夜這い!

「はむ…れろぉ……ん…」


いきなり耳が温かくなって目が覚めた。


「ん……ちゅ…はむ」

「ん?ん?…ええええぇ!ストップ!」

「…なんでよぉ!いいじゃん!そのままでいて!」


目が覚めたら沙姫に耳を舐められていた。


「待て、なんで?」


普通にそう思ってしまった。


「だって…覚悟あるって…。」


なるほど、覚悟って言う意味が上手く伝わってなかったのか。いや、だとしてもその日に耳を舐めるか?


「起きるの早くない?まだ少ししか舐めてないのに。」

「少しって、どこまでやる気だったんだよ…。」

「ヤるとこまで。」


この子ヤバいわ。ヤバい子だった。どうしよう貞操の危機に陥ってる気がするぞ。


「まてまてまて、はやくない?はやくないか?俺を襲うの。」

「私とシたくないの?」


そういう言い方はずるいと思う。だって沙姫は、美少女だぞ。シたくないかと言われればシたいにきまってる。でもそういうことじゃねぇ。


「違う。シたいとは思うけど、あっ、違う!シたいとかじゃなくて、ちゃんと俺の気持ちも整ってからって言うか、俺が沙姫のこと好きになって責任取るってならないと、えーと、だからそうだ!そういうことだ。」

「ぷっ…あはははは」

「なんで笑うんだよ!」

「だって…いい大人して…うろたえて…めっちゃ可愛いくて…あははは」

「と、とにかく!襲うの禁止!わかったか?」

「…むぅ、はーい。わかったよ。」


ムスッとした顔で了承する沙姫。これはまだ当分注意が必要だな。


でも、沙姫が、笑ってるとこ可愛かったな。


沙姫と、することになったら……。だめだ!妄想したら!


「なんで顔真っ赤にして首振ってるの。あ、もしかして、想像しちゃった?」


ほら、バレた。


「ピュアなんだから、わかりやすいね。」

「じゃあほら、沙姫も想像してみろよ。」

「ボンッ…」


あ、ショートした。顔真っ赤になってる。


「やっぱり沙姫もピュアじゃねぇか。」

「う、うるさい!」


襲ってきてる時は自信満々なのにな。なんだよ、可愛いじゃねぇか。


「まぁ、俺が好きになったら、夜這いなんかしなくてよくなるからな。」

「はぁ?な、なんであんたそんなこと堂々と言えるのよ!恥ずかしくないの?」

「あぅ…。」

「そういえば、裕太は今まで誰かと付き合ったことあるの?」

「あ、あるよ。」

「え、あるの…な、何人?」

「1人。まぁ、付き合ったって言っても、4日で別れたけどな。」

「何それ付き合ったに入らないでしょ。まぁ、ならいいけど。」

「う、うるさい!沙姫はいるのかよ。」

「いないよ。裕太が初恋だから。」

「そ、そうか。」


俺が初恋だと?しかも付き合ったことないとかピュアでしかないじゃん。沙姫は、どういう意味でピュアはお断りって言ったんだ?


「な、なんか言いなさいよ!」

「いや、ほんとにピュアじゃないとダメなのか?」

「だ、だめにきまってるでしょ!」

「それはあれか?リードして欲しいからか?」

「………ぅだよ。」

「ん?もう1回言ってくれ。」

「もう言わない!うるさい!おやすみ!」


そう言って、そっぽを向いてしまった。


昨日一緒に寝たからか、普通に何も言わずに俺と同じベッドにいるが…まぁ、いいか。俺も明日仕事だし寝るか。


裕太が寝た隣で沙姫は不貞腐れていた。


「裕太のバカ…。おきないでよ。恥ずかしかったじゃん。もう…。」

「でも、裕太が起きなかったら…。」


1人顔を赤くしている沙姫。


「裕太?おーい…起きないね。」


少し大きい声を出して裕太の名前を呼んでみる。起きない裕太を見てニヤリと笑う沙姫。


沙姫はそのまま右手を下腹部に持っていった。


「ん……裕太…好き♡…あっ…裕太♡……裕太……だめ…あっ♡…そんなとこ……さわったら……あっ♡」


裕太を起こさないように声を抑えながら果てた。沙姫は、満足そうな顔をして左手で裕太の顔を撫でる。


「逃がさないから。ピュアなわけないでしょ?もう19だよ。経験はないけど知識はあるから。裕太の童貞絶対貰うから…おやすみ。…ちゅ」


頬にキスをして眠りについた。


裕太は、爆睡していた。隣で1人で果てている美少女がいたにも関わらず。


目を覚ますと、美味しそうな匂いがした。本当に朝飯と弁当を作ってくれているみたいだった。


「まじで作ってくれるんだな。」

「当たり前じゃん。」

「ありがと。今日は少し遅くなるかもしれん。」


絢香と飲みに行くからな。


「あぁ、お母さんと飲みに行くんでしょ?行ってらっしゃい。」


絢香。伝えてんのかよ。まぁ、いいか。


「おぅ。行ってきます。」


家に待っててくれる人がいるっていうのもいいな。

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