4 ※ヘンリー視点
第三王子のヘンリーは、ローラ・フィンレーとの婚約を破棄して以来、伯爵令嬢のマリアと堂々と遊べるようになり、最高な日々を送っていた。
マリアは国一番の美女だ。見ているだけでテンションが上がる。彼女と毎日遊べるなんて幸せだ!
「マリア、明日のパーティーはきっと君が主役だよ。きっと誰よりも美しい」
「ヘンリー様ぁ、私パーティーなんてつまらないわー。二人で抜け出しましょうよ」
「仕方ないなぁ」
多少のわがままも可愛いものだ。美しければ多少のことなら許せてしまう。ローラは顔が美しかったが、性格がつれなかったしな。
明日のことを考えながら歩いていると、事務官に呼び止められた。
「ヘンリー様、明日の王立病院訪問の件ですが、挨拶文の確認がまだです。もう出来ていますか?」
「病院訪問だと?なんだそれは」
「え?以前お話したはずですが……。もしや、まだ何も出来ていらっしゃらないので?」
「い、いや、後で持っていくから確認してくれ」
しまった、ローラに頼んでいた件かもしれない。最近、こういう事が多い。面倒だが、さっさと書いてしまおう。
自室で挨拶文を考えていると、今度は父上に呼び出された。
「ヘンリー、最近一体何をしている?フィンレー子爵令嬢と婚約した後は、公務も真面目にやっていると聞いて安心していたが……。最近はまた怠っているようだな。これ以上目に余るようなら、お前の処遇を考えなければならない」
「ち、父上……誤解です。確かに、婚約を解消した後バタバタしていたので公務に一部不足があったかもしれません!ですが今後はもう大丈夫です」
「そうか、ならば今回はお前を信じよう。ただし次はないぞ」
「は、はい……」
今までは何も言われなかったのに、どういうことだ?!マリアに公務を頼む訳にもいかないし……クソっ!
「そういえば、最近フィンレー領の財政が好調らしいな。子爵家に恩を売る機会を逃したのは実に惜しい……。お前には更に頑張ってもらわないとな」
あのフィンレー領が好調だと?ローラが何か関わっているのか?……いや、まさかな。それに子爵家の領地が少し潤ったからって、微々たるものだろう?父上は何を憂慮しているんだ?
「父上、フィンレー領の税収よりも素晴らしい功績を挙げてみせますよ!」
「そうか?では期待しよう」
「お任せください!」
とりあえず、明日は適当にやり過ごしてマリアとの夜を楽しもう。その後の公務は、誰か雇ってやらせようか……。ローラがやれるくらいだから、誰でも出来るだろう。
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