第27話 【未開の】現代に現れた謎の建造物について情報共有するスレ【ダンジョン】

「さあさ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ダンジョンめぐりのお供はいかがですかー?」


 ダンジョンが発生して3日目。

 政府は昨日のうちに、民間人がダンジョンに立ち入ることに自粛要請を発表した。

 だが、効果は薄かった。


 なぜか。

 既に、噂は電子の海で広まりつつあるからだ。



【未開の】現代に現れた謎の建造物について情報共有するスレpart7【ダンジョン】


1:名無しの探索者 ID:UQW/qhy9H

『現代に現れた謎の建造物』について情報共有するスレです

・次スレは>>900

・荒らしはスルー

・雑談は雑談スレへ



126:名無しの探索者 ID:2tnFpdntq

やばいやばいやばい


132:名無しの探索者 ID:4tL4KTDbq

知ってる


139:名無しの探索者 ID:qKSh5mT0m

今さらダンジョンの発生に気づいた口か?

睡眠薬でも盛られてたのか?


148:名無しの探索者 ID:2tnFpdntq

違う

俺ダンジョンの中に入ってきたんだよ

そしたらスゲーことに気づいちまった


157:名無しの探索者 ID:Ine3NYzsl

情報共有ありがたい


163:名無しの探索者 ID:OZ1NW+lTM

thx


167:名無しの探索者 ID:qy7lnjSv8

はよ


173:名無しの探索者 ID:Ss35xFje/

見えるんだよな

ダンジョンから帰ってきてから

『ステータス』が


176:名無しの探索者 ID:34Y2vuZW9


179:名無しの探索者 ID:7wGOQEkI2

嘘松


182:名無しの探索者 ID:YMBlbyQzQ

おじいちゃん

お昼ご飯は昨日も食べたでしょ……


184:名無しの探索者 ID:2tnFpdntq

嘘じゃねえよ!

そして>>182は今日の分の昼ご飯を作ってやれ


186:名無しの探索者 ID:3vvuLkAbR

俺もダンジョンちらっと入ったけど見えない

つまり>>173は嘘つき


196:名無しの探索者 ID:2tnFpdntq

気づいてなくても当然か

「ステータス」って声に出さないと見えねえからな


201:名無しの探索者 ID:IyKEMN9kc

ステータス()


210:名無しの探索者 ID:BMkVELr0K

>>173

お前

脳が……っ


218:名無しの探索者 ID:7GaJJHTlP

待って

マジでステータス出たんだけど

ちなみにダンジョンには踏み込んでない


227:名無しの探索者 ID:ml8ggM9s0

は?

嘘つけ


230:名無しの探索者 ID:m/cpqGTYR

そうやって俺たちにステータスって口に出させる作戦だな?

ひっかかるわけ……


237:名無しの探索者 ID:m/cpqGTYR

マジでなんか出てる

この中に眼科医はいないか……?


238:名無しの探索者 ID:wDv4cjpbR

壮大な釣り針

引っかかるやつなんていないでしょ


247:名無しの探索者 ID:3dEe5MNx6

おおおお!

俺スキルってのがある!

【早熟】(´;ω;`)


253:名無しの探索者 ID:T78gyR0jd

ここまで>>173の自演


262:名無しの探索者 ID:7l2WSbR4f

>>253

自演じゃないんだよな……

騙されたと思ってステータスって口にしてみろ


271:名無しの探索者 ID:68+Lu9D5Z

>>262

わかったよ


281:名無しの探索者 ID:KVZRUQJK4

>>271

マジで声に出そうとしてて草


289:名無しの探索者 ID:68+Lu9D5Z

>>281

騙されるところだったわ!


294:名無しの探索者 ID:7l2WSbR4f

いやマジで出てくるんだよな


298:名無しの探索者 ID:r9FnqrGtO

ステータス確認したやつだけのスレ立てようぜ


304:名無しの探索者 ID:KXzCUuuBG

【大きな声で】ステータスを調査するスレpart1【ステータス!】

ttps://********



 と、いうことがあって。

 ダンジョンの発生に伴い、各々が自分のステータスを確認できることが判明した。

 その後、なぜかこういうときだけフットワークの軽い有志たちによってダンジョンアタックが行われた。


 その中には早熟スキルを持ってるやつがいて、そいつがレベル2になったらしい。

 そしてステータスの上昇が確認。


 ――ダンジョンに現れた魔物を倒すと能力が上がる。


 そんな噂が広まるのも時間の問題だった。

 そうしてダンジョンにもぐりこむ人が増え、その中の一人が隠し部屋を発見。宝箱から未知の硬貨を発見したことで、研究機関までもがダンジョン攻略に乗り気になった。


 政府が自粛を要請?

 スタートダッシュはゲーマーの嗜みだ。

 聡いゲーマーならこの後政府が強硬的にダンジョンへの侵入を禁止することも、そうなるまでにレベルを上げた人が勝ちなことも気づくだろう。

 いくら自粛を呼びかけたって潜る人は潜るし、まわりがダンジョンアタックしているのを見れば潜らない人は自分がバカを見ていることに気づく。


 人の欲望ってのは、そう簡単には止められない。


「あれ? 灰咲くん!?」


 声がして、振り返る。


「やっぱり灰咲くんだ! やっほー!」

「桃井さん! お久しぶりです」


 桃井茜さん。

 俺の元同僚で、俺が退職するのを後押ししてくれたうちの一人だ。

 こんなところで会うだなんて。


「びっくりしちゃった! 灰咲くん髪切ったんだね! えへへー、前にもましてかっこよくなってるよー」


 あ、それ魅力CHA上がったからです。


「桃井さんこそ、その衣装とっても似合ってます」

「えへへー。あたしのお気に入りなんだー」

「桃井さんはここで何をして……」


 ダンジョンの近くでブルーシートを敷いて、商品らしきものを陳列している。出店か? 出店なのか?

 や、ファンタジーだと迷宮都市って概念もあるし、その理屈はわからんでもないけど……。


「ふふん! よくぞ聞いてくれました! これこそ、あたしが考えた最強の商売!」


 ばん!

 と、桃井さんは自分の口で効果音を出して、横に置いていたプラカードを手に取った。


「冒険者ギルドだよ!」


 わー、壮大な計画。

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