきれていない。
宰相は俺が渡した少女たちのリストを確認してくると言って一旦、退席して言った。
<しかし変ですねぇ>
「何が?」
<うん、ナオトを疑うわけではないけど、獣神とあろうものが戦いもせず、すんなりと事を収めると言うのは不思議です。獣神は神の中で一番の戦闘マニアで所謂脳筋なんですよ。それが戦わないっていうのが不思議で、なにか思い当たることはありませんか?>
「そういえば帰りたくない女の子が俺の口を塞ごうと獣神に殺してなんてエグいことを言ったんだけど、獣神は無理、敵わないと言ってたなぁ~」
<そ、そんなぁ。獣神様は闘神様と並んで物理的な戦闘では1,2を争うほどの強さを誇ります、武器を使わないなら獣神のほうが強いでしょう。それが戦わずして諦めるなんてそんな事が有るなんて……>
「そういえば獣神は失礼な事を言ってたなぁ~」
<なんて言ってました?>
「うん、俺は神じゃないのかって?、神じゃなければ自分が恐怖心を覚えることなんてないし人間には絶対負けない物だってさ。
失礼しちゃうよね。」
<…………>
やはり使徒様なんだ……私の思っていたことはこれではっきりとしたわ。
ジェシカは自分の考えが正しいと確信した。エリステレ様の使徒なら獣神様と同格……あれ、同格なら戦わずしてって事はないはずよね。むしろ戦わずにはいられないそれが獣神というもの……
獣神様よりも格上の存在……
『ところで勇者様、獣神様の人の姿の時は何という名前ですの?』
「うーんっと、たしか、タクマランって名前だったと思うよ。」
『タ、タクマランですかぁ……』
「知ってるの?」
『もちろんです、この国で知らぬものはいないと言っても過言ではないでしょう。』
清廉潔白にして孤高の冒険者、この国で最強のSランク冒険者と言われてます。』
《クックックッ、あのタクマランが実は少女たちに貢ぐために馬車馬のようにはたらいていたとは……笑えますねぇ……民が知ったら失望ものでしょう。ジェシカは笑いを抑えきれないでいた。》
「その辺は本人の希望もあり内緒にしてほしい、何にしてもスタンピードから守っているのは本当だ。獣神がいるかぎり大規模なスタンピードは起きないだろうからな。」
「むしろ、身売りするような少女ならタクマランに送るほうが幸せでは...あそこにいた少女は屈託もなく笑ってた。」
『そうですねぇ、本来獣神様は放浪の神、それを留めて置けるのなら、そしてその少女も不幸にならないのなら国で高く買い上げてあげるって手も……まあ、その辺は陛下と相談してからの話ですね。』
「ま、獣神はきっとありがた迷惑だろうけどな。」
「すまないけど、後は適当に話しておいてくれ、流石に疲れたから今日は休ませてもらうよ。」
俺はそう言うと、彼女たちの声を背に受けて振り返らずに手をあげて退室した。
部屋に戻るとベッドに横になる。
はぁ~何だががっくりと疲れたなぁ~
きっと、次に目が冷めた時は自宅のベッドに寝ているはずだ。
帰りたいと思っていてもいざ帰るとなるとさびしいものがあるなぁ……あぁ、アリエルの尻をもっと触りたかったなぁ、胸も揉んでみたかった。
ジェシカも……俺は意識を失った。
▼ 直人が抜けた懇談室 ▼
宰相に渡したリストのすり合わせは10人全員が一致した。少女の名前を直人がしるはずもないので魔神の件はこれで解決とされ、今後どうするか様子を見て決めることにしたが獣神がこの国を去らずに済む方向になるだろう。
少女の件は取り敢えず、そのまま放置なり、貴族の子女だけ極秘に内情を離してどうするかを決めることにした。
冒険者、タクマランと獣神は関係ないものとし、公表は控えることになった。
