第5話 昼休み
午前中の授業が終わった後、教室内は一気に弛緩した空気になっていた。
残すところは午後の二時間のみ。その前に約四十五分間の昼食時間を仲のいい人同士で摂り合っている。
それはもちろん俺も例外ではなく、唯一の親友である結菜と毎日弁当を共にしているわけで、
「お兄ちゃ〜ん♪」
その掛け声と共に教室内に入り込んできたのは妹の愛香だった。
やはり美少女ということもあって、男子たちからの熱烈な視線がものすごい。
「って、げっ。徳留先輩も一緒だったんですねぇ〜」
愛香は結菜のことが目に入った瞬間、明らかに笑顔を引き攣らせながら嫌そうな表情を浮かべる。
それに対して結菜は爽やかな表情で、
「こんにちは愛香ちゃん。それにしても相変わらずボクは嫌われちゃってるなぁ」
「き、嫌ってなんかない、ですよ?」
いや、どう見ても無理して言ってるだろ。
とは言え、愛香がこの高校に入学してからというもの普段は主にこの三人で昼食を摂っている。おそらく嫌いというよりかは苦手意識の方が強いのかもしれない。本当に嫌いだったらたぶん会話すらしないと思うし。
「まぁ、そこのところは今後の付き合いでおいおい改善していくとして、今日はボク他の人たちと一緒に食べるからさ、二人で食べたらどう?」
「え?」
いきなりの発言に俺は戸惑ってしまう。
そんな俺を見兼ねてか、結菜はすぐさま耳元で囁く。
「(ほら、一度話し合いでもしてみたいなぁとか思ってたでしょ? この際だからお弁当でも食べながら二人っきりになれる場所で話してみたら?)」
「あ、ありがと……」
俺のことを気遣っての行動だったのかと理解しつつも……話し合ってみたいとか結菜に言ってたか?
何はともあれ、せっかくの好意だ。校舎屋上にでも行って、洗いざらい訊いて、自分の今の気持ちをぶつけようじゃないか。
【あとがき】
おそらく中途半端な終わらせ方になってしまうかもしれませんが、あと2話程度で終わらせようかなと思います。
思っていたよりもあまり評判がよくなかったというのもあるのですが、ヤンデレものはほとんど書いたことがないので……わからない!
引き続きではありますが、最後までよろしくお願いします。
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