絢香ここではやめよ?

「ちょっとぉ。裕太さんよぉ。」


あ、きたきた。めんどくさ…いやいや…ん?隠さなくていいか。めんどくさっ。


「はい。なんですか。」

「沙姫とデートしたのぉ?」


そんなニヤケながら話すなよ。声でかいし。


「聞いたわよ?ショッピングモールで?映画?見たんでっしょ?」


うっぜぇ。いちいち疑問形にするな。


「ん?別にいいんじゃないか?もう責任取るって決めてるんだし、今更デートしたって構わんだろ。」

「まぁ、そうだけどさぁ。感想ききたいじゃん?」

「いや、聞きたくないと思う。」

「つれないなぁ。…で、どうだったの?」

「ん?楽しかった。」

「それは映画が?」


うっ、聞き方ずるいぞ。これ絶対映画がって言ったらどこがって聞かれる。かと言って違う答えを言うにしても沙姫に繋がるから、からかわれる。あぁだるい。


「…ご想像におまかせします。」

「へぇ、私の想像ねぇ…」


あ、もっと悪い回答した。変な事言うぞこいつ。


「さ、この話はまた後でにして、仕事仕事。絢香仕事溜まってんだろ。早く終わらせろよ。」

「あ、逃げた!まぁ、昼覚悟しといてね?」

「おぅ、お前の奢りな。じゃあそーいうことで。」


そう言ってでパソコンと向き合う。


「あっ…。ちぇっ、私の奢りかよ。まぁいっか。」


ふぅ、危ねぇ。絢香声がでけぇんだよ。ほら見ろよ。課長こっち睨んでんぞ。お〜怖っ。




「さ、吐きなさい。」

「ん〜?何を?」


ここはカフェの一角。俺と絢香がよく昼休憩に使う場所だ。


「だ〜か〜ら〜。沙姫といるのが楽しかったの?映画が楽しかったの?」

「そりゃ沙姫といたことがに決まってんだろ。」

「よろしい。よろしい。」

「これでいいか?」


もう勘弁してくれ、意外に恥ずかしいんだぞ。


「それはそれとして…」

「ん?まだあるのか?」


はぁ、なんだよ。まさか映画のことも聞いたりしないよな?俺、キスのタイミングつかむので内容入ってねぇんだよ。


「もうセックスしたの?」

「はい、黙ろうか。ここどこかわかる?カフェだよ?居酒屋じゃないんだからね?」

「ごめんごめん。直接的すぎたね。もうおせっせしたの?」

「変わんねぇよ!言葉を濁すとかそーいう問題じゃねぇ。ここでその話するなって言ってんの!」

「あ〜、はいはい、まぁまぁ分かった分かった。」


こいつは何を聞いてるんだ。こんなとこで聞くなよ。


「じゃあ、夜に電話するね。その時シててもいいよ?」

「ば、ばかいうなよ。ヤりながら電話するわけねぇだろ!」


ついつい大声で反論してしまった。カフェにいた人達が俺たちに目を向ける。恥ずかしくて仕方なかった。


「ただいま〜。」

「おかえり!んっ!」


玄関まで駆け寄ってきて目をつぶってキスを待つ沙姫。その沙姫の顔にキスを落とす。


んっ…んちゅ♡


キスが終わったら頬を紅潮させ蕩けかけた目をふにゃりと曲げた笑顔を向ける。え、まじ可愛いんすけど。なんすか?天使すか?


「あ、今日なんか夜に絢香が電話かけてくるらしい。多分長電話なるんやけどさ、一緒に電話する?」

「え、お母さんが?なんのために?」

「なんか、沙姫が連絡しなくなってからのことを知りたいんじゃない?」

「うへぇ、でも参加する!色々暴露しよ!」

「おい。俺の印象悪くなることだけはダメだからな?」

「はーい。」


ご飯、お風呂を済ませ、沙姫と他愛ない話をしながら電話を待つ。


2人ともだいぶ話し込み眠気が襲ってくる直前で、電話はかかってきた。


「もしもし〜。」

「…もしもし。」


スピーカーにして沙姫にも聞こえるようにする。


「………。」

「ん?絢香?なんで黙ってんの?」

「あら、ヤってないのね。沙姫の喘ぎ声が聞こえるまで待とうと思ったんだけど。」

「「…は?」」

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