-44- 「あかねえか」

 夕方によく見かける、鬼みたいなイキモノ。


 人様の家の玄関をガチャガチャやって、鍵がかかっていると「あかねえか」と呟いて諦める。


 多分、家の中に入って何か悪さをする奴だ。


 ある日、学校から帰って来ると、玄関の鍵がかかっていなかった。


 家の中に入ると、そいつが廊下をウロウロしていた。


 僕は壁に立てかけてあったほうきを掴み、そいつを引っ叩いた。


「痛え、痛え、勘弁してくれ」


 痛がるそいつを玄関から叩き出し、扉をピシャリと閉めて鍵をかけた。


 何をするつもりだったのか知らないけど、戸締りはきちんとするように、みんなに言わなくちゃ。

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