第3話 フィアナの気持ち
出店に訪れた最後のお客さんをさばいた後、従業員をねぎらう。
ここの所、新顔が増えたので、いつもと違う出店での営業がすんなりいくか不安だったけれど、好評でよかった。
そんな事を考えていたら、お城の使用人さんが私に取り置きの料理を持って、背中を押してきた。
おそらく、お祭り用のテントで横になっている男性に届けてこいという意味だろう。
今日の食材をとどけてくれたその男性はお店の常連だ。
普段から陰ながらお店を助けてもらっている。
本人は内緒にしているつもりだけれど、使用人さんや用心棒さん達からはつつぬけだ。
いつも大変な時に助けてくれる彼には、頭が上がらない。
一時は好意を抱いていた人でもあるが、おそらく高貴な身分の出自である彼に、そういった感情を向けるのは失礼な気がする。
恩人である彼には、一度きちんとお礼をしなければならないのだが、なぜか使用人さんと用心棒さんには、それはやめておけと言われてしまった。
ならどうすればいいのだろう。
いつかこの恩を返せる日がくればいいと思うのだが。
乙女ゲームの攻略対象に転生したんだけど、俺がヒロインを落とす方法を教えてくれ! 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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