無音ではないが、嘘みたいに静かな研究室は、俺とエレナの話し声だけで空気が揺れているようだ。 

 目を瞑れば二人の声だけの世界って感じだな。

 おっといけない、話しを戻すとするか。


 「知りたいのは、ルカズの失踪に繋がる情報なんだけど、何か知っているかい?」


 「そうね、私が知っていることは、きっとあなたも知っていると思うけど。どうしても…って言うなら、そうねぇ、あなたの初めてを私にくれたら、すごぉい秘密を教えて

 

 「ふざけるなよ。何か知っているなら、タダとは言わない、礼金は弾むぜ」


 「ふふ、冗談よ。ウィザードさんは真面目なのね」


 ついさっきまで、吼鸞と呼んでいたのに、またウィザードかよ。まったく、メンヘラ気質の女ってのは、どうも理解し難いぜ。


 それにしても、わざわざ此処に連れて来ておいて、情報が無いって事は無いだろう。


 然りとて、本当に何も知らないってことも無くはない、その時は根掘り葉掘り聞くしかない、長期戦もあり得る。

 覚悟しておくか…

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