「さすがは勇者だな、こんなに早く解決してくれると思わなかった。早速、伯爵に叙爵しないとな、うん、最短で伯爵になった記録になるな。」
<陛下、ご報告があります。>
「なんじゃ、言うてみよ。」
ジェシカの真剣な顔に陛下も気になったのか真剣な面持ちだ。
<はい、勇者様、ナオト男爵は実は亜神では、それもかなり高位の亜神と思われます。>
「どうしてだ?、おぬしはこの前までナオト男爵は使徒様ではないかと言ってたではないか?」
<はい、理由は2つあります。>
<一つは獣神がナオト男爵と戦わなかったこと。陛下もご存知と思いますが、獣神さまは神界きっての脳筋です。強い相手を見れば戦わない事はありません。
それがあっさりと戦わずして負けを認めた点です。>
<もう一つは獣神様がナオト男爵を神と思っておられること。これはナオト様から聞きました。そして獣神が言ったことですが……>
<人はどんなに強くなっても獣神には勝てないってことです。それを聞いてハッとしたのです。この世界の人族は絶対に神には勝てません、これはそういうしきたりですまた神は上位の神とは戦いません。>
『《ナオト様が亜神……あぁぁ...ス・テ・キだわ!》』
メルクリートとアリエルは深く考えることなく頭の中は花畑になっていた。
「はぁ……のうぉ、ジェシカよ、儂はナオト男爵に同接したら良いのだ。使徒様でも儂よりずっと上の立場だ、これが亜神ともなればひれ伏さねばならん。」
このままで良いのでは……
しかしそれでは……
<陛下、ナオト男爵はそんな事望んでいません、それに本人は亜神とは気づいていませんのでこれまで通りでいいと思います。何より堅苦しいのをナオトは嫌いますから。>
<ただ、心配なのは直人を妬んだ貴族が直人にちょっかいを掛けないかですね、まあ、彼になにかする分は彼は許すかも知れません、でも、姫様、私、アリエルに危害加えれば領地ごと更地になるかも知れません。>
<まっ、姫様に手を出すとは思えません、私も同様です。むしろかかってこいと言いたいぐらいですが、心配なのはアリエルですね。>
<陛下の方でそういった貴族には気をつけて頂きたいです。むしろ叙爵を早くして手が出せないほうが良いですね。男爵では下位貴族ですから……>
「うむ、叙爵は急ぐとしてもまずはアリエルじゃな。
アリエル、お前はこの場でメイドの任を解き騎士爵を授ける、今後は直人男爵の護衛として常に付き従え……良いな!!」
<ははぁーーっ、ありがたき幸せ、陛下そしてこの国に忠誠を誓いナオト男爵の警護の任に当たらせて頂きます。>
やったぁ~ラッキー棚からぼたもちってこの事よね。ナオトと今以上に一緒にいられる。あんなことやこんなことだってできちゃう。
あ~ん迫られたらどうしよう。私、弱いから許しちゃう~!やだぁ~
『へ、陛下、私も騎士としてナオト男爵の警護にあたりたいです。』
「な、なにをバカなこと……お前はすぐにナオト男爵と結婚だ、ちょっとの辛抱だ我慢せい!!」
はぁ、メルクリートがここまで惚れておるとはのう、まっ、好都合じゃ出来れば好きな男と結婚させたいからな、ともかくメルクリートの結婚は急がんといかん。
国王はメルクリートと直人の婚姻を急ぐことにしたのだった。
魔神討伐の件で貴族を呼び寄せているから皆が集まり次第、予定を早めてさっさと結婚させるか……
これも国の為だ……。
直人は夕食も取らずにぐっすり寝た。元の世界の帰るのを信じて……
まだ、あたりも暗い早朝、目が覚める。
「ふぅ、帰って来た……ん、寝たときと同じ部屋、同じベッドだぁ」
も、もどってねぇーーーっ!!!
コラーーッ!責任者出てこーーぃ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます