第4章 続き
1
目が覚めたら辺りはすっかり明るくなっていた。
私は菜穂子さんの部屋へいき、菜穂子さんに各薬品がどこで買われたものなのか調べてもらうことにした。
最初は嫌がっていたが、結局は引き受けてくれた。
彼女は館をでて町へとむかった。
私は彼女を見送ってから中へ入りもう一度被害者の部屋へと向かった。
一番最初に入った時の違和感が私の中ではずっとモヤモヤしていた。
それがわからずだんだんイライラしてきて知らないうちに自分のことをコントロールできなくなった。
そんなときだった解決への一歩となる証拠が出てきた。
「あの、お考え中のところ申し訳ないのですが、実は凶器と思われるものを見つけたのですが、当分警察も着きそうにありませんし、私がお調べしましょうか?」
「かってに調べるべきではない気もしますが、私が全責任をおいますので、調べていただいてもよろしいですか?」
「もちろんです。少しでお役に立てれば」
「ありがとうございます。少しずつパズルのピースが集まってきた気がします。」
そんなことは言いつつまだ凶器が出てきただけ、たったのパズルの一部にしかすぎない。これを全て繋げられるようなパーツでは決してない。
私はその結果を待っている間、ほかに証拠となるような物を探した。
数時間後、
「検査結果がでました!」
「どうでしたか?」
「指紋を確認してみた結果、犯人らしき人物の指紋が出てきました。検出された指紋は被害者の男性のと中井修也さんのです。」
2
「コンコン」
「誰だ!」
「私ですけど...」
「あっ探偵さんでしたか」
彼はすごく動揺していた。
「今お時間大丈夫ですか?」
「多分大丈夫です。」
多分?と疑問に思いながら私は続けた。
「実は凶器のナイフからあなたの指紋が検出されました。」
「えっ!」
「もう一度確認しますが、あなたは被害者の男性が殺害されたときどこで何をしていましたか?」
「また僕を疑うんですか?」
「凶器にあなたの指紋がついている以上一番犯人に近いのはあなたなんです。」
彼は数秒黙り込んだ。
私にしてみれば、うそでも考えているのではないかと思ってしまう。
なかなか話そうとしないので私から話しかけてみた。
「どうしたんですか?あなたのアリバイを確認したいのですが。何かやましいことでもあるのですか?」
彼はまだ話し出そうとしない。
「実は」
やっと話し出した。
「僕、被害者が殺害される少し前まで会っていたんです。僕は被害者の会社と取引している相手なんです。今回このパーティーに出席したのも少しだけ打ち合わせができると思ったからなんです。」
「そのときに交渉がうまくいかずイライラしてしまって刺してしまったと。」
「違います!僕は決して刺してなんかいません!神に誓ってもいいです!しかも取引はちゃんと成立しましたし。」
「ちなみにあなたのお父様の会社は被害者に潰されてしまったのですよね」
「そうですけど、僕には関係ありません!父とは高校生の時に縁を切っているので」
「そうなんですか」
3
しばらくして菜穂子さんが帰ってきた。
もう少し時間がかかる物だと思っていたので正直驚いた。
「帰ったわよ!各医薬品の販売先は全て同じ場所だったわ。」
「全てですか?容疑者が持っていたのも?」
「ええ。もちろん取引会社はそれぞれちがうけど、元を辿ってみると結局は同じ会社にぶつかったわ。」
「というと?」
「えっと、まず被害者の薬は中沢薬局という薬局で買われた物です。その薬局は大手製薬会社の大藤薬品の子会社で、大藤薬品に発注をお願いしているみたいです。ちなみに四條さんは大藤薬品に勤めていて、薬の発注作業にも携わっているそうです。中井さんの薬も大藤薬品の子会社で買われていたわ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「そっちはどう?何かつかめました?」
私は彼女に伝えるか迷った。
彼女ならすぐに彼が犯人だと決めつけてしまいそうだったからだ。
それでも伝えないとあとが怖そうなので伝えることにした。
「実は、凶器だと思われるものが出てきました。」
「えっ!それは大発見じゃない!指紋はついていたの?」
「それが、三人の容疑者のなかで一人だけ指紋がついていた人がいました。」
「それは誰のなの?」
「中井修也さんのです。」
4
菜穂子さんは少しの間考え込んでいた。
彼女は考えた末、「その人が犯人で決まりね」とやはり決めつけた。
しかし、彼女はあっさりと決めつけたが最初はすごく同様している様子だった。
わたしは不思議に思い菜穂子さんについて探ってみることにした。
そんな時だった。
「キャーーーーーーーーーーーーーー!」
5
唐突の叫びに私は少し動揺したがすかさず現場へと走った。
現場に着くとスタッフの一人が腰を抜かして、扉の前で倒れているのがみえた。
場所は中井修也さんの部屋の前。
部屋の中をみると部屋の天井からぶら下がった中井修也さんを発見した。
下には遺書も添えられていた。
遺書には
「ごめんなさい。僕が悪いんです。」
とだけ、書かれてあった。
死後硬直から見て死亡したのはおそらく私が最後に彼にあった後すぐだろう。
「ドサッ」
振り返ってみると菜穂子さんが床に倒れていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ。ちょっとめまいがしただけ。この部屋に入ってからずっと頭痛と吐き気がして」
頭痛の原因となりそうなものを探した。
そうしたら驚きの事実を掴んだ。
私は、部屋にいる全員に部屋から出るよう指示した。
「どうして外に出ないといけないのですか?」
「あの部屋の中には最初の被害者の男性の部屋にあったものと同じクロロホルムの壜が落ちていました。今回は完全に蓋が開いていてしかも密閉空間だったためクロロホルムが蔓延し、菜穂子さんのように頭痛や吐き気といった症状が出てしまったのでしょう。ですので、これ以上あの部屋に大勢でいるとまた誰かが同じ症状になったり悪ければ死人が出かねないので、皆さんに部屋を出てもらいました。今窓を開けておいたのでそのうち入れるようになるかと思います。スタッフの皆さんは申し訳ないのですが、菜穂子さんを空いている部屋に移動させてあげてください。」
「わかりました。」
しばらくしてから私は捜査を始めた。
捜査を開始しても私の頭の中では、事件を止められなかった自分への怒りと、せっかくここまできたのにまた事件かと思う気持ちなどいろいろな感情が入り混じりすぎて捜査どころではなかった。
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