7 ※ヘンリー視点

「ヘンリー様、先ほどの挨拶はいただけませんな。もっと国民に寄り添った内容を……」

「昨日の狩猟、一体どうなさったのです?あれでは騎士団の士気が下がってしまいますぞ」

「先月お願いしていた書類ですが、まだ完成しませんか?人手が必要なら早くおっしゃってくださいませ」


……うるさいな。最近いつもこんな感じで皆から責められている。結局、ローラの代わりになる人物は全く見つからなかった。人を雇っても、すぐ辞められてしまうのだ。簡単な公務しか頼んでいないのに、なぜなんだ?!どいつもこいつも無能ばかりだ!


こんな無能な奴らに構うのは時間の無駄だ。早くマリアに会いにこう。


「マリア、今日は何しようか?」


「あー……ヘンリー様、私もう遊べないんですぅ。お父様が婚約者を見つけてきちゃって。ヘンリー様とはまだ婚約してなかったからぁ、お父様がしびれを切らしちゃったみたい。それに変な噂もあるし……」


確かにローラと婚約を破棄したばかりだったから、マリアとはまだ婚約できていなかった。だか、別の男のところにいくなんて、不貞じゃないか!


「どういうことだ?!それに噂って……」


「ヘンリー様は聞かないほうが良いと思いますぅ。じゃあ私はこれで~」


「え、ちょっと、マリア……!」


一体どうなっているんだ?俺に関して何かよからぬ噂が流れているのか……?


いつも女好きだとか言われているが、それを気にしたことはない。マリアだってその程度の噂なら教えてくれるはずだ。


城に戻って考え込んでいると、使用人達の話し声が聞こえてきた。


「……それってヘンリー様のことでしょう?ようやく国王も決断なさったってことかしら?」

「国王も流石に甘やかしすぎたと言っていたらしい」

「だが、開拓地に追放はやり過ぎじゃないか?ヘンリー様なら三日と身がもたないだろうな」


俺が開拓地に追放されるだと?!あんな山ばかりで何もない土地に追いやられるのか?父上からはまだ何も聞いていないぞ!


直接父上に確かめてやる!


「父上、あの噂は本当ですか?!」


「何だ急に。噂とは何のことだ?」


「俺、いや僕を開拓地に行かせるという噂が広まっているのです。僕はそのような場所よりもここの方が活躍出来るはずです!どうかご再考を」


「落ち着けヘンリー、その噂は真実ではない。……だが、お前は以前功績を挙げると宣言した割に、相変わらず公務すらもまともに出来ていないようだな。このままだと噂のような対応をしなくてはならないな」


「お、お待ちください!僕は……」


「ヘンリーよ、お前に最後のチャンスをやろう。近くこの国は、干ばつに見舞われる可能性がある。対策を考案し、実行しなさい。……出来なければお前を王族から除名し、教会に送ることにしよう」


「そんな……」


なんてことだ。干ばつ対策?出来なければ教会行き?絶対に嫌だ!誰か助けてくれ!誰か……

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