なんとか避けた。眉間の痛みと寒気と吐き気が蘇る。下腹部の感覚がなくなり、ふわふわとした気味の悪い浮遊感を感じる。

 その場から動けない。しかし、若葉さんは容赦なく銃口を俺に向けた。

「これくらいの拳銃っていうのは、ほとんど当たらないらしいね。もちろん、ゼロ距地なら話は別だろうけども」

 若葉さんが銃口を向けながら近づいてくる。逃げたいが足が動かない。

「ここで問題だ。曽根君。この距離だと、命中率はいかほどだろうね?」

 俺の腹に銃口が当てられ、間髪なしに引き金が引かれる。火薬の匂いが鼻をついて、俺は意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る