3
本編ではなかった水着回。しかし神は期待に添える自信がない
朝食の後、泳いで腹ごなしでもしよう、という流れになった。
結局行きの船では入り損ねたからな。
夏凪と斎川と同伴プール、健全な高校生男子として、惜しいことをしたと思わないのか!?と問われれば、嘘になる。
俺だって女子の水着姿はまあ……見たかったが、あの時はクールダウンの必要があった。
本能に正直に従って、ヒートアップしたら助手失格だからな。
昼過ぎには船は港に着くらしいので、それまで
*
女子の着替えに時間がかかるというのは、どこの世界でも相場が決まっている。
俺は水と一通り
まず最初に現れたのは、夏凪だった。
魅惑
そういうのがお好みでしたか、夏凪さん。
前々から思っていたが、こいつは自分の肉体に相当の自信を持っているな。
そうでなければ、普段から露出の多い服装を好む理由が分からない。
というかドラマや映画の中では、手術でできてしまった手術痕を気にして、肌の露出を避けるという展開がよくあったが、こいつは気にしないのか?
心臓を移植した後の傷は、しっかりと肌に刻まれている。
しかし夏凪から負の感情はまったく伺えない。
鈍感なのか、強いのか。
たぶん……両方なのだろう。
自信のほどなら、次にやって来た斎川も負けてはいない。なんたって「さいかわ(最高に可愛い)アイドル(笑)」を地で演じ、芸能界を渡り歩いているのだ。
空元気だろうが自信がなけりゃ、すぐライバルに潰される弱肉強食の世界だろうからな。
だが意外や意外、彼女の衣装は露出控えめフリル多めの、水色のワンピース水着だった。
う~む。
心中を
俺に、「可愛いよ斎川。愛してるよ唯にゃ。お茶の間の女神がこんな所で本気を出したら、他のお客様が可哀想だぜ……罪な女だ……」とか言われて、「ふへぇ!? ふ……ふふ……」とか制御不能にならないように、おとなしめのものを選んだのだろう。
ん?
ということは、俺は本気で攻めてくる可能性のある異性として、認識されているのか。
いやないだろう。
だってこいつはまだ中学生だぞ。
いやないない。
俺の守備範囲は、幸運にもそんなに低くない。
*
「ど、どうよ……?」
「どうですか……?」
当然の流れのごとく、夏凪と斎川は感想を求めてくる。
不公平極まりないが、仕方がない。
「どうもこうも」
しかし二人とも、何で言葉に不安が入り混じっているんだ?
正直、知り合いの欲目を別にしても、
「とてもよく似合っていると思うぞ。真夏の日差しよりくらくらするよ」
「@&%$#”+=」と夏凪
「ふふっ……ふふ、ふ……ふ?(もにょもにょ)」と斎川。
なるべく
ちょろいにも程があるだろう……。
むしろ面白くなってきたが、追撃すると手痛い反撃にあいそうなので、引き際はくれぐれも見極めなくてはいけない。
『探偵の助手たるもの、何気ない会話から相手に好感を与え、情報を引き出すくらいできなくてはね』
と、シエスタから会話の何たるかのいろはを、叩きこまれたものだ。
いやはや懐かしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます