　西暦2267年。この年、三人の少女が産まれた。

　ソフィア·ハーマイン

　アオイ·スプリング

　カナミ·ブラックストーン

　数奇な運命は、彼女らを翻弄した。

　月面連合の女神となったソフィアは、その晩年、『二つの重力の狭間にて』という書を著した。自らの人生を描いた、自叙伝であった。その書の中で、彼女はこう書いている。

　「私の前半生は、20歳の時に終わりを告げた。だが、その最後の五年間は、これ以上無い程に激動の五年間であった。」

　彼女らが十代二十代を生きた時代。それは、正に激動の時代であった。それも、その激動の中心も中心に彼女らは、いたのであった。

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