酒呑の目覚め

 ~♪

 スマートフォンのアラームが鳴っている。手を伸ばすが起きる気力がなく、鳴り終わってからまた眠りに落ちた。


 しばらくしてベッド横の床の上で目を覚ます。ひどく頭がガンガンする。完全に二日酔いだ。

 ふらふらしながらキッチンへ足を運び、冷蔵庫から調味料を、棚からロックグラスを取り出した。


 ロックグラスに卵を割り入れ、ウスターソースとケチャップ、ビネガーを雑に垂らし、コショウをかけて一気に飲み込む。このプレーリーオイスターというカクテルが二日酔いに効くと聞いてから、寝起きに飲むようにしている。


 ……これが美味しいかどうかは人によるだろう。少なくとも私は慣れてから美味しく感じるようになってきた。


 続けて私は棚からウィスキーのボトルを取り出す。ロックグラスの内側を濯いでゆすいで、ロックグラスの半分ほど、ウィスキーを流しいれ氷を入れた。


 なんだかんだ言っても、二日酔いのひどい感覚には迎え酒が一番効くのだ。私はウィスキーを注いだロックグラスを手に、ソファーに腰をかける。


 しばらくして私は気づいた。"影"が家の中に見えない。あの"影"は酒を呑んでいるときは場所を選ばず現れるのだ。


 "影"たちにも営みがある。もしかしたら、どこかに出かけているのかもしれない。そんなことを考えていると、気づけば時間は午後の5時を回っていた。


 行きつけの居酒屋が開いている時間だ。あのお店はお酒もあても美味しいので、ご飯ついでに向かうことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る