ケモナーのスキル旅!2

「あの……フロス? 早く離れてもらえないかな?」


ウルフ達を倒してからずっとひっついて来ているフロスに、アリスはついに注意する。


「アリス……望まぬ殺生をさせられて打ちひしがれて悲しんでいる親友に対してなんでそんな無慈悲な事を言えるの!? あなたをそんな子に育てた覚えはありません!」


「そもそも育てられてません! いいから離れて!」


「分かった……離れる、そのかわり……」


「嫌だ。お断りします」


アリスから一旦離れたフロスはステータス画面を少しいじり、その手に先程クエストを達成してゲットした猫耳のカチューシャのようなものを取り出す。流石は親友、言わずとも察したのだろう。


「そんな!? ちょっとこれをつけて大人しくしてもらうだけでいいのに……!」


「ごめん、はっきりいうね? 嫌だ」


「酷いよ……傷心してる親友を見捨てるっていうの?ああ……なんで薄情な子なの!? この薄情者! アンポンタン! アリス!」


「ねぇ、最後のは悪口じゃなくない!?」


アリスの突っ込みにも何も反応せずにただひたすらに捨てられた子犬のような瞳でアリスを見つめるフロス。


「そんなのリーフに頼めば……っていない!? リーフどこ行った!?」


「リーフはさっき視線合わせた瞬間に目を逸らされたんだよね、うん、そこで全てを悟ったの。ああ、これは断られるな……ってさ、だからアリスにも断られちゃうと私終わりなわけだよ。さあ、ここにひとりの困っている親友がいる、アリスはどうする?」


その言葉にアリスは少しだけ下を向き考える素振りをする。


「……私の答えは決まってるよ」


そう言ってアリスはフロスに背を向けてその場を去ろうとする。


「どこ行こうとしてるの!?」


「いやぁ、スキルを探しに行こうかと」


「スキルよりも私の心の拠り所を探そうと思わないわけ!? というか探してよっ! アリスは困ってる親友を見捨てるっていうの!?」


その言葉にアリスは笑顔で大きく頷く。


「そんな……! ああ……リーフにもアリスにも見捨てられた私は一体どうしたらいいの……?」


アリスの方をチラチラ見ながら天に祈る体制を取るフロス。


「ほら、茶番はいいからさっさと行くよ」


「あ、ごめん」


「切り替えはっや!?」


もう少しぐずると思っていたアリスはすごくびっくりしたらしい。



「うーん……新しいスキル見つけようったってねー……まあ色々やってみよ!」


アリス達は再びわかれてレベリングとスキル集めをすることにした。


「すいませーん、これ下さい!」


まず初めにフロスが行ったのはショップに売っているスキルを全て買うことだった。金にものを言わせた汚い方法だ。


「よっしこれも! ……ってあれ? ……お金足りない!?」


どうやら金にものを言わせることは出来なかったようだ。


「えー……まあいっか、また今度買いにこよ。取り敢えずゲットしたのは……【岩の心得I】【闇の心得I】【風の心得I】【炎獄】……四つだけ……」


【岩の心得I】

岩魔法の威力が1.3倍になる。岩魔法【ロックバレット】【砂かけ】【ロックシールド】が使用可能になる。各スキルクールタイム三分


【闇の心得I】

闇魔法の消費MPが10%減少。闇魔法【引き寄せる】【ブラックアウト】【ダークボール】が使用可能になる。各スキルクールタイム三分


【風の心得】

風魔法の威力が1.3倍になる。風魔法【ウィンドアタック】【ウィンドブレード】【ウィンドガード】が使用可能になる。各スキルクールタイム三分


【炎獄(level1)】

一定時間対象を閉じ込める。毎秒残りHPの5%のダメージ。


「level……?スキルのレベルって上がるのかな?……まあいいや!使ってみよ!」


魔法の試し撃ちに彼女が選んだのはいつぞやの虫がたくさんいたところだ。


「フハハハハー! 大漁だーっ! 大収穫だーっ!」


次々と現れる魔物を即座に魔法を放ち続ける。


「よし! これで最後! 【ウィンドブレード!】」


元気よく技名を叫ぶが魔法は出てこない。


「……あれ?……MP切れ!? それなら……おりゃっ!」


MPが切れた事を確認したフロスは咄嗟に物理攻撃に切り替える。


『スキル【魔法の心得】を取得しました』


「あ! 新しいスキルだ!」


最後の虫を倒し終わったフロスは新しく取得したスキルを確認する。


【魔法の心得】

MPが1.5倍、INTが1.3倍になる。

取得条件 MPを0にする。


「あー……これって強いのかな? ……まあいいや、スキル探し続行だ!!」


フロスは再びフィールドを駆け巡る!

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