第4話 過去は振り返りたくないはずなのに
あの幸せな日の翌日、俺は昨日と同じように家にいた。
やることも無ければ行く所もない。
そんなつまらない今日だ。
俺はスマホをいじっていると、急に中学の卒業アルバムを見てみたくなった。
今の俺と昔の俺がどんなに違うのかと言うことを知ってみたかった。
苦しくなるかもしれない所もあるだろうが、その時はその時である。
部屋の本棚から、「千葉県立千葉市立桜台中学校」と書いてある
卒業アルバムを俺は取り出した。
実は卒業アルバムを見るのはこれが初めて。
貰った時は見たくもなかった。
まあ、早速見てみよう。
見てみると、懐かしい写真が一杯ある。
俺が写っている写真には、雫玖も必ず写っている。
そこからしばらく飛ばして、3年3組のクラスメイトの写真を見た。
俺や雫玖は笑顔で写っているが、瑞穂は悲しそうだった。
彼女の悲しい表情の理由が卒業する事が悲しい訳じゃないのは俺でも分かる。
もっと別の理由だ。
その理由には俺も関わっている部分はある。
だがしかし、瑞穂の味方である。
ああ、これ以上過去を話すのは苦しくなってしまった。
俺は卒業アルバムを持って、弟の部屋へ行った。
「悠、これを預かってくれないか?」
「苦しくでもなったのか。 良いよ」
そういうと、悠はそれを本棚の中にしまった。
俺は「ありがとう」と言って、弟の部屋を出て、家を出た。
苦しさをかき消すために海に行くんだ。
あの海に。
俺は自転車を漕いで、海に行った。
自転車を止めて、走り出すと、俺は叫んだ。
叫ぶと何だか心はスッキリした。
もう過去を見るのはやめにしようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます