ケモナーの素材集め!

彼女らは今日も今日とてAnother Side Online にログインしていた。


「別に私一人でもいいんだけど……フロスも手伝ってくれるの? 無理してるならほんとにいいよ?」


「いや、どうせ暇だし私も手伝うよ、いつも助けてもらってるしたまには私も助けたいんだ!」


「最初に助けてもらったのは私なんだけどな……」


「ん? なんか言った?」


「ううん、なんでもない! それじゃ手伝ってもらえる?」


アリスはフロスの協力をありがたく受け取ることにした。


「それで、どこ行くの?」


「色々と調べてみたんだけどね、ほら、ここにある洞窟に素材結構あるらしいんだ」


アリスはマップを出してフロスに向かう方向を見せる。


「あー、それならリルに乗ってくのが一番早いかも! 【召喚サモン】リル!」


「ポチじゃないの? ……ってデカ!? 何これ!?」


「そういえばまだ紹介してなかったっけ? それじゃあ……紹介します! 私のモフモフ、フェンリルのリルです! ちなみにこの装備の元もこの子なんだーっ!」


「もしかしてボス? ねえ、まだいる感じ? いるなら見せて欲しい!」


アリスも興味津々のようだ。フロスにもっと見せて!とねだる。


「うん! 後一モフいるよ! 【召喚サモン】バスク!」


「何その単位」


アリスのツッコミを無視して、フロスは先程出したバスクをモフる。


「こっちがバジリスクのバスク君です! 可愛いでしょ?」


フロスが聞くとアリスは少し下を向き悶えていた。


「アリス……? どしたの?」

「か……かわいーっ!!! なんでもっと早く紹介してくれなかったのさ!」


アリスがバスクをひたすら撫でる。その勢いに思わずフロスはバスクをモフモフするのをやめてしまった。


「あー……そういえばアリスってヘビ好きだったよね、わすれてたよ」


「私の好きなもの忘れるなんてひどい! お詫びにこの子に乗らせて!」


そういうとアリスは私がオッケーと言う前にバスクの頭あたりに乗る。


「なんかすごい様になってるんだけど……まあいっか、それじゃ皆んなで行こう! 【召喚サモン】ポチ!」


フロスはポチも呼び出しリルの上にポチと共に乗る。


「これこそまさに一石二鳥!」


「あ、フロスずるい! 私も手乗りサイズのヘビが欲しい!」


「いや流石に持ってないよ!?」


アリスはヘビを目の前にするとフロスと同じようにIQが3になるという。


「えー……残念」


彼女は一瞬残念そうな顔をしたがすぐに表情を正し、フロスの方に顔を向ける。


「フロスありがとね!」


そういうアリスの笑顔はまるで綺麗に咲き誇り、季節を彩る大輪の花のようだった。ただし、バスクに乗っているため、少しだけだらしなくもある。



「ここから森に入るみたいだから歩いて行こっか。バスク、リル、戻って」


森の中に入るということで、バスクとリルを指輪の中に戻す。


「あ……バスクちゃん……しょうがないよね……うん、しょうがない。森の中だとあの大きさじゃあ動けないもんね……」


「アリス……? なんでそんなに震えてるの?」


バスクから離れた瞬間、アリスが震え出し心配になる。


「いや、なんでもないよ。ただの禁断症状……」


「まだ会って5分だよね!?」


「愛に時間なんて関係ないんだよ……」


「アリス……なんか今日変だよ?」


「気にしなくて大丈夫だから……それじゃ素材集めよ……」


フロスの手を強く握ったままアリスはフロスを引っ張る形で森の中へと入っていった。


森に入って数分。フロスが爆発する。


この森にはウルフ以外にも様々な獣が存在している。小さな獣から少し大きな獣まで。ケモナーであり、なおかつモフリストである彼女にとっては極楽以外の何者でもないのだ。


「あ! ここにもモフモフ! 向こうにも!」


そこら中にモフモフが存在している。それはつまり彼女の視線はあちらこちらに向いてしまうということだ。当然、あちらこちらに視線がいく以上目的地へ行くのは遅くなる。否、もし彼女一人であったならばそもそも目的地まで辿り着けずここでひたすらモフモフし続けるであろう。


「フロス! 早く行くよ!」


モフモフのいる方向に進もうとするフロスの腕をアリスは全力で引っ張る。彼女がストッパーである。先程までIQが3まで落ちていた彼女も、今ではとても頼れる良き保護者だ。


「ああ……モフモフが……アリス! 邪魔しないでよ!」


「いや私の素材集めの邪魔してるのどっち!? いいから早く洞窟行くよ!」


「ごめんごめん、早く行こっか……あ! あっちにもモフモフ!」


再び彼女はモフモフが出没した所へと走って行こうとする。


「駄目だ……この子使えない……!」


「ふふっモフモフだーっ!」


すごく楽しそうにモフモフし続けるフロスにアリスは頭を抱えた。

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