最終話 世界最高の名医
医師として活動を始めてから、3年の月日が流れた。
私は特医救命の室長から、新たに設立された王立病院の副院長になっていた。
そして、医師として多くの命を救い続けた功績が多くの者に認められ、いつしか史上最高の名医と呼ばれるように鳴った。
「サクラさんのおかげで王国の医療は一世紀以上発展したと言っていいだろう」
メイル王国国王が言った。
「間違いないでしょうな。彼女の腕は本物です」
王立病院院長にして私の師匠も陛下の言葉に同意した。
「サクラ副院長に勲章を与えようと思うのだが、異論のある者はおるか?」
会議に出席している重鎮たちに国王が尋ねる。
しかし、そこに異論を挟む者などは存在しなかった。
そして、叙勲式の当日となった。
レンスは軍服を見に纏い王宮を訪れていた。
「サクラさん、お待ちしておりましたよ」
王宮でライムントさんが待っていてくれた。
ライムントも騎士としての功績が認められ、第三騎士団の団長に出世していた。
「わざわざライムントさんが来なくてもよかったんですよ」
団長になった今でもライムントさんは私の事を気にかけてくれている。
「いえ、今の私があるのはサクラさんのおかげですから」
ライムントさんと共に、謁見の間の前まで来た。
そして、時間になり、謁見の間に続く扉が開けられる。
両脇には軍の幹部クラスや王国の貴族たちが並んでいる。
私は指定された場所まで歩き、片膝を突いて頭を下げる。
「面を上げよ」
陛下の低い声が謁見の間に響き渡る。
その声で私は顔を上げる。
「貴殿の医師としての活躍、見事であった。王国の医療をここまで引き上げたのも、ひとえに貴殿の功績だろう。ここに医師功績勲章を授ける。これはメイル王国国王としての宣言である!」
「ありがとうございます」
医師功績勲章とは、特に顕著な功労があると言う認められる医師に対して王族から授与される勲章である。
第3位の勲章であり、これを生前に叙勲した人間は両手で数えられる程度だ。
亡くなってからその功績が認められ、授与されることはさほど珍しい事でもないのだが、生きてるうちに授与されるのは大変名誉なことだ。
「サクラ・オーラルよ。貴殿を王立病院長に任命すると共に王国医療大臣に任命する!」
その任命に周囲からはざわめきが上がった。
医療大臣ともなれば、王国医療界のトップである。
今まで、女性が大臣のポストに就いた事は一度も無かった。
「拝命致します」
「今後の貴殿の活躍に期待している」
「は、ありがたきお言葉です」
「では、これにて、謁見を終了する!」
陛下のその声で今回の謁見は終了した。
役職の高い順に謁見の間を後にしていく。
こうして、女性初にして史上最高の医師が誕生したのであった。
彼女の医療技術の多くは、語り継がれることになる。
サクラ・オーラルの活躍はまだ序章にすぎないのであった。
【あとがき】
お読み頂きありがとうございます!
本編はここで完結とさせて頂きます。
また、書籍版はエンジェライト文庫様より発売中になります!
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何卒よろしくお願い致します。
「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された天才医療魔術師の医療革命〜宮廷医療魔術師に推薦されて、何故か王国の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜 津ヶ谷 @Gaya7575
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