飲みすぎはやっぱりダメだな

「裕太何食べる?」

「絢香さん?あのー、ここ俺が払うんすけどぉ。なんでそんなに奢ってる人みたいな聞き方してるんすか?」

「えへへ、何となく。」


そんなテヘペロみたいなことしても可愛くねぇよ。いや、沙姫に似て顔は可愛いけど。歳がねぇ。


それから酒を呑みながら会社のことやらニュースになってる事件のことやらで話が盛り上がった。そんな時だった。


「…それで?沙姫とシたんでしょ?気持ちよかった?」


この時俺はベロベロに酔っていた。多分これが狙いなのだろう。


「ん?気持ちいに決まってるらろ!」

「へぇ。沙姫とはどー言う体位でするの?」

「えっとぉ。1番おぉいのは、せいじょーい?っていうやつかな。」

「へぇ。後ろから突いたりはしないの?」

「にゃんかまえにしたら顔見れらいからやだぁ!って言われた。」


酔ってて何もかも暴露する俺。でもこの記憶を憶えてはいない。このやり取りで後々いじられることは、え?みんな言わなくても分かるよね?


「あと、沙姫はぁ、ちょーかわいいよなっ!」

「あんたその娘の母親の前でそれ言う?もうっ!ばか!」

「ばかじゃねぇよ。しゃきは絢香よりもかわいいのっ!」

「へぇ、そーなんだ。ふーん。まぁ、娘が褒められるのは嬉しいからいいけどさ。…って裕太?おーい。はあ?裕太寝たし。どうしよ。もー、めんどくさいなぁ。とりあえず会計しなきゃ。」


そう言って絢香は、俺のカバンから財布を抜き取って支払いを済ませた。俺知らなかったけどさ、絢香って時々俺が寝落ちたら俺の財布で支払ってるらしいわ。だから時々金なくなってんのか。はぁ。まぁ、これ気づくのもっと後なんやけどな。


「こーいう時に沙姫呼べばいいねぇ。」


そう言って電話で沙姫を呼び出す絢香。


『なに?どしたの?』

「いや、裕太が、居酒屋で寝ちゃったからタクシー乗って来てくれないかなぁって思ってさ。」

『え、裕太寝たの?』

「沙姫、あんた今どこいるの?」

『ん、友達の家。でも裕太寝ちゃったなら私帰るよ。』

「あら、そう?ならお願いしようかな。店は沙姫も知ってるでしょ?」

『裕太に連れて帰ってもらった店でしょ?』

「そうそう。そこにお願い、来るまで待ってるから。」

『はーい。』


そう言って電話を切る絢香。そして机に突っ伏して寝ている裕太を見る。


「はぁ、幸せそうに寝ちゃってさ。この前まで寝る時も唸ったり、眉間にシワ寄せてたくせに。まぁ、幸せそうに寝てる人の寝顔見つめるのは心が落ち着くからね、裕太見ながら待つか。」

「んぅ…沙姫…」

「ははっ。あんた起きてる?ほんとに寝言?まじ?アニメの世界かよ。」


〜沙姫視点〜


「ごめ〜ん。ちょっと彼氏が店で酔いつぶれから拾って帰るね。」

「え、沙姫もう帰んの?え〜、今からゲームしよーって言ってたのに。」


頬をふくらませてこちらを見る友達の優香。中学校からの友達で、1番仲がいい友達だ。


「ごめんって、また今度埋め合わせするからさ、ねっ?」

「あ〜もぅ、わかったよ。彼氏さんのとこ行ってあげな?」

「うん。今日楽しかったよ!」

「別に、家の中でゴロゴロしただけじゃん。」

「優香と居るのが楽しいの。じゃあね。」

「あ、ちょっと待てえぃ。」

「何?」

「彼氏の写メplease。」

「あ〜そーいえば撮ってないな、今度見せるね。」

「な、なんだとっ!彼氏との写真がない…。ま、まさか政略結婚か!?」

「違うよ〜。同棲してるから、写真なくても実物いつも見れるもん。」

「同棲してる!?ふぁっ!結婚まっしぐらじゃん!ずるっ!」

「もう、急いでるからもう行くよ。」

「う、うん。また詳しく聞かせろよ!」


はぁ、優香はお母さん以上に面倒臭いからなぁ。まぁ、しょーがないか。


で、お店だよね。タクシー拾わなきゃ。大きな通りに出たら手を上げてタクシーを探す。


お客を乗せてるのかタクシーはなかなか止まってくれない。ようやくタクシーが止まってくれた。そう思った時だった。


「お、沙姫じゃん。お久〜。」


そこに居たのは高校1年から3年に上がるまでの2年間私をストーキングしていた、齋藤だった。

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