第3話
さてさて、良い案も出揃って来ましたし、そろそろおしまいにしましょうか。なんて思ったところで、一人の天使が挙手をしました。私、訊いてないんですけど。
ですが、挙げてくれたからには当てなければなりません。折角の意見ですしね、聞くだけでも得ですし。
えっと、彼女は誰でしたっけ。えー、あ、まだまだひよっこ20歳のお子ちゃま天使のリマちゃんじゃないですか。
さぞかし可愛らしい意見を発表してくれそうですね。
「どうぞ」
リマちゃんはおどおどしながらゆっくりと立ち上がり、辺りを見回しながら、話し始めました。
「はい。えっと、あの、私、話すのが苦手ですから、た、単刀直入に、言いますね」
「ええ、どうぞ、お願いします」
「あの、人間の嫌いな物を二倍に増やす、というのは、ど、どうでしょうか」
「ほう、人間の嫌いな物ですか。しかし、それは一体なんですか?」
「それは、あの、人間によって違います。百人百様です」
ってことはあれですか、世界人口約78億人全ての人類の嫌いな物を倍に増やすってことですか。
「それは、あまりにも労力が…」
「いえ、心配ご無用ですエルちゃん」
あなたと私は100歳差はありますよ!
ちゃん付けとは何事ですか!この子の教育者は誰ですか!
しかし、私は大人な天使です。まさかここで彼女に向かって「さん付けをしろ!!」なんて激昂はしません。寛大な心を持って、私は彼女と接します。
「何?なんか案あるん?」
おっといけません。乱雑な言葉遣いになってしまいました。
「はい、あの、この天界には、神様の社の他にもう1つ社があるのはご存知ですよね」
「そりゃ勿論。先代の神様が祀られているやつですよね」
「はい」
そこで勘の良い私は気付きました。
「まさか、天使が神頼みをするんですか!?」
「はい!」
物凄い笑顔で、はい、と言われても。しかし、術はこれしか無いんでしょうか。
一応、皆さんにも訊くとしましょうか。
「リマちゃんの案に賛成且つ、先代の神様へ神頼みをすることに賛成の方は、挙手をお願いします」
ここで私は、目玉が飛び出るかと思いました。
全会一致でした。
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