溺愛の行方

@20051225

第1話

恋愛をするにあたって、失うというものはついてまわるものだと僕は思う。それこそ「彼女」とか「恋心」とか、人それぞれだ。


そんな中でも1番失うべきではないものを失ったのが僕かもしれない。

僕はなんでこんな人間なんだろう。

いくら考えても答えのでない難題に嫌悪感を抱きながらふと、彼女の部屋に忍び込む。


白を基調とした、いかにも女性らしい部屋。服は綺麗に整頓されてあり、ベッドなんて全然使ってないみたいにシワひとつない。

綺麗好きな彼女なら当然か、僕とは正反対な人だもんな。といつも思っていることを再確認するように、うんうん、と頷く。


ふと、彼女の写真が目に入る。どこか悲しげな彼女を見て、「こんな顔も好きだなぁ」とか思いながら手に取る。この写真を見るのは何回目だろう。何度見ても見飽きない。むしろ見る度に好きになってしまう。

まぁ僕の彼女だもんな。僕が選んだんだから。とか思ってみる。


「あーあ、早く逢いたいなぁ…」

僕は1週間程彼女と会っていない。今までは毎日迎えに行ったりしてたのに。最近すごく冷たい。「迎えに来ないで」とか「私の後ろ歩かないで」とか。なんなら嫌いまである。


僕はこんなにも彼女のことが好きなのに。

まぁ 、しょうがないか。






だって














僕は君のストーカー、だから?


彼女の写真は勝手に彼女の携帯から送ったもの。部屋だって、彼女を想像して作った。

こんなにも彼女が好きなのに、認めてくれないから。こんなになっちゃったんだよ。僕は何も悪くないんだ。


僕が失ったものは、恋心とかじゃなくて。


「理性」


だったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

溺愛の行方 @20051225

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る