第26話 タッグ結成
『と、いうわけなんだけど、ルナはどうするのがいいと思うよ?』
結局、俺一人では決めきれなかったので、持ち帰ってダンジョンマスターに相談することにした。
『一国だけが情報を独占するのは、あんまりよくないんじゃないかなー?』
『やっぱそうなるか』
『私の知ってることを教えるのはやめておいた方がいいかも』
と、いう会話を、俺とルナは全くの無表情で繰り広げた。理由はまあ、隣にナターシャがいるからだ。
『ちょっとちょっと! 二人して何の話してんのよ!』
『あれれ? ナターシャさんは言葉がわからなくても顔色で推測できるんじゃないんですかー?』
『そんな真顔かつ無動作の相手から推測できるわけないでしょ! 情報落ちなさすぎよ! ていうかこの天使みたいなのがいるなんて聞いてないんだけど!?』
『口には気をつけろよー。そいつ、その気になったらお前なんてまばたき一つの間に17回は殺せるからな』
『こわっ!? なにそれ!?』
なるほど。
読まれる前提で意識して無表情無動作を心がければナターシャを欺くことも可能と。
『ルナはハッキングとかできないの?』
『んー、私が使ってるデータって
『なるほど。そのうち習得可能なわけだな』
ルナから追加で集めた情報をもとに、この話し合いの落としどころを決めるとしようか。
まず、こっちがダンジョンに対して持ってる知識はゼロという前提のもと話を進める。いちいちどこまでオープンにしてどこまでクローズドにするなんて線引きしてたらいつかぼろが出るからな。
俺たちがやるのは、あくまでナターシャの情報収集の手伝い。彼女が入手できる情報は彼女が集められる範囲に絞る。こうすれば、ある程度アドバンテージが取れるものの、情報が一極化するのは抑えられるんじゃないかな。
そして、その期間について。
これはルナがハッキング技術を習得するまでの間とする。それ以降は俺たちにメリットが無いからな。
だいたいこんなところか。
『オーケー。ナターシャがダンジョンの情報を集めるのを手伝うよ』
『本当に!? ありがとう!』
『ただし、条件がある。期間はルナがハッキング技術を習得するまでの間だ』
『うっ』
ナターシャはしばらく口に手を当てて、深慮に浸っていたが、やがて顔を上げて頷いた。
『わかったわ。それでよろしく。カズマ』
『オーケー。その期間だけ頼むわ。ナターシャ』
それから少し、今後の予定を立てて解散することになった。
帰り際、扉の前でナターシャが「あ、そうだ」と言って振り返る。目が合った。多分、数秒。
ナターシャはそれから「ううん、やっぱりなんでもない」と口にすると、バイバイと手を振って部屋を出ていった。
最後、彼女は何て言いたかったんだろうな。
*
――私は、短期間でパートナーを解消するつもりなんてないから!
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