調査

 ピオーネの果軸が皿に横たわり、爽やかな満腹感が体を包んでいた。


 「さてと、そろそろ行くとするよ、解析は頼んだぜ、ただし深く行きすぎるなよ」


 「うん、大丈夫、任せてよ。吼鸞クランも気を付けてね」

 

 物輪もののわにデータ解析を任せると俺は、ルカズの元恋人エレナについて調査を開始した。

 

 (ふう、どうするか…これから事務所に戻るのも危険だな。となれば一旦動いてみるか)


 物輪の作業場近くに保管して置いたヤマハFJR1300に跨がると、西日に向かって俺は走り出した。

 安心してくれ、バイクはオートマだ。勿論カラーはマッドブラックだぜ。

 

 俺は久々のバイクに仕事を忘れ、ツーリング気分で山道を流した。

 天気も良くご機嫌の気候の中、峠をいくつか越えると、あっという間に目的地へ到着したんだ。

 楽しい時間はすぐ過ぎちまうんだよな。


 (資料によれば、この建物だな)


 ここは、かなり田舎のさらに辺鄙なところ、この広大な土地に大きな研究棟が3棟建っている。

 その建物の中で一際と大きな白い建物があるんだ。どうやら、其処にエレナがいるらしいのさ。


 しかしだ、なんだ此処は?

 周りの自然と田畑とのギャップがあり過ぎて、この辺りだけSF的な未来空間なんだ。

 言ってみれば、だな。

 いやはや、何か起こりそうな場所だぜ、まったく。

 まぁ、いい、そろそろエレナを探すとするか。

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