あの頃はバカだった……

 ”あの頃はバカだった”と数年前を懐かしむ。

 バカだったけれども楽しい日々であったことに違いはないだろう。

 ヘンにいろんなことを考えたり、何かをどうしようとか、そんな面倒なことは考えていなかったのだろう。(もちろん当時のバルなりにいろいろ考えはあっただろうが)


 バカとは言ったが、これは無知による馬鹿とは違う。自分が無知であることを知った上で何も学ぼうとしないどうしようもないものとは雲泥の差である。

 知らなかったのは知ではなく限であろう。


 君の夢は無限大!

 よく聞く言葉である。本当に無限大なのかもしれないが、それは考え方1つで有限になってしまう。時間の経過で余計な知識を身に着けていく分、道は限られていく。

 夢を追えている人は余計な知識が入って廃れていく前に努力の重要性を知れた人なのだろう。羨ましいとは思わないが強い人なのだろうとは思う。


 夢を見つけられない、夢をあきらめた。これらは余計な知識が入ってしまったためにバカでいられなくなって、夢を馬鹿馬鹿しく思ってしまったのだろう。努力が実る前に限を知ってしまったのだ。


 何かを始めるのに遅いなんてことはありません!

 そうなのだろう。大抵は何かを始める時間と余裕がないだけである。それが作れたら誰も苦労しないのだ。


 限りを知らず、恐れを知らず、好き勝手していたあの頃に戻りたいとは思わないが、今もバカでいられたらさぞかし楽しかっただろうと思う。


 そして、そんなことを思っているバルはとっくの昔に朽ちてしまっているのだろう。

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