第14話 討伐に向けて

 ベッドに横になるとすぐに寝てしまったようである。

あまり体は疲れていないと感じていたが、あれだけの活字を読んでいたら流石に疲れたようであった。


「もう、朝ですか」


 私は時間を確認してベッドから体を起こした。

寝起きはそこまで悪い方ではないと自覚している。


 そして、出発の準備を整えることにした。

まずは髪型をセットして、服を着替える。

いつもの黒の襟付きのシャツに淡いピンク色のスカート。

その上からロングの白衣を羽織った。


「よし、これで準備は大丈夫ですね」


 私は改めて医療セットの中身を確認した。

こっちも問題なさそうである。


「サクラさん、お迎えに参りました」


 その時、扉の向こうからライムント副騎士団長の声が飛んできた。


「すぐ行きます!!」


 私はカバンを手にすると、扉を開けた。


「おはようございます。サクラさん」


 ライムントはキラキラした微笑みを浮かべていた。

朝からイケメンを拝めて眼福です。


「おはようございます」

「では、行きましょうか」


 王宮の外に出ると馬車が数台停車していた。


「サクラさんはこちらの馬車にお願いします」


 ヨーナス騎士団長に言われた。

相変わらず綺麗な声だと思う。


「分かりました」


 馬車に乗ろうとした時、ライムントがスッと手を差し出してくれた。


「ありがとう」


 私はライムントの手を借りると、馬車に乗り込んだ。

その後に続くようにしてライムントとヨーナス騎士団長が同じ馬車に乗った。


「サクラさんのことは私たちが護衛します」

「指一本でもサクラさんには触れさせませんので安心してください」


 騎士団の団長と副騎士団長に護衛されるとは、私の警護手厚くないだろうか。


「ありがとうございます。なんか、すごい豪華ですね」


 騎士団長も副騎士団長も顔立ちが整っている。

そんな人たちに囲まれるのはもはや緊張する。


「サクラさんに助けられるはずの多くの命の為に、あなたは守らなくてはなりません」


 ライムントが真剣な表情をして言った。

普通に惚れてしまうほどかっこいい。


 さらっとそういう事を言えてしまうのだから、きっと他の女性からも魅力的に見えるのだろうが。


「では、出発しましょう」


 騎士団長の一言で馬車はゆっくりと進み始めた。

ここから半日ほどで赤龍が暴走しているという現場に到着する。


 それまでは騎士団長たちと馬車の中で世間話をしていた。

医学について聞かれたら質問に答えるし、私も王宮の事を聞いたりした。


 道中、魔獣が出現したりしたが、騎士団の人があっさりと討伐してくれた。

そんなことをしているうちに赤龍が暴走しているという現場付近に到着した。


 すでに冒険者や警備兵たちが戦闘し、中には負傷している者もいるみたいだ。

救護テントも複数個設置されていた。


「サクラさんは救護テントで怪我人の手当てをお願いします。私たちは行きます」


 騎士団長たちは赤龍に向かって行った。


「お気をつけて」

 

 私は騎士団長たちの背中を見送ると、救護テントへと向かった。

そして、怪我人の治療を開始するのであった。

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