7
「よし、いい天気だ」いつもの様にスタンドからスポッと右脚に義足を装着、朝の準備を全て整えると、ヴゥヴォーンとエンジンを轟かした。
今日もLFAは快調だ、俺は早くから事務所に向かうと、ルカズの元恋人のエレナについて調べるつもりだった。
しかし、其の願いは脆くも儚く散ったんだ。
「こりゃ、酷いね…」
事務所は資料から家具から観葉植物まで、ありとあらゆる物が散乱していた。
まぁ、十中八九はソフィアのお仲間の仕業だろう。
依頼から手を引かせる為によく使う脅しさ、なぁに、初めてのことでは無いから驚きはしないが、これ、片付けるのが面倒なんだよ、分かるよな?
「これ高かったのに…新しいの買わないとなぁ」
PCが破壊されているのを見つけた。
データはUSBデータに保存してあるから問題ないが、こんなことする奴らのことだ、事務所で仕事するのは辞めておいた方がいい。
俺は尾行を避ける為、念のためバスとタクシーと電車を乗り継いで、かなり遠回りして、とある場所へ向かったんだ。
(久々だな、ここへ来るの気が引けるんだよな…)
地方都市の駅近く、徒歩2分の地下1階、そこからさらに秘密の扉を開けると、あいつの作業場はある。
ギィー
鍵を掛けていない頑丈な扉を開けると、部屋中にこもったカビっぽい匂いが吹き出した、俺は鼻を摘んだよ。
「おーい、『
返事はない、いつも通りの展開だ、こういう時は決まって奥の寝室に居るんだ。
ドン、ドン!
「開けるぞ」
ガチャンとドアを開ける、するとやっぱり布団でぐっすり眠る物輪が居た、こいつのタイム感は臨機応変だが、まぁ、大体は夜型だな。
「物輪!起きろー、吼鸞だ、仕事持ってきたぞー」
「うーん、うるさいな、今何時だと思ってんだよ」
「もう10時だぞ、いい子は起きる時間だよ、物輪君」
「あー、わかったわかった、わかったからあと少し寝かせてくれ、あっちで勝手に待っててくれよ」
「はいはいー、じゃあ、お言葉に甘えて待つとするよ」
しかし、物輪の家は陰気だ、別に汚ないわけではないが、薄暗くて多種多様な物で部屋中溢れ返っている。
(これじゃ、女は絶対に寄り付かないだろうな、ま、他人のことは言えないけど)
物輪が起きるまで換気でもしておくとしよう。
カビ臭いなんて絶対体によくない空気だろ、わかるよな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます