5
辺りはすっかり暗くなっている。
街灯の少ない田舎道、交通量も少なくて、俺たち以外に走っている車など無いと思えるほどのNight。
来た道を引き返し、行き着いた先なんだけど…
(あれっ、ここ研究所じゃないか、家に行くんじゃないのか)
エレナは何故か研究所へ戻って来たのだが、今度は地下の駐車場へ行くようだ。
これは何やら、秘密基地への入り口って感じでワクワクしてくるね。
「ウィザードさん、こっちよ」
エレナに誘導され、バイクを研究者用の駐車スペースに停めた。目的の場所は更に下の階にあるらしく、エレベーターに乗り込むと、インジケータは地下5階を表示して停まった。
「さぁ、着いたわ」
「おお、なんだ此処は!」
思わず声が出たよ。
エレベーターの扉が開くと、目の前に広がっていたのは、太古の地球の原風景。此処には、観たことのない植物や観たことのない動物達がたくさんいて、さも当たり前の如く生活していたんだからな。
「おいおい、なんだいコレは?」
「ふふっ、驚いた?そうねぇ、此処は太古の地球の博物館ってとこかしら」
「そうか、太古の地球を科学の力で再現してる…ってことか、現実世界で映画みたいな事して、あんたらは楽しんでいるんだな」
「あら、案外さっぱりしてるんだ、もっと喰いつくと思ったのに、因みにね、遊んでるわけではないわよ、私達人類はいつか地球を離れる時が来て、宇宙のどこかの惑星に移住する、その惑星で地球と同じ生態系や環境を一から作り暮らすの、其れを実現する為に研究してるのよ」
「ふーん、そいつは壮大な話だな、それにしても、あんたら科学者はやっぱり変わってる、夢が夢の様だ」
「何よそれ、あなたはリアリスト志向が強いのね、もういいわ、こっち来て、脚見てあげる」
エレナに連れられるまま、草原を歩き、大きなシダ植物や大きな被子植物の群生地を越えると、いかにも研究室らしい、真白で無機質な部屋が唐突に現れたんだ。
「ここよ、さぁ、入って」
エレナが扉の前に立つと、センサーが発動し扉が次々に開いた。
廊下を歩いて奥へ進んで行き、案内されたのは救護室だった。
救護室も白の内装で簡易ベッドが二台置いてあった。
微かに消毒薬の匂いがするのを感じると…途端、救護室に野太い男の声が響いたんだ。
「やー、エレナじゃないか!どうしたんだい、こんな時間に?」
「やーって、室長こそ、何しているんですか?」
「いやはや、息子の事で、奥さんと揉めちゃってさ、
「室長、それは逆効果ですよ、今すぐ帰った方がいいです、確か息子さんは今年大学受験でしたよね?尚更ですよ」
「いいんだよ、俺と息子は強い絆で結ばれているんだ、心配は無用さ、恐いのは奥様だからさ、今日はここに泊まることにしたんだよ」
「はあ、左様ですか、もう何も言いませんよ」
「ああ、大目に見てくれよ、それにしても、だ、其方の方は誰なんだい?いくらエレナでも、外部の人間をここに入れるのはちょいとマズいと思うけどな〜」
俺はなんの気なしに二人のやり取りを聞いていたが。
白髪混じりの
「おお、これは失礼したね、おれは吼鸞、探偵だ」
「探偵…」
俺は挨拶をすると、室長の顔つきが恐ろしいほど一気に険しくなったんだ。
こいつは困った、またもや何かがあるのだろう。
少し怖がっておくのが正解だったか?
ま、いいさ、どんな事でもやってやるよ。
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