第3話 立ち上がる少女



「ノエル様、任務に向かった者達がピンチです。どうか力を貸して下さい」


 ふさぎ込む私にかけられた言葉。


 大事な仲間達が大変な目に遭っている。


 自然と手が剣へと延びていた。

 

 私は決めた。もう迷わない。

 彼らが信じてくれたこの身を剣へとかえるのだ。

 私は再び立ち上がる。


「皆、待たせたわね!」


 また舞台に上がって、踊ろう。

 

 完璧じゃなくてもいい、皆で協力しないながら。


 任務で危機におちいった仲間達を助けにかける。


「信じていました」

「それでこそ君だ」


 待ちわびていた皆に剣を掲げて、復活を示した。


「私の仲間を傷つけた罪は重いわよ。覚悟しなさい!」


 敵に向かうこの体は軽かった。 






 任務はものの数分で片付いた。

 負傷者はでたけれど、犠牲者は出なかったようだ。


 戦いが終わった後、私達は固く抱きしめ合った。


 もう迷わない。

 自分の弱さには立ち向かっていこう。


 そう思いながら。 


 翌日。


――英雄復活、任務で大手柄――


 新聞の見出しを見て苦笑する。


 英雄の復活とは、大げさな。

 でも私は、大騒ぎする皆を見て満足だった。

 この平和を守れてよかった。


 私は悪役だから大した事はできない。

 けれど、その足りない所は皆に補ってもらおう。


 そうやって、支え合いながらこれからも頑張っていこう。


「皆、これからもよろしくね」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役令嬢に転生したから、原作通り舞台から降りたのに、今さら戻って来いなんて言わないで:多 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