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最近磁器が少しずつ認知され始めて、売れ行きが好調のようです。幸いなことに、良質な粘土が採れる土地が、国内にはフィンレー領以外にないようで、他領に真似されることもありません。


食器のほかに花瓶などの試作を始めたり、絵付けをする人も増え、領地の一大産業になりつつあります。少しずつですが、領地の皆さんの生活が良くなっていくのを見ると嬉しくなりますね。




「ローラのおかげで、最近は領地の皆も仕事にやりがいを感じているようだ。我が領地に特産品が出来るなんて嬉しい限りだよ。ありがとう」


お父様に報告に行くと、お褒めの言葉をいただきました。領地の皆さんのおかげですね。ですが、これだけではまだまだです。もっと住みやすい領地にしていかなくては。


「次は土壌改良を考えておりますの。西の方の国では、土壌改良に豆を使うと聞きましたわ。豆を植えると土が肥えるようなのです。今の季節に植え付けできる種を仕入れましたので、早速検証してみようと思うのです」


「それは面白そうだな。我が家の畑を使うのも良いが、いくつかの家にも協力してもらおうか」


「ぜひ願いします!……今年は雨が少なくなると聞きました。他の農家も小麦ではなく芋や豆を増やすよう提言をすると良いかと」


「そうか。早速皆に周知しておこう」


ヘンリー様と婚約していた頃、他国の方々が出席するパーティーにたくさん出席しておいて良かったわ。そこで聞いた知識が役に立っています。普通なら入ってこない他国の情報には、有益なものが混ざっていました。このような有益な情報は、なるべく国内に周知していただきたいものですわ。




土壌の改良や磁器の宣伝など、やるべきことがたくさんあって、あっという間に日々が過ぎていきました。


毎日忙しくも楽しい時間を過ごしていたのですが、ある日神妙な面持ちのお父様に呼び出されました。


「チャールズ大公から、この地の視察をしたいとの連絡があった。失礼のないようにしなくてはならない」


「チャールズ…大公?もしかしてチャールズ・モーガン様ですか?!なぜそのような方が、我が領地なんかに……」


「磁器に興味がおありのようだ。お前が一番詳しいだろうから、対応を頼みたいのだが」


なるほど、磁器ですか……。確かに私が対応した方が良さそうですね。


「わかりました。準備しておきますわ」


チャールズ様といえば、「悪魔の大公」と呼ばれるほど情け容赦のない性格をしているという噂を聞きます。とにかく粗相のないように準備しなくてはいけませんね。もし彼の怒りに触れたら、子爵家など吹き飛んでしまうのでしょうから。

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