ケモナーのモフ仲間(予定)

「ステータス」


フロス 

Lv.6 HP 3950 MP 95

《ATK》26【+10】

《LUK》26【+10】

《DEX》16

《VIT》46【+30】

《AGI》31【+15】

《RES》16

《INT》41【+25】

装備品

頭部 【白狼の被り物】追加効果LUK+10

身体 【白狼の衣】追加効果VIT+30

メイン武器 【白狼の杖】追加効果INT+25

サブ武器 【白狼の脇差】追加効果ATK+10

足  【白狼の衣】

靴  【白狼の靴】追加効果AGl+15

補助品【きびだんご】


装備セット【フェンリルシリーズ】

氷魔法の威力大アップ(2倍)


スキル

動物愛護 白狼の絆 召喚サモン


称号【モフリスト】


SP22


「うーん……なんか足りないんだよな……ってなんだろうこれ」


フロスは称号【モフリスト】という見慣れないものを見つけた。


【モフリスト】


獣からダメージを受けなくなるが獣にダメージを与えることが出来ない。(任意発動可能)


【取得条件】一定時間以上獣と触れ合い続ける。


最初はダメージを与えることができないという点で困惑していたフロスだが少し考え、ある事実にたどり着いた。


「……は! てことはきびだんごをあげなくてもモフれる……!」

「さあ! まだ見ぬモフモフ! 待ってろよ!」


このフロスの宣言に聞こえなかったはずの多くの獣たちは悪寒を感じ、暴れ回ったそうだ。


フロスはポチもリル(フェンリルに名付けた)も呼ばずに一人で歩きモフモフの楽園先日の森に向かう。よほど機嫌がいいのだろう。ご機嫌な鼻歌を歌いながら森の中へと消えていった。


「フハハハハー! 効かぬ! 私には効かぬぞ!」


まるで魔王のような言葉を口にして、森の中を突き進む。その全身に多数の魔物を侍らせながら。無論魔物たちもただついて行っている訳ではない。彼らは攻撃しているのだ。


「なになにー? よーし! お姉さん全員もふっちゃうぞー!」


そう言って噛み付いてくる魔物たちを一気にモフりだす。


「はうあぁ……こ、ここは天国……なの!? はぁ……だめ……! 私死んじゃう……! ハア……!」


フロスが快楽に悶えているうちにもプレイヤーを倒す為に作られた魔物たちが次々と集まってくる。


「ちょっ!? そんなにこられると……! んん……っ! も、ダメ……こんなしゅごいの……耐えられないっ……!」


ついにフロスの許容上限を超えて気を失ってしまった。気を失い倒れたフロスに、次々と魔物が襲いかかる。


「……見なかったことにしよう」


不運にも彼女の現場に毎度の如く居合わせてしまう男。今日も今日とてその場から逃走を図った。



「やべぇ……! あいつはヤベェ……!」


男は走っていた。ただひたすらに安寧の地を求めて。ただその足をひたすらに回転させていた。


「ミーナ!!」


そして男は辿り着いた。安寧の地、そう、彼のホームタウンへ。


「あら、ランバーじゃない、そんなに慌ててどうしたの?」


この運のない男の名はランバー。ランバーは慌てたように先程の出来事を話す。


「なるほどねぇ……それで? その倒れた少女を放置して逃げ帰ってきたと」

「いや普通襲われてる中顔赤くして興奮してる奴に近づけると思うか? 少なくとも俺には無理だね」

「全くもう……一応なんか落としてるだろうからその場所行って拾ってきてあげれば? 私もついて行くから」


せめてドロップ品くらいは届けてあげろというミーナ。


「分かったよ……それじゃ早めに行ってやろうぜ」


二人は先程ランバーが変態少女フロスを目撃した場所まで向かって行った。



「生きてるわね……」

「ああ、死んでねぇな……」


ミーナとランバーが、現場に向かうと相変わらず魔物たちに攻撃されながら顔を紅潮させ倒れている変態少女フロスがいた。


「ん……ん? あのー……どなたですか?」


二人がしばらく固まっているとフロスは目を覚ました。


「あ、ああ……いやなんでもないよ。俺はランバーってんだ」

「私はミーナよ、よろしくね?」

「あ、私はフロスって言います。よろしくお願いします。ところで……何かご用ですか?」


フロスは小首を傾げながらミーナとランバーに問いかける。


「いやーその、あれだ……魔物が群がってるのを見て近づいたらお前さんが居たってだけの話だ。気を悪くしたんならすまねぇな、それにしても……それ大丈夫なのか?」


フロスは二人と話している間もずっと魔物に絡まれていた。というよりは魔物が絡まれていた。


「大丈夫ですよ、この子達はモフモフなので」

「いやあの……ずっと噛まれてるのよ?」

「モフモフなので」

「いやそういう問題じゃ……」

「モフモフなので」

「そっか、そうだね、モフモフだもんね」


ミーナは折れた。


「そうだ、どうせならモフモフしていきますか? 気持ちいいですよ?【召喚サモン ポチ】」


フロスが手を前に向けてそういうと、今彼女がモフモフしている狼たちと同じ種類の魔物が二人の後ろに現れる。


「こっちおいでー」


フロスがそういい、手を広げるとポチはフロスの腕の中に飛び込んでいった。


「わぶっ! ちょっ! ポチ落ち着いて!」


ポチがフロスの顔を舐め回す。


「分かった! 分かったから! 一回離れて!」


フロスに制止させるとポチは彼女の顔を舐め回すのをやめて、その横に綺麗にお座りする。


「どうですか? モフモフしていきますか?」


「あの……したいんだけどなんでそんな嫌そうな顔をしながら全力でその子を抱きしめてるの……?」


フロスの言動の不一致に困惑しながらミーナはなんとも言えない表情でフロスに質問を投げ返した。


「あ……すみませんっ……! どうぞ……!」

「ええ……何その身を切るような葛藤。まあいいわ、それじゃ失礼して……って何これ! すごい気持ちいい!」


ポチに手を触れた瞬間、ミーナの目の色が変わった。


「でしょうでしょう!? ささ、ランバーさんもどうぞ!」「いや俺は……」

「ランバーも触ってみなさいよ! すごいわよこれは!」

「分かったよ……」


二人の気迫に押されて恐る恐るポチへと手を伸ばすランバー。彼もまたポチに触れた途端に目の色を変えた。


「すっげ! なんだこれ!」

「すごいよね!」

「でもこんなの知っちまったら……」

「そうよね……」

「「獣を殺せない!」」


二人はどうやらあたらしい世界の扉を開けてしまったようだ。


「ケモナー……なりましょ?」

「「うん! ……ってならんわ!」」

「ええ!?」


思いがけない返答にフロスは困惑する。ケモナーへの道まっしぐらだと思っていた二人が真っ向からケモナーにはならないと言ってきたのだ。


「あ、そうだ! フレンド登録しましょう?」


ミーナが切り出す。


「フレンド登録?」


フロスは小首を傾げながらミーナに聞く。このゲームを始めてからまだ数日しか立っておらずさらにその間のほとんどを魔物と共に過ごしていたのだ。知らなくてもしょうがないだろう。


「そ、連絡取り合えたりできるのよ?」

「いいですね! しましょう!」


こうして二人は定期的にポチをモフらせてもらうのであった。

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