ケモナーの爺の呪い!
「あ、もういるし。フロス早くない? 私も結構早くしたつもりだったけど」
「うん、ちょっと地獄を見せられてね……気にしないで」
「何があったのさ……」
死んだ目をしながらアリスの方を向いたフロスにアリスは苦笑いする。
「聞かない方が身のためよ……こんな地獄絶対に味合わない方がいい……知らない方がいいことが世の中にはあるのよ」
「そ、そうなんだ……ね、ねえ、それじゃあ気分転換に少し狩りでも行く?」
「うん、いく。できるだけ人の少ないところに……人と会わないところに連れてって……」
よほど精神が参っているようだ。目が死にきっている。
「よーし! それじゃしゅっぱーつ!」
「おー! ってノってよ! 一人でやると馬鹿みたいじゃん!」
「……? あっ、ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
「ちょっと、本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「そう? それなら行こっか」
死んだ目でどこかを見つめていたフロス。アリスは彼女を心配しつつも二人で狩場へと向かっていった。
「アリス……どうしよう、人が……全員おじいさんに見える」
「それどういう状況!?」
歩いてる最中、フロスは相変わらず死んだ目で唐突に素っ頓狂なことを言い出した。
「あのね、道にいる人、狩場にいる人がみんなおじいさんの姿でポールダンスしてるんだ」
「ええ……? もしかして私もポールダンスしてるの?」
「うん、おじいさんの姿ではないけどなんかポールダンスしてる。私どうしちゃったんだろう……」
「ああ、それでずっと目が死んでたのね……うーん、呪いでもかけられたんじゃないの? ステータス確認してみたら? というか確認してないの?」
明らかな状態異常にアリスはステータスの確認を促す。
「うん、そういえば確認するの忘れてた……というかそんな余裕なかった」
周りの人が皆ポールダンスをやっている状況、そんな中でステータスを確認するなどという発想は彼女にはなかった。
「ステータス」
フロス
Lv.14HP 3950 MP 95
《STR》26【+10】
《LUK》26【+10】
《DEX》16
《VIT》69【+30 ・×1.5】
《AGI》31【+15】
《RES》16
《INT》41【+25】
装備品
頭部 【白狼の被り物】追加効果LUK+10
身体 【白狼の衣】追加効果VIT+30
メイン武器 【白狼の杖】追加効果INT+25
サブ武器 【白狼の脇差】追加効果ATK+10
足 【白狼の衣】
靴 【白狼の靴】追加効果AGl+15
補助品【きびだんご】
スキル
【動物愛護】【白狼の絆】【
【蛇王の絆】【炎の心得I】【氷の心得I】
【スリープ】【鉄壁】【一心同体】
称号【モフリスト】
SP46
状態異常 【じじいの呪い】
フロスはステータスを見た途端に全てを理解した。そして強い憎しみを抱いた。あのおじいさんに対してだ。
「しっかり呪われてた。これって解除するにはどうしたらいいのかな?」
まだこのゲームを始めてさほど時が経ってなくて、さらに普段はあまりゲームをやらないフロスはこういう時の対処法をまるで分かっていなかった。
「えーっとね、あ! ちょうどいいのあるよ!」
そう言ってアリスは一本の瓶を取り出す。
「これこれ、浄化の水だって。飲めば呪いが解けるらしい」
アリスが発した言葉でフロスの目には少しの希望が宿る。
「これで……? ありがと、とりあえず飲んでみるね
フロスは少しだけ疑いながらも素直に浄化の水を飲む。
「あ……! アリスがポールダンスしてない! 他の人も……! ありがとう……! ありがとね!」
よほど辛かったのだろう。泣きながらアリスに抱きつき全力でお礼を言うフロス。
「はいはいどいたまして……ってちょっ……! はな……れてって!」
アリスは抱きついてくるフロスを無理矢理引き剥がす。
「さて、問題も解決したことだし一狩り行っちゃう?」
「行こ!」
「それじゃーしゅっぱーつ!」
「「おー!!」」
先程は反応できなかった掛け声。今度はしっかりと二人で声を合わせて意気揚々と狩りに向かっていった。
◆
「あ、みっけ! 【スラッシュ】」
「ちょっ! 駄目っ!!」
早速見つけたウルフアリスは武器を振るう。しかしそれにフロスが待ったをかけた。
「え、何!?」
アリスは驚き固まる。そこを魔物が見逃すはずもなく、ウルフはアリスへと襲いかかる。
「って危ない!【ダブルスラッシュ!】」
咄嗟にスキルを放ちウルフに対処する。
「ばかああああああ!!」
ウルフが倒れるのを見たフロスはアリスに平手打ちをかます。
「いった……くない。ってか何!? 私襲われてたんだけど!?」
「あ、ごめん……ついやっちゃった。許して?」
一瞬のうちに我に帰ったフロスは即座に謝る。プライドなどまるでないようだ。
「いや別にいいんだけど……それよりステータスどうなってるの? ほぼダメージ受けなかったんだけど? うん、ほら。ダメージ2。ステータスちょっと見せて!」
フロスは言われるがままにステータスを出す。
「……なんでポイント振ってないの!? とりあえず振っといた方がいいと思うよ?」
「あ、忘れてた。ちょっと振っとくね。……よし! 終わり! というわけで1発撃っていい?」
スキルポイントを振り終わって早々にアリスの方を向きビンタのお願いをする。
「いやどういう訳で!?」
もちろんこのお願いは却下された。
◆
「ねぇー、フロスのそういう装備ってどうやって手に入れるの?私まだ初期装備なんだけど」
「んー? えっとねー……ボスみたいなやつ倒せば貰える筈だよ? ……後は普通に店に売ってたりするんじゃない? 知らないけど」
フロスがじじいに呪われた次の日、アリスはフロスに悩みを伝える。フロスが随分とカッコいい装備をしているのにも関わらず自分はまだ初期装備なのだ。
「そうだなー……他の人に聞いてみる?」
きっとあの二人なら知っているだろう、そう考えフロスは他の人に聞くことを提案する。そもそも初心者であるうちは色々と聞いた方が効率がいいのだ。
「聞くって言っても誰か聞ける人いるの?」
「いるよー! えっとね……街の方にいるみたい」
マップでフレンドの位置を確認しアリスに伝える。今日はミーナはログインしていなくランバーのみのようだ。
「街の方に? なんで分かるの?」
「あー、そう言えばまだフレンド登録してなかったっけ。フレンド登録すると位置が見れるようになるみたい。私たちもしよ!」
話の中でフレンド登録をすっかり忘れてたことを思い出したフロスはすぐにアリスにフレンド申請する。
「おー、本当に位置わかるんだね。なんか一緒にいると燃えるみたい」
「へー、そんな機能あるんだ! それじゃ聞き行こ」
二人でポチに乗ってランバーのいるところへと向かっていった。
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