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ソフィアとのやり取りが終わって、夜も深くなった頃、俺はまだ事務所にいた。
それというのも、コピーした莫大なデータを細部までしらみつぶすという、悪魔的な確認作業をしていたんだ。
こんな地味な仕事だって手は抜かない、其れが超一流ってもんさ。
しかし、気にかかるのは、やはりデータの保存日。
そして、ついさっき見つけたルカズの元恋人「エレナ」との通信記録。
ココにルカズに繋がる手掛かりがあるのは間違いない。
俺は先を急ぎたい。
だが、目はシュパシュパだ。限界だった。
いい仕事に無理は禁物、いい塩梅のところで見切りを付けて明日また続きを行へばいい、其れが真の一流なんだよ。さぁ、家に帰ろう。
義足を外してザァーッとシャワーを浴びて、ソファに深く腰掛けると、ウイスキーとナッツでまったりする。
至福の時だ、外を眺めれば海が見える。
今すぐにリタイヤ出来るほどの成功者ではあるが、ある意味では不成功者だ。
だって悠々自適な生活より、命を狙われる仕事を続けてるんだぜ、狂っているだろう?これがウィザードの呪いかもな。ははっ、笑えてくる。
ウイスキーを飲みながら海外の旅番組を見終えると、俺はベッドに横になった。
そうすると自然に依頼のことを考えだす、イメトレみたいなもんさ、日課だよ。
やはり考えてしまうのは、PCのデータ保存日のことだ。
裏では名うての探偵三角、そのセキュリティ対策抜群のオフラインPCにアクセスできる奴なんて、そうそう多くない。
恐らく三角がいつも使っていたハッカーであろう。
相手は表舞台にも裏舞台にも中々顔を出さない連中だ、しかもハッカー連中には鉄の掟があって、知り合いのハッカーの情報は一切漏らさない。
漏らせば最期、あいつらの全ては肉体ではなくコンピュータの中にあるからな。
とはいえ、これでは埒が開かない、明日は俺が使ってるハッカーを訪ねてみよう。
それで上手く行けばいいのだがね。
さぁ、今日はもう寝るとするか。
「照明を全部消してくれ」
ベッドからAIに話しかけ、ひとり眠りについた。
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