第二話
目を開けると、そこには白い天井が広がっていた。どこだろう、と思って上体を起こそうとすると、頭に痛みが走った。
「いっ……」
その声に気づいたのか、隣に座っていた人物が顔をあげた。
「
部活の顧問の先生だった。今お医者さん呼んでくるからな、と言い残して病室を出ていく先生と入れ替わるようにして、同じ部活のメンバーが入ってきた。1番に駆け寄ってきたマネージャーの先輩の目には涙が浮かんでいた。
「美世、ごめんね…っ!私が見てながら…っ」
そういいながら泣く3年生の先輩。その後ろにいた2年生の先輩にお願いして起こしてもらった私は、ちょうど病室に入ってきたお医者さんの診察を受けていた。
「はい、大丈夫ですね。すぐに復帰とはいきませんが、命に別状もありませんし、こうやって話せていますから、ひとまず様子を見ましょう。」
そう言って出ていくお医者さんにありがとうございました、といってメンバーと話していると、がらっと大きな音を立てて病室のドアが開き、1人の男の人が入ってきた。見覚えのない人。
「遅い!なにやってたの⁉」
「すまん、いや、電車が遅延した。脱線だって」
誰だろう、と思っていると、急にその人から話しかけられた。
「美世、大丈夫?ごめんな、近くにいたのに早く手伸ばせないで。」
え、と言葉に詰まった。私、この人を知らない。誰?近くにいたってことは、野球部の人?そんなわけない、部活のメンバーは全員ちゃんと覚えてるはずだもの。そんなことをがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「あの、えっと、どちら様、ですか…?」
ようやく絞り出した私の言葉に、そこにいる全員が絶句した。
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