ケモナーの決着!2
「ちょ、ワイやん! 戦いあった仲やないか!」
共に命を削り合い闘った戦友に知らない人宣言をされた男、彼の名はアーボという。彼は目を見開き必死に当時の状況を説明した。
「んー……あっ! アーボさんじゃないですか! 会いたかったです!」
「いや今更そないなこと言うても説得力ないわ! 絶対忘れ取ったやろ自分!」
「あ、あはは……ていうかアリスだって忘れてましたよ!? 私だけ責められるのはどうなんですか!?」
「私はそんなに話してないし覚えてなくてもしょうがないと思うんだけど……フロスはあんだけ語り合っといて忘れるのはどうなのかな?」
「うう……」
話を逸らすために矛先をアリスに逸らそうとするがすぐに論破されてしまったため、彼女は唸ることなってしまった。
「まあそんな話はええんや、それより試練の塔、困ってんのやろ? ワイが力がしたるで」
「え……なんで知ってるんですか? まさかストーカー……」
まさかの内情を知っていたアーボに、リーフはあらぬ疑いをかけてしまうリーフ。しかし仕方がないのかも知れない。いきなり見知らぬ男が現れて自分たちが困ってることを的確に当てられたらそう思うのも無理はない。
「ちゃうわ! たまたま聞いてんて!」
「ほんとですか……?」
まだ疑いは晴れていないようだ。
「リーフ、大丈夫だよ! ドラゴンカプセル好きに悪い人は居ないんだよ!」
「何言ってんの?」
フロスは自己流の理論でリーフが持っている疑いを晴らそうとした。当然アリスに突っ込まれることになる。しかしリーフの反応はアリスが思っていたのとは全く異なるものだった。
「ドラゴンカプセル好きなんですか!?」
「もちろん好きやで。特に覚醒シーンはほんまにあつかったな!」
「わかりますわかります! 宇宙の帝王編ほんとに良かったですよね!」
どうやら一瞬にして打ち解けたらしい。偉大なりドラゴンカプセル。
「私もみようかな……」
リーフも見ていて、しかも大ファンという事実。周りの人がことごとく知っているため、もしや知らないのは自分だけなのではないか、という錯覚すら覚えてしまったアリスは少しばかり危機感を感じたようだ。アリスは小さく呟いた。否、呟いてしまった。もちろんこの小さな呟きをフロスが聞き流すはずもない。
「ほんと!? それなら私の家で鑑賞会開こうね! んーと……明後日! 明後日みよう!」
「ちょっ!? 私まだ見るなんてーー」
「え……見ないの?」
「見ます」
目を潤ませて、可愛らしく、そして少しだけ悲しそうな表情でアリスへと迫る。フロスに弱い彼女はすでにこの段階で拒否権を失っていたのだ。もっというと小さくつぶやいてしまった時点で拒否権は無くなっていた。
「ふっ……ちょろい」
ちなみにフロスは打算ありきであざとい顔をしていた。否、もはや打算しかない。
「フロスにアリス! もしかしたら次は勝てるかも知れない!」
どうやらリーフたちの話も纏まったらしい。フロスたちは次なる決戦を行うため、因縁の場所、試練の塔第1層へと再び足を踏み入れて行った。
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