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「一体何の用です?僕も彼女も忙しいのですが」


チャールズ様がヘンリー様との間に入ってくださいました。


「俺を助けて欲しいんだ!頼む、少しで良いから話を聞いてくれ!」


必死に頼み込んでくるヘンリー様は、以前家に来た時よりも切羽詰まっているようです。あの時はお話をせずに追い返してしまいましたから、今回は聞いて差し上げましょうか。


「……話を聞くだけなら」


「ローラ、良いのですか?」


「聞くだけです。ここで叫ばれ続けても迷惑ですので」


少し不満そうなチャールズ様を宥めながら三人で別室へ移動し、とりあえず話だけ聞くことにしました。




「ヘンリー様、話とは何ですか?」


「もうすぐこの国は干ばつに見舞われるらしい。対策を考えるのを手伝ってほしいんだ」


全く公務に興味を持たなかったヘンリー様が干ばつ対策ですって?


「失礼ですが、なぜヘンリー様がそのようなことを気になさるのですか?」


「それは……国王の命だ。これが出来なければ、教会送りにされてしまう。だからっ!」


「それは大変ですね。ですが、一介の子爵令嬢に過ぎない私に手伝えることなどありません。他をあたってください」


「待ってくれ!ローラ、君が子爵領で活躍しているのは知っているんだ!君が必要なんだ……。僕がどうなっても良いのか?!」


都合の良い考えをしていらっしゃるのね。何と言われようと協力する気はないですけれど。どうやったら諦めてくれるかしら……。


悩んでいると、チャールズ様が助け舟を出してくださいました。


「ヘンリー様、本当に国王が、あなたに国の重要な政策を任せるとお思いですか?」


「どういうことだ?!」


「干ばつの対策が失敗に終われば、困るのは国民です。そのような重要なことを、国王があなたへのテストに使いますか?と言っているのです。国王はあなたほど愚かではありません」


「お前、何を言って……」


「私がすでに策を打っているということです。国王直々の命によってね」


そうなのです。チャールズ様は、私と出会う前から干ばつへの対策をしていらっしゃいました。私がそれを知ったのは最近ですが……。だから土壌や作物に精通していらっしゃったのでしょう。


「ち、父上は俺をすでに見限っているというのか?!」


「さあ?国王の胸の内は分かりかねますが、少なくとも信頼はしていないでしょう。本当に対策を講じることが出来れば、信頼を取り戻せたでしょうがね」


「そんな……」


「お分かりいただけたら、もう帰ってもよろしいでしょうか。それと、今後ローラに用がある時は僕に連絡いただけますか?彼女は僕の妻となる女性ですので」


「……嫌だ。嫌だ!俺は教会になんか行きたくない……ローラ、頼む。こんな奴じゃなく、俺を選んでくれ!」


呆れたお方です。誰が私を捨てたか忘れてしまったのですね。


「お断りします。私、ヘンリー様に捨てられてからとても幸せなんです。あなたを選ぶ訳ないでしょう?」

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