知ってしまった。

「ぷはぁ…やっぱ仕事終わりのビールは最高ね。」

「まじ、おっさんかよ。」

「あぁ?」

「すいませんでした。」

「分かればよろしい。…で、あんたが飲みに誘ったのは、沙姫のことでしょ?」

「そうだな。その事だけど…」

「あたしに聞かないで。」

「え、でも」

「あの子の事はあの子のことよ。もう18過ぎたんだから、私が干渉することはないかな。さすがに病気とかになったら面倒見るけど、あの子の恋愛はあの子のものよ。私が口出ししていい事じゃない。」

「そ、そうか。まぁ、そうだよなぁ。」

「あの子の事で言えることはまぁ、意外と奥手なとこかな。」


んんんん?奥手?絢香、自分の娘のことわかってる?昨日襲われかけたんすけど?んんんんんん?


「ソ、ソウナンダ、」

「さ、そんなことより、何頼む?」

「絢香、馬刺し好きだろ。頼めば?」

「高いけどいいの?」

「まぁ、誘ったのは俺だからな、それぐらいはいいよ。」

「すいませーん。馬刺し3つと串の盛り合わせとあと、鶏軟骨と豚足2つくださーい。あ、あとビールも2杯くださーい。」

「待て、頼みすぎだろ。お前。」

「もう頼んじゃったもんなー。キャンセルしたらお店の人困るんだろうなぁー。」


こいつ!やってくれるな。今度覚えてろよ。


だいぶ絢香が酔ってきた。俺は酒が強い方だからまだ酔ってない。本当は、酔った絢香に話を聞くために誘ったのだ。


「なぁ、沙姫ってピュアなのか?」

「何言ってんの?あの子がピュア?ないない。」

「え、でも彼氏いなかったんだろ?」

「彼氏はね?でもエロ動画とか見まくってるし、1人でヤッてるとこ何回も見ちゃってるし。んー、恋愛でピュアなとこがあってもアッチの方はピュアじゃないわよ。」

「へ、へぇ。そーなんだ。」


これヤバいやつじゃん。そーゆー事?アッチの方がピュアなのが嫌ってこと?釣り合わないってこと?ふ、ふーん。俺だって?エロ動画見てた時期あるし?今までそーいうのにお世話になってたし?べ、別にピュアじゃないもんね。


「あ、絢香、俺そろそろ帰るからさ、支払っとくな?代行も呼んどくから、これ代行代。じゃ。」

「あー、逃げたー。まぁ、沙姫が待ってるもんね。んー、行ってらっしゃい。」


酔ってるからか?行ってらっしゃい?なんか察してるのか?


とりあえずお金を支払って外に出る。どうしよう。多分沙姫は隠してたんだよな?知ってしまった。どうしよう。


まぁ、なんとかなるか。


「ただいま…。」

「おかえり!意外と早かったね。」


お、おぅ?もう22時だぞ。遅い方じゃないか?


「お風呂沸かしてるから、入ってくる?」

「そうする。ありがと。」


まじいい子だよな。いやいやいや昨日の事と今日の話を思い出せ。いい子なのか?いや、いい子なんだろうけどアッチに関しては狼だぞ。


「はぁ、難しいなぁ。」

「なにが?」

「いや、沙姫は、俺のどー言うところがピュアなのがダメなんだろ…って、うわぁぁ!」

「…んー、こーいうとこ?いや、これはこれで好きだからいいんだけど、やっぱりエッチなことする時にウブなとこ?もっと男らしくリードして欲しいなぁ。」

「な、な、そ、そうか。わかった。ありがと。じゃあ、俺服脱ぐから出てって?」

「やだよ?」


?何を言ってるんだ?やだよ?いや、お風呂入るから裸になるんだよ?え?見られたくないよ?


「え?なんで?」

「…一緒に入ろ?」


だからぁ!上目遣いなんだって!ずるいだろ!いやそれでも流石にお風呂はなぁ。きついよなぁ。


「い、いいよ。」


おい、何言ってんだよ。


「やったぁ!じゃあ準備して来るね?」


…終わった。

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